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「人工呼吸器をつけていても、声かけには意味がありますか?」~救命センターの医師が伝えたいこと~

救命センターやICUで働いていると、

ご家族から時々こんな質問をいただきます。

「先生、声は聞こえているんですか?」

人工呼吸器をつけている患者さんは、

眠り薬を使っていることも多く、

目を閉じていることがほとんどです。

呼びかけても返事はありません。

手を握っても反応がないこともあります。

そのため、

「声をかけても意味がないのではないか」

と感じる方も少なくないと思います。


正直にお伝えすると、

実際にどの程度聞こえているのかは、

患者さんによって異なります。

病気の状態や意識レベルによっても変わります。

 

ただ、

私はご家族に声をかけることを勧めています。

 

なぜなら、

私たちは日々の診療の中で、

少なからず、ご家族の面会が患者さんに

良い変化をもたらす場面を経験することがあるからです。

 

普段は表情の変化が少なかった患者さんが、

面会の後に少し生き生きした表情を見せることがあります。

 

また、

普段は呼びかけに反応しなかった患者さんが、

ご家族の声かけの最中だけ、

手を握る、目を開ける、簡単な指示に応じる、

といった反応を見せることもあります。

 

もちろん、

それが全て声かけの効果だと証明することはできません。

しかし、

私たちはそのような場面を決して珍しいこととは感じていません。

 

だから私は、

反応がなくても、

話しかける意味はあると思っています。

 

特別なことを話す必要はありません。

「来たよ」

「みんな待ってるよ」

「ゆっくり休んでね」

そんな言葉で十分です。

 

ご家族の声は、

患者さんにとって最も聞き慣れた声です。

それだけでも安心につながるかもしれません。

 

そしてもう一つ。

声かけには、

患者さんだけでなく、

ご家族自身のためという意味もあります。

 

突然の病気や事故。

何もできない時間はとてもつらいものです。

そんな中で、

患者さんに言葉を届けることは、

ご家族が患者さんとつながる大切な時間になります。

 

人工呼吸器がついていても、

返事がなくても、

私は声をかけることに意味があると思っています。

 

もし私が家族の立場だったとしても、

きっと同じように声をかけ続けると思います。


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