嘘でしょ?
土曜日の夕方。
静まり返った病棟。
嫁さんと二人、小部屋に通されて、担当の先生から今の病状とこれからについて説明を受けました。
小腸に膿があるかもしれない。
絞やく性腸閉塞だったら、すぐに手術しないといけない。
今から手術をして、終わったらICUに入ってもらいます。
人工肛門を3〜6ヶ月つけるかもしれない。
急に、今からまたお腹を開かれて手術することが決まりました。
てゆうかICUに入れられるって大丈夫なの俺!?
それって結構おおごとじゃないの?
お医者さんは「手術の後はICUに入ってもらうんですよ」なんて当たり前のように言ってたけど、それホント!?
しかも人工肛門かもしれないと聞いて、頭が真っ白になりました。
まず最初に頭をよぎったのが
「これから先の仕事、どうしよう」
でした。
私一人きりの会社で仕事をしている関係上、
仕事できなくなる = 収入ゼロ
が確定します。
2週間前に癌で腹腔鏡手術すると決まったときにはそれほど不安を感じなかったんですが、この時は、はっきりと不安や恐怖を感じました。
と、その時、嫁さんのスマホが鳴りました。
部活を終えて駅まで帰ってきた息子からの
「迎えに来てー」
という呑気な電話でした。
「そんな場合ちゃうねん!パパ病院で!」
そうか、息子が学校に行ってる間にこうなったから、この人何も知らないんだ。
気楽なもんだ。
説明を受けて、病室に戻ると看護師さんがいらして、
「お腹を出してください」
とのこと。
人工肛門をつける位置を決めないといけないらしく、お腹よじったり、かがんだりして、お腹にシワの寄る位置をペンで何本も線を書かれました。
この時は放心状態というか、頭真っ白で、何を考えていたのか思い出せません。
ただただ、私のお腹に、大阪メトロの路線図のように黒い線が幾多も引かれ続けていました。
そして、18時。
車椅子に載せられて手術室に送られます。
嫁さんは終わるまで待っておこうか?と聞いてくれましたが、待ってたところでどうしようもないので、家に帰ってもらうようにお願いしました。
手術室の前で、最後に握られていた手を離して、
じゃあ行ってきます、バイバイ
と手を振りました。
後から嫁さんに聞いたのですが、その時の私の手、ものすごく冷たくなってたらしいです。
あー、またお腹開かれるのか。
どうなってしまうんだろう、俺。
不安と恐怖心。
真っ向から向き合うのが怖いので、成るように成れ的に、頭の中真っ白で手術室に入りました。
