紫藤アリサは氷上メルルをどう思っているか【まのさば考察】
ネタバレ注意!!
この記事は「魔法少女ノ魔女裁判」の特大ネタバレを含みます。
必ずクリア後に読んで下さい。
この記事は紫藤アリサと氷上メルルの関係に焦点を当てたものです。
アリサがメルルのことをどう思っていたかだけではなく、
本編終了後現在どう思っているかも考えていきたいと思います。
前回の氷上メルルについての記事の紫藤アリサ関連の部分をそのまま持ってきた上で、追記で随時色々と書いていく予定です。
●紫藤アリサというキャラの前提
ファミ通の開発者インタビューではこのように語られています。
アリサはずっと「罰されたい」と思っていて、言い換えれば「ちゃんと愛されたい」に近い感情を抱いている子なのかなと思います。自分のせいで他人を傷つけてしまった過去があって、それから周囲に対して威嚇するように予防線を張っている。彼女が出来心で犯した罪はどうしようもなく重いのですが、本来なら誰よりもやさしいキャラクターだと思います。
前回の記事では
氷上メルルは素で優しいがそれ以上の狂気に呑まれておかしくなっているということを説明するのに2万字の文字量を費やしてしまいましたが、
紫藤アリサが誰よりも優しいキャラクターであることは、プレイした人なら誰もがわかっていることだと思います。

2周目の終盤では、佐伯ミリアと並んで最後まで人を傷つけずにいられる聖人枠です。
しかしそのスタンスは、佐伯ミリアと同じというわけではありません。
裁判BADENDでは、ミリアとアリサどちらも濡れ衣で処刑される展開がありますが、
その際、佐伯ミリアは動揺と恐怖のあまり、「自分よりも別の人物のほうが怪しい」と、他人を糾弾する言葉があります。実際真犯人は別にいるので正しいのですが、誰も責めたくないという普段の優しさが崩れてしまっています。
それに対して紫藤アリサは、最初こそ抵抗するものの、早々に諦めて処刑を受け入れてしまいます。



「どうせ全員同じように死ぬ」
「ここに集められた時点であがいても無駄。だったらさっさと抜けたほうが楽」
前回の記事で強引に氷上メルルを弁護するような記述をした自分と同じようなことを言っています。同志。
このへんの諦観と希死念慮については後述します。
このように、
悪を糾弾する意志はあれど、それ以上に過去の自らを所業を悔いており、自分は裁かれるべき人間だという意識が強いのが紫藤アリサの特徴です。
「叱ってくれる人」を求めているという特徴もその延長でしょうが、その割に二階堂ヒロとは相性が悪そうなのは面白いところです。言葉が強い子に対してはどうしても表面上ぶつかってしまうせいでしょう。
公式プロフィールには「自分を受け入れてくれる他人との関係性」を求めているとあります。口調が強いアリサに対して怖がりながらもぐいぐい近づいてくるエマやメルルに弱いのも頷けます。
というわけで、以上を踏まえて例のシーンを検証します。
● アリメル考察:アリサはメルルをどう思っていたか
全アリメル界隈の聖地

