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【最終回】ナガサキ・シティ・セレナーデ【行こ行こ#64】長崎小夜曲-11

前回までのあらすじ

長崎の2日間はあまりにも短かったが、そのぶん非常に密度の濃い旅になった。
↓前回



始発便

夜明け前、朝5時のアラームで目を覚ました。
長崎市内のカプセルホテルを出ると、空はまだ群青色だった。
昨夜、白鉄火巻きで腹を満たし、“修学旅行Ver.2”が大成功に終わった喜びを胸に、私は少し名残惜しく空港を目指した。

この旅には最後に、小さな関門が待っていた。
それは、長崎発JALの「始発便」に乗らねばならない、ということだった。

『どこかにマイル』というJALの気まぐれ旅企画は、人気の薄い便をお得なマイルで埋める仕組みである。そのおかげで早朝便に割り当てられた私は、夜明け前に宿を出ることになった。
午前7時25分には飛行機が出るので、朝に弱い私にとっては、なかなか酷な旅程だった。


長崎市内から空港までは鉄道がなく、頼れるのは高速バスだけだ。

前の晩、ホテルのフロントの青年が『長崎の人は駅から乗るから、実は最寄りのバス停から乗ったことがないんです』と言いながらも、親切にバス停の行き方を教えてくださった。

ホテルから目と鼻の先にあるバス停だ。どうやら、ほとんどの人は長崎駅近くのバスセンターから乗るそうで、始発の飛行機に乗れるバスは1本しかないらしい。

駅まで行くには遠いし、早朝すぎて誰もいないバス停で、私はポツンと待っていた。

バスの出発時間が近づくと、少しずつ人が集まってきた。
みんな同じ便に乗ると思われる。私の後ろで待っていた人が少し変なポジションだったので、3人目以降がきれいな列にならず、皆一様に『私はあの人より早く来た』というような無言の順番争いが起こり、若干ピリピリした空気が漂っていた。

それは、これが始発便に乗れる唯一の方法だからだろう。さらに、長崎のバスセンターからのお客の数によっては乗れない可能性があるためだ。
1人でも順番を抜かそうものなら、自分が乗れなくなりかねない。そんな不安があるのかもしれない。
先頭にいた私も、少し不安がつのり始めていた。

やがてバスが到着し、結局何事もなく、無事に乗り込むことができた。さっきまでのピリついた空気は何だったのか。

バスは長い橋を渡っていく。到着したときには真っ暗で何も見えなかったが、いまは朝日に照らされて、遠くに長崎空港が見えている。


ふと、私はこの旅の始まりを思い出す。

最初の『どこかにマイル』は岡山だった。
今回はその第二弾である。岡山は楽しかったし、けっこう良い思い出もできたのだが(それは今度書きたい)、岡山空港には数ヶ月前にすでに行っていたので、『新しい御翔印集めの旅』としては少し悔しい思いをした。

そこで今回は、すべて行ったことのない空港に絞って抽選した。
その結果が長崎で、修学旅行のやり直しもできたし、新しい御翔印も手に入るしで、充実した2日間だった。


江戸の仇を長崎で討つ。

意外な場所や筋違いな方法で仕返しをすること


別に岡山は仇じゃないし、むしろ好きな場所になったのだけれど、私の頭にはそんな昔のことわざがふと浮かんだ。

私はJALストアに向かった。
長崎空港に到着したときには買えない、保安検査場の中にあるお店だ。

長崎の御翔印を1つ買い求めると、機内へと進む。そして私を乗せた飛行機は、美しい長崎の朝焼けを背に、空へと駆け上がっていった。

おしまい


記事:まるのすけ




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