Night NIMBUS
前回のニンバス建築ツアーに参加してあまり間もない頃、バーこうみんかんで清水センセと飲んでいたとき「今度ナイトニンバスツアーやるんすよ」と聞いた。ええっ行きたい行きたいと思っていたのだが、蓋を開けてみればその日は土曜日の癖に僕は夕方までファッキン仕事なのであった。時間的にツアーには参加できないが、その日ニンバスは21時まで営業しているということだったので、仕事終わりに訪れることにした。
前回の訪問記録はこちら。
2026年6月27日(土)
ニンバスに到着したのは18時半頃。すっかり日の長くなった最近はまだまだ明るい時間帯であり、一見すると前回訪れたときと変わらない。しかし、前の週の日曜日が夏至であったからか、半眼の窓から差し込む光と影は強くて短い。


そしてその光と影は、気づかぬうちに霧散する。

たった8分。さっきの光と影は溶け去った

つぎつぎに発見があって飽きない
20時を回る頃、ようやく外が暗くなる。それまで、窓が明るく壁が暗く感じられていたものが、窓が暗くなりコンクリート打ちっぱなしの内壁が照明で灰白色に照らされる。昼夜で逆転の様相を呈する。


京町家に見られる意匠に「虫籠窓」と呼ばれるものがある。二階もしくは中二階の漆喰の壁に施された、格子状の窓である。

秦家住宅(京都市) 画像はWikipediaより拝借
窓と言っても開閉できるものではなく、通風や採光のためのものである。格子の細さが虫かごのようだから「虫籠」と呼ばれる。学生時代に町家調査のフィールドワークを手伝ったことがあるのだが、そのときに住人の方に案内してもらったことが印象に残っている。曰く、昼間は壁が暗く外が明るいが、これが夜になると、外が暗くなり漆喰の壁が明かりで白く照らされる。この昼夜の逆転が美しく、そしてこの美しさは町家の中からでなければ分からない。この建物の内に秘められた美というのが京の商人の心意気なのだといったことを説明してもらったことにいたく感銘を受けた。虫籠窓は外から見ても美しいものだが、内にはさらなる美が潜んでいる。そしてそれをいけずな京都人たちは、滅多に表にしない。いけずである。
(この美しさを示すのに適当な画像が存在せず、理解いただけるか心苦しい。なんせ住居内部のことゆえ、写真がないのだ。)
ニンバスも、元は個人住宅であったが、現在はカフェあるいはショップスペースとして、われわれ一般人でも見ることができる。夜の帳が下りたニンバスを見て虫籠窓に思いを馳せた。


内観の昼夜の対比。外観の昼夜の対比。また昼間の内観と外観、夜間の内観と外観もまた対をなすことにご注目いただきたい。二項対立の権化のような存在である。

この日はまた特別に、近くにあるもうひとつの磯崎建築、中上邸もライトアップ(?)された。みんなでぞろぞろ向かう。

夜もよい


ニンバスに戻ってきてゆっくりする。この夜のニンバスはオリジナルのジンが提供されていた。が、僕は車で来たので涙を呑んで我慢した。サーモンとクリームチーズのベーグルサンドとコーヒー。


ネオン管みたいな磯崎新サインが目を引く





夜はとくによく見える
最終のえちてつに乗って帰る一団とともに辞する。夜に訪れる機会は再びあるだろうか。
