愛の水面下
#アマノ文筆クラブ 用に書いた記事です。
「最近、どう?」
電話越しにそう聞いた。
相手は少しだけ間を置いて、
「変わらないよ」と答えた。
それ以上は続かなかった。
沈黙があって、
互いに何も言わない時間だけが流れた。
前は、こんな間はなかったと思う。
何か話さなければ、と考えて、
結局、何も言えなかった。
通話を切る。
画面が暗くなる。
そのまま、メッセージを開く。
思いついたことを一つだけ送る。
「今度、会える?」
既読はすぐについた。
返事は来なかった。
少し待って、
別の話題を送ろうとしてやめた。
このままでも、関係は続いている。
終わってはいない。
そう思っていた。
画面を閉じる。
少し時間を置いて、また開く。
既読のまま、動かない。
その状態が、
いちばん自然に感じられた。
やり取りが止まっているのではなく、
もう必要がなくなっているだけだった。
何も言われていない。
何も決まっていない。
それでも、
ここから先がないことだけは分かる。
表面は、まだ続いている。
名前も、履歴も、消えていない。
ただ、
もう触れられない場所にある。
それが、
いちばん正確な形だった。
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