このスチルについて、紫藤アリサ役の石井未紗さんはこのように語っておられます。
2025年 紫藤アリサ誕生日記念🎂Q&A
Q.[印象に残ったディレクションは?]
▶︎メルルとのスチルシーン。
魔女化抑えてもらった時の。ここ、すでにスチルがほぼ出来てて見せていただいたんだよね。
「ここまで手が異形と化してるのに、メルルはその手を取ってくれて自分に向けてって言ってくれる。メルルにこの後殺されますが、この場面では心からアリサを思ってます。慈悲の思いには裏無いです。それを受け取ってください」って言われて、本気でメルルを信じる、自分が死ぬ決意を固める、に繋がりました。
このときのメルルの言葉に嘘はありません。
その前提を踏まえてセリフを見てみましょう。
「アリサさんは強がっていますが、本当は心優しくて……。誰かを傷つけてしまうのを、とても、とても怖がっています。私も同じなんです。きっと私達は、似ています」
「もう自分を傷つけないでください……。みんなアリサさんを必要としているんです。置いていかないで……どうか傍にいてください」
ここにメルルの大事な本音が詰まっています。
【人を傷つけるのが嫌】
【置いていかないで】
【きっと私たちは似ています】
もう誰かに置いていかれるのは嫌。
でも、ここにいる囚人たちをいつかは必ず処刑しなければならないというジレンマを常に抱えていることがわかります。
メルルには少女たちを大量に殺してきたという罪悪感があります。
罪悪感が無いと思っているプレイヤーもいるかもしれませんが、はっきりと「ある」はずです。罪悪感を持ったままでそれらのことから目をそむけて、目的に邁進しているのが氷上メルルです。(前回記事参照)
「きっと私たちは似ています」
というメルルの言葉は、単に優しいからという話ではなく、罪の意識を指した言葉でしょう。
ちなみに前回記事ではメルルとエマの精神構造はよく似ているという話をしました。
しかしエマには、幼い頃に二階堂ヒロという女に脳を焼かれているというメルルとの決定的な違いがあります。ヒロ&エマとアリサ&メルルは対照的な立ち位置として見ることができます。ちょうどヒロとアリサは黒と赤の悪魔っぽい見た目だし、エマとメルルは堕天使イメージですからぴったりです。
図にするとこんな感じです。
自罰的← アリサ メルル ←→ エマ ヒロ →絶対正義
…胡乱な図になってしまいましたが、それぞれの距離の近さが人間性の似通りを表しています。
とはいえアリサとメルルがどのくらい似ているかは何とも言えません。
もしアリサがメルルと同じ境遇でユキに拾われていたら同じような行動をしていたかもしれませんが、想像の域をでません。
では正気の状態のアリサに果たして人を殺せるでしょうか?
大切な誰かのためだったら、もしかしたらできるかもしれませんが、それよりは、「できない自分はクズ」という方向に自分を持っていって結局できない、という可能性のほうが高そうです。
アリサは裁判中に「根性」という言葉をよく使います。

実はメルルは比較的早い段階で根性を見せています。
第一章の裁判後です。
このとき体を張ってナノカの銃からミリアをかばいます。これはアリサ的にかなりの根性ポイントだったはずです。


アリサから見たメルルは早い段階で好感度が高かったのかもしれません。
では本編後はどう思っているでしょうか。
アリサからすれば、
メルルが大切な人のためにあのような所業を続けていたことについて、
「最悪ではあるが根性はある」
という評価をするかもしれません。
なぜなら、メルルの所業と比べて、アリサの過去の殺人は完全に自分が親の興味を引くためだけの利己的な行動であり、他人のためではないからです。いや、厳密に言うとメルルのユキに会いたいという動機はユキの気を引こうとしているのと近いのですが。アリサのようなナヨナヨしい動機と比べるとかなり根性があります。
この比較をできるだけの材料がアリサにはありました。
最終裁判でのヒロによる情報共有と、ミリアによる記憶シャッフル(記憶共有)です。
●記憶共有後のアリサ
記憶シャッフルが起こってすぐ、魔女化したアリサは全員を巻き添えに焼き殺そうとします。
魔女化による殺人衝動ではありますが、普段のアリサの主張を強めたものであり、一貫しています。ある意味メンタルの強さがうかがえます。

ここにいる奴ら全員、最後は殺人衝動に飲まれて殺し合っちまうんだ!
どうせ死ぬんなら……今死ねよぉ!!
このとき、別世界線でのメルルの所業についても記憶を得たはずですが、それよりは自分を含む全員の行動にショックを受けているようです。
メルルに対する感情は見えません。
どのような認識でいたのか。以下に前回考察記事をコピペします。
最後に手に入る証拠品「紫藤アリサ殺人事件」では、メルルの動機はこのように明言されています。

