試合前の3時間も贅沢でした。──ゆっくり歩いた名古屋城と名城公園
前回の記事では、ブルーサマーフェスティバルでの2日間を紹介しました。
今回は、その2日目の午前中。
試合開始までの約3時間を過ごした、名古屋城と名城公園を紹介します。
ホテルで朝食を食べながら、最後まで悩んでいました。
熱田神宮。
大須商店街。
美術館。
どこも魅力的です。
でも、窓の外は雲ひとつない青空。
「今日は外を歩こう。」
そう決めて地下鉄に乗り、名古屋城へ向かいました。
実は去年の遠征でも訪れています。
「また城?」
……そうです。また城です。
どうやら私は、名古屋へ来ると金のしゃちほこに呼ばれる体質らしいです。

石垣を見上げながら歩いていると、ふと思いました。
「急がなくていい旅って、こんなに楽だったっけ。」
いつもの旅行は、
「あそこも行こう。」
「ここも見よう。」
気が付けば、自分で立てた予定に追われ、最後はクタクタ。
でも今回は違います。
試合開始までは約3時間。
名古屋城だけを、ゆっくり歩くことにしました。
観光地は逃げませんから。

歩いていると、「清正公石曳きの像」と、その先には巨大な「清正石」が現れました。
加藤清正が運んだという伝承からその名で呼ばれていますが、実際に本人が運んだという記録は残っておらず、現在では黒田長政が担当した区域の石だったという説が有力だそうです。
……そんなことより、
「これ、本当に人力?」
その一点が気になって仕方ありません。
昔の人って、本当にすごい。


今回、一番印象に残ったのは本丸御殿でした。
1945年の空襲で焼失しましたが、多くの資料をもとに復元され、2018年に全面公開された建物です。
中へ入ると、豪華な障壁画や欄間が次々と現れます。
……でも最初に思ったことは、
「涼しい。」
でした。
外は30℃を超える真夏日。
冷房が効いた本丸御殿は、まさにオアシスです。
豪華な障壁画。
見事な欄間。
どれも素晴らしい。
……それでも私が一番思ったのは、
「こんな平屋に住みたい。」
でした。
完全に見るところを間違えています。
でも、不思議とそんなことを思ってしまうくらい、落ち着いた空間だったんです。




本丸御殿を出ると、青空に映える天守閣が目の前に現れます。
現在、天守閣は耐震対策などのため内部へ入ることはできません。
少し残念ですが、この姿を見るだけでも名古屋へ来た実感が湧いてきます。
工事が終わったら、また来ようと思います。

そのまま二之丸庭園を歩いていると、夏らしい光景に出会いました。

途中の池ではカラスが水浴び中。
「カラスの行水」という言葉があります。
でも、このカラス。
全然帰りません。
「まだ?」
「まだ入るの?」
結局、私の方が先にその場を離れました。
どうやら今日は、行水ではなく長風呂だったようです。

さらに歩くと、一匹の猫がベンチで昼寝中。
「大丈夫かな。」
そう思って近付くと、
チラッ。
ゴロン。
……終了です。
完全に接客を断られました。
暑さで少し心配になりましたが、本人(本猫?)は、
「今日は仕事しません。」
そんな表情で、また気持ちよさそうに眠り始めました。

名古屋城をあとにして、そのまま歩いて名城公園へ向かいます。
思っていたより近く、散歩にはちょうどいい距離です。
……とはいえ、公園に着いて最初に思ったことは、
「広い。」
地図を見る。
広い。
「全部歩いてみよう。」
その考えは3秒で消えました。
暑さは、人を現実的にします。
それでも木陰を歩くと、時折吹く風が心地よく、名古屋城とはまた違う穏やかな時間が流れていました。

歩いていると、近年オープンしたIGアリーナが見えてきました。
ちょうど大相撲の名古屋場所。
色とりどりの幟がずらりと並び、街全体がお祭りのような雰囲気です。
本当は今回、野球だけでなく相撲も観たかったのですが、チケットは取れませんでした。
これは、また名古屋へ来る理由が一つ増えました。

日本には数多くのお城があります。
どのお城も、その土地の歴史を見守ってきた地域のシンボルです。
今回改めて思ったのは、
旅は、予定を詰め込めば楽しいというものでもないということ。
ゆっくり歩いたからこそ、
石垣を見上げ、
本丸御殿で涼み、
カラスの長風呂に笑い、
猫には見事に塩対応される。
そんな何気ない時間が、一番記憶に残っています。
名古屋は、野球だけではなく、街を歩くのも楽しい。
天守閣に入れる日が来たら、また名古屋を訪れようと思います。
もちろん、その日はドラゴンズ観戦もセットで。
