「自分らしさ」や「普通」って何?”デミアン”を読んで考える
こんにちは、井ノ部(いのべ)です。
ヘルマン・ヘッセの『デミアン』を読みました。
タイトルや内容は、
なんとなく聞いたころがあるけれど
今までなかなか手に取る機会がなかったんですよね。
そんな折、原文の著作権が切れて
一般公開されているのを知ったこともあり、
「自分らしさってなんだろう?」
という問いのヒントにもなるかなと
読んでみることにしました。
41歳で新人のふりをした作家
まずは著者のヘッセについて。
彼は13歳の頃から
「絶対に詩人になる!」と決めていたそうです。
神学校に入ったものの、肌に合わずに脱走します。
そして1919年。当時41歳のヘッセは、
「エーミール・シンクレール」という
若手作家のペンネームで
この『デミアン』を発表しました。
なんと新人賞まで獲っちゃうんですが、
正体がバレて賞を返すハメに。
40歳を過ぎて
すでに地位のある有名作家だったのに、
あえて名前を隠し「新人」として
ゼロから評価を問いたかった。
ヘッセ自身も、
「大物作家」という築き上げた地位を自ら手放し、
一人の人間として「本当の自分(自分らしさ)」を
問い直そうとしていたのかもしれませんね。
『デミアン』ってどんな話?
デミアンは小説です。
ちょっとだけ内容を紹介すると、
主人公のエミール・シンクレールはある日、
近所の不良クローマーにビビって見栄を張り、
「リンゴを盗んだ」と嘘をついてしまいます。
するとクローマーが
「バラされたくなかったら金を出せ」
と脅迫してくるんです。
親にも言えず、
心がどんどん追い詰められていく
シンクレール。
そこに現れたのが、謎めいた転校生、
マックス・デミアン。
彼が話をつけた途端、
クローマーの脅しはピタリと止みました。
デミアンは、
世間の「当たり前」を鵜呑みにせず、
物事の本質を見抜く
不思議な魅力を持った少年でした。
彼との出会いをきっかけに、
シンクレールは自分自身を探す旅に出ます。
本当に壊すべきだった「殻」
物語の途中、シンクレールは
デミアンからの手紙を見つけます。
そこに書かれていた一節が
あまりにも力強いんです。
“Der Vogel kämpft sich aus dem Ei. Das Ei ist die Welt. Wer geboren werden will, muß eine Welt zerstören.”
(訳)
鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようとする者は、一つの世界を壊さなければならない。※原文からのAI翻訳
なぜ私がここに反応したのか。
それは、私自身がずっと
「学校」「会社」「地域」という世界の中で、
「これが普通だよ」と
教え込まれてきた気がするからです。

昔、ECモールの運用チームにいた時のこと。
現場は「まずは認知を高めて売り上げを伸ばそう!」
とまとまっていたのに、
経営層からは「広告費を削って利益を出せ!」
というお達しがありました。
何度となく経営層の人と議論を重ねたものの、
了承は得られず、
最終的には「会社の方針だから」
と自分たちに言い聞かせて、
必死に納得しようとしていました。
結果、メンバーは次々と辞め、
現場は崩壊。
私も最終的には退職しました。
「会社の方針」という強固な世界(殻)に無理に合わせ、
自分たちの本音を押し殺す。
そのまま殻の中で生きようとしても、
新しいものは何も生まれません。
むしろ、殻の中で窒息してしまった苦い経験です。
自分らしさは自分の中にあった
物語の終盤、シンクレールの独白にこんな言葉があります。
“wenn ich manchmal den Schlüssel finde und ganz in mich selbst hinabsteige, da wo im dunklen Spiegel die Schicksalsbilder schlummern, dann brauche ich mich nur über den schwarzen Spiegel zu neigen und sehe mein eigenes Bild, das nun ganz Ihm gleicht, ihm, meinem Freund und Führer.”
時折鍵を見つけて、運命の像がまどろむ暗い鏡のある、自分自身の奥深くへと降りていくと、私はただその黒い鏡の上に身をかがめるだけでいい。そこに映るのは、今や完全に彼、私の友であり導き手である彼に似た、私自身の姿なのだ。※原文からのAI翻訳
導いてくれる人は最初から自分の中にいた。
そして、殻を破るための第一歩。
それは「なんか納得いかないな」という
日常の小さな違和感を、
そのままにしないことじゃないかと思うんです。
『デミアン』の序文には、こんな言葉が記されています。
"Das Leben jedes Menschen ist ein Weg zu sich selber hin, der Versuch eines Weges, die Andeutung eines Pfades."
すべての人の人生は、自分自身へと向かう道であり、一つの道の試みであり、一つの小径の暗示である。※原文からのAI翻訳
自分らしさとは、
自分の中から湧き出ようとする
小さな違和感やモヤモヤに耳を傾け、
自分自身へと歩みを進める「道のり」そのもの。
モヤモヤを解消するには
ただ、いざその道のりを進もうと
自分の声に耳を澄ませると、
どうしても頭の中で色んな考えが
ぐるぐると回ってしまいますよね。
もしそんなモヤモヤを抱え込んでしまったら。
無理に答えを出そうとせず、
その「ぐるぐる思考」を
外に出してみるのがおすすめです。
私の場合、頭の中の声を全部書き出して、
AIのチャット欄という
「暗い鏡」に映し出しています。
この「考えすぎる癖」を味方につけて、
自分の中にある本当の声を見つけるやり方は、
こちらの記事にまとめました。
少しでも気持ちを軽くする
ヒントになれば嬉しいです。
よかったら、覗いてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次のnoteでお会いしましょう。