【氷上メルルは紫藤アリサの幸福を願い、殺害した】
記憶シャッフル後に得るものなので、おそらく氷上メルル視点での「悪意の無さ」が客観的事実として全員に共有された結果の証拠と考えられます。
前回記事で考察されているようなこと……つまり「メルルの見せた優しさ自体は本物だった」ことを全員が理解したということですね。
幸福を願った殺害とは何か。
ここで一旦、魔女候補の結末パターンを整理します
1:魔女化前の死
2:魔女化後のトレデキムによる死
3:なれはて後の冷凍保存
4:なれはてて野良化→不死のまま永遠にさまよう
1、2はほぼ同じ。3の冷凍保存を望むかどうかは人によるでしょう。最悪なのは4です。ヒロのなれはて化BADのように死ねずに苦しみ続けます。
メルルは黒幕バレしたときに最初にこれらを説明するべきでした。議論は上手いんだけどこういうところふわっとしてるのがメルルちゃんですね。
牢屋敷の管理側から見れば、魔女候補は確定で未来がありません。
エンディング後は「殺した側」だけが生き残ったことから「殺された側」は殺され損と言われがちですが、これは結果論であり、殺され時の痛みはともかく、
早めに死ねること自体はこの環境ではそれほど悪いことではありません。
まさしく紫藤アリサが一貫して主張しているのはこのことです。
これは人によって価値観が分かれるところですが、愛の残滓ENDのヒロもその選択をしましたね。レイヒロBADも同様。ミリア視点BADでは野良なれはては死ぬためにミリアを騙して入れ替わりました。逃げたエマココマーゴをメルルは野良なれはてにさせない為に必死に探し回りました。牢屋敷において死は救済なのです。
であれば、トレデキムによる死(おそらく安楽死)によって、
メルルはアリサに対してこの環境における最大の慈悲を示したと言えます。
まぁ、メルルの価値観からすれば冷凍保存するのも慈悲なのですが……それをせず、アリサの意思【完全魔女化前の死】を尊重しました。これはメルルの他のキャラへの対応からみてもかなり珍しいことです。メルルが最も特別扱いしたのはエマではなくアリサなのかもしれません。
「置いていかないで下さい」とまで言っていたので、アリサを死なせることはメルル的にも辛かったことでしょう。
しかも大魔女様につながる最大の目的「魔女化の確認」もせずとは異例です。ただ、これはアリサが暴走しかけた時点でそこの判別はついたということなのかもしれません。
結局のところ、この牢屋敷ではどう転んでも少女達に未来はないため、対人関係において重要なのは「相手の意思を尊重するかどうか」です。シェリーが仲間たちを巻き添えにしかねないリスクを侵してハンナを介錯した件が許されているのもそのためです。
自分には、メルルはアリサに対してだけは本当に人間らしい対応をしたように思えます。
最後の裁判ではこの事実が全員に共有されました(と、自分は考察します)

「君(月代ユキ)にとって、メルルやエマはこれまで見てきた人類の負の側面とは正反対のものだったんじゃないかな。」
よくわかってないプレイヤーからすれば「え?メルルも?」という反応があることでしょう。
ヒロはメルルの人間性をほとんど知らないはずですが、記憶共有によってその溝は埋まりました。
あのとき、全員が互いの想いを把握していたとして、メルルに対する誤解(誤解じゃない部分も多いが)もある程度解けていたのだとすると、ちょっと見方が変わってきますね。
ただユキとの裁判中にメルルに頼ろうとしたらニコニコ笑顔で「大魔女様に殺されるのはいかがでしょう」とクソボケ言いはじめるのでアンアンに駄目だしされてしまうわけですが……
それでもなんでか知らんけどメルルも仲間扱いされていたのは記憶共有があったおかげではないかと思います。

●アリメル裁判の判決
以上の考察を踏まえて、結論を出します。(随時更新する可能性あり)
本編中における紫藤アリサのメルルへの評価は、
優しく見えて根性がある奴であり、
ウチのことを受け入れてくれる女♥でした。
本編終了後のアリサから見たメルルは
ウチらにとって許せないことをした💢けれど、
ウチと違って家族のためにド根性を見せた女♥♥
そしてウチの最期の願いを聞き届けてくれた女♥♥♥
と評価しているのではないでしょうか。
アリサはそもそも他人からの好意に大して奥手なキャラなので、「ウチを残して逝っちまった」という考え方はもしかしたらあまりしないかもしれません、いや、あるかもしれないけど、それをメルルに直接言える機会があっても、きっと、言えないでしょう。
どちらかというと「ウチのことなんか置いて家族のためにまっすぐ進め」とエールを送りたい気持ちが強いのではないでしょうか。
そしてメルルが「家族のために全力で生きて死んだ」ことと比べて、
アリサ自身は自分に今後、同じ生き方ができるのか、ということを悶々と考えて生きていくかもしれません。考えていて……欲しい!
いずれにせよメルルがアリサの心に残したものは大きいはずです。
家族のもとに帰ったアリサがどうか幸せに生きられますように。
※Xで呟いている人がいたのですが
「巻き込んでごめん」
はアリサがメルルに抱きそうな感情としてかなりありえる線だと思います。
冒頭の処刑ENDで説明したように、アリサは肝心な場面でこそ他責より自責を選んでしまう子です。
自殺幇助。メルルにトレデキムを使わせたことで、アリサはメルルに余計な気をつかわせたと思うことでしょう。
しかも何故かうっかり炙り瓶にメルルの字が書いてあったことが原因で黒幕バレにつながりました(……気づけ!) ただ彼女が黒幕であることはアリサにとっては一応💢ポイントではあるはずなので、このへんは複雑なところです。
「ウチらを騙してたことは許せねぇ、けど、巻き込んだこと、ごめん」
このへんが落としどころかな~と思います。

