【ゲーム感想】「本当の出口がないのなら、先に進むことに何の意味があるの?」――うつ病の部屋
はじめに
こんばんは。
かぐやです。
今回はアドベンチャーゲーム『うつ病の部屋』がどのようなゲームなのか、またプレイした感想を書いていきます。
どんなゲーム?
開発元:FirePillar2
パブリッシャー:IndieArk, FirePillar2
周りにうつ病に苦しむ人々はいますか?うつ病に対するあなたの理解は正しいでしょうか?このゲームでは、うつ病に苦しむ人々が暮らす世界を体験し、うつ病の人々への正しい対応を理解することができます。
『うつ病の部屋』はうつ病の雰囲気と体験に注力したSteamのアドベンチャーゲームです。
プレイヤーはムーンの日常を体験します。彼女が遭遇する出来事は他の人間と変わりないかもしれませんが、彼女の世界はとても異なるものなのです。人生における様々な出来事が、うつ病で苦しむ彼女に大なり小なり影響を与えるのです。
うつ病は世界中の人々が罹患する一般的な心の病であり、特に先進国の大都市で顕著です。
このゲームの目的はうつ病の説明を行うだけでなく、ゲームプレイを通じてプレイヤーにうつ病を体験してもらうことです。
『うつ病の部屋』(Room of Depression)は、2023年5月4日、Steamでリリースされたアドベンチャーゲーム。
日本語対応もしています。
さらに、2024年1月18日の大型アップデートにより、日本語版ボイスも追加されました。
また、Nintendo Switch版、iOS版、Android版もリリースしています。
場面ごとにパズルなどを解きながら、うつ病に苦しむ主人公の生活を、全20章を通して体験する、というのがゲームの大まかな流れです。
プレイしてみて
※以下、『うつ病の部屋』の一部ネタバレを含みます。
また、本感想はSteam版に準拠しています。
私はうつ病を経験していません。
また、友達や家族がそうだったわけでもありません。
それを踏まえた上でこの感想を見ていただけると幸いです。
各章では、パズルなどを解いて話を進めていきます。
とはいっても、マウスでできる簡単なものがほとんどです。
例えば、序盤の仕事のシーンでは、指示された通りに青いボード上の数字をクリックする、という動作を求められます。
ゲームが苦手な人であってもできるような、簡単な操作です。
しかし、進めていくうちに、主人公の心のモヤモヤが画面上にも表示され、青いボードがクリックできなくなってしまいます。
最後には、モヤモヤが募ってしまい「なんでできないんだろう……」という主人公のセリフで幕を閉じます。

このように、「簡単なこと」でもさまざまな障壁が生じ、思うように進めることができません。
各章の最後はトンネルの中を歩きます。
Wキーを押すと、「ゆっくりと」先に進むことができます。
ところどころに貼ってある紙をクリックすると、うつ病に苦しむ主人公の症状と心情が読み上げられます。

この繰り返しです。
切羽詰まった主人公の心の中を、20章分見ることになります。
エンディング分岐はなく、2時間ほどでプレイ可能。
ただし、繰り返しプレイするよりも、はじめの一回に重きがおかれています。
シンプルなゲームなのに、思うように進められない。
ゆっくりと進むことしかできないようにプログラムされている。
くすみがかっている世界。
柔らかくて、どこか切ない音楽。
苦しそうなボイス。
「もどかしさ」がとても良く表現されているなと感じました。
特に前半は、プレイヤーに「共感」を突き付けてきます。
そして、この「共感」には「現実性」が強く伴います。
私は今作のようなゲームをいくつかプレイし、その感想や考察をnoteで投稿してきました。
その作品の主人公たちも、症状は違えど「こころの病」を抱えている。
彼、彼女らによって創られた、あるいは改変された世界を私たちは見ることになります。
もちろん、それらにも共感できるところはあります。
ですが、「現実」と「虚構」が分かれているものがほとんどでした。
私は「こころの病」の当事者ではありません。
画面を通した、ただの傍観者です。
そのため、「虚構」の中のセリフや心情に共感できたとしても、世界観そのものを消化しきれません。
今作は、ほぼ全てが「現実」の出来事です。
会社に行って、仕事をする一日。
映画を見たり、料理をする休日。
いつものこと、当たり前のこと。
その中に、苦しみが伴う。
それを突き付けられる。
「本当にうつ病って身近なものなんだ」と再認識しました。
ちょっとした気分の落ち込みや環境がきっかけとなり、簡単に患うかもしれないもの。
自分も、周りの人も、それは同じなんだなと思います。

ストーリーを進めていくにつれて、主人公に転機が訪れ、前を向けるようになっていきます。
ですが、あくまで「よくなる」だけで「治る」わけではありません。
それでも、「よくなる」ためには、自分の意志が必要だと改めて実感しました。
うつ病に限らず、「今の自分を変えたい」「変えないと」と思うことはたくさんあります。
そのために、「行動」と「意識」をしなければならない。
小さなことでも、しなければなにも始まらない。
それを再認識しました。
他人の力を借りることももちろん大事なことですが、最後に自分をどうするかは、自分しか決められません。
傍観者として、「理解」はできないかもしれませんが「受け入れる」ことは私にもできると思います。
この作品は、うつ病を「受け入れる」導入としていいゲームだと感じました。
余談ですが、話の中に「新約聖書」が出てきます。
いくつかの指定される節を探してクリックする、という操作が求められるのですが、作品中では用いない部分までしっかり日本語訳がありました。
(実際に新約聖書を読んだことはないので、すべて載っているかまではわかりません)
たとえ話の一部であっても、細かく作り込まれている。
加えて、ナレーションには制作陣の熱のあるメッセージが何度も登場します。
ゲームを通して「うつ病」を一人でも多くの人に知ってほしい、という制作陣の熱意が感じられる作品でした。
これらは実際にプレイして、自分の目で確かめて欲しいです。
まとめ
『うつ病の部屋』をプレイして感じたことは……
・簡単でも思うように進めることができない操作、寂しげな音楽やボイスを通して「もどかしさ」がとてもよく表現されている。
・「現実性」のなかに「うつ病のつらさ」が含まれていて、プレイヤーに共感を突きつける構成となっている。
・細部まで作り込まれており、制作陣の本気を感じた。
ゲームとしては要素も少なく、「是非やってみてね!」と軽い気持ちでおすすめできるゲームではありません。
また、作品後半で示される「よくなる」までの軌跡が万人にとって正しいもの、良いものであるとは思いません。
あくまでうつ病とは何かを知る、受け入れる社会づくりのための「参考書」としてはとてもいいゲームだと感じました。
おわりに
『うつ病の部屋』は、Steamでは定価700円で購入することができます。
しかし、以前紹介した『Milk outside a bag of milk outside a bag of milk』、『上に天井がある。』とそれぞれバンドル(セット商品)となっています。
バンドルで購入すると、10~30%ほど安く買うことができます。
2作品とも興味深い作品なので、おすすめです。
感想記事はこちら
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『うつ病の部屋』の購入はこちらから
Steam版
Nintendo Switch版
iOS版
Android版
バンドルでの購入(Steam)はこちら
投稿:2024.6.1
最終更新:2026.4.30(一部表現の見直し等)


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