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『ちりたん』制作秘話⑥知識と世界観が、カードデザインになるまで

①がまだの方は下記からどうぞ

『ちりたん』というゲームを制作しました。

前回は、自然現象をカードゲームのルールに落とし込んでいった話を書きました。

自然現象を洗い出し、分類し、同じ自然を3回経験すると学習するという考え方をルールにしていく。
そこから、『ちりたん』は少しずつゲームとして形になっていきました。
ただ、ルールができたからといって、そのままカードデザインが完成するわけではありません。

次に必要だったのは、赤穂しゅなさんの知識や世界観を、カードや箱に載せられる情報として整理していくことでした。
そして、その情報を実際に「見やすく、遊びやすく、魅力的なデザイン」に変えてくれたのが、ゆにさんでした。

知識と世界観が、カードデザインになるまで

ゲームのルールが見えてくると、次はカードに載せる情報を考える必要があります。

現象名はこれでいいのか。
この分類で合っているのか。
現象と効果の組み合わせに違和感はないか。
カードにどこまで情報を載せるのか。
遊んでいるときに、ちゃんと読み取れるのか。
箱には何を載せるべきなのか。

こうしたことを一つずつ確認していきました。

ゲーム制作では、ルールとデザインの間に「情報を整理する作業」があります。ここを飛ばしてしまうと、デザインする側もかなり困ります。

「いい感じにしてください」は、制作現場における便利そうで危険な言葉です。便利そうに見えて、だいたい何も解決しません。人類は曖昧な言葉で相手に未来予知を求めがちです。

だからこそ、できる限り情報を整理して、デザインに入りやすい状態を作ることが大切でした。とはいえ、ここはまだまだ僕も勉強中の分野です。

自然現象とカード効果の組み合わせを確認する

まず確認していったのは、自然現象とカード効果の組み合わせです。

『ちりたん』では、自然現象をただカード名として載せるだけではなく、その現象がゲーム中でどのような効果を持つのかも重要になります。

たとえば、雨は恵みにもなりますが、降りすぎればリスクにもなります。
川は暮らしを支える存在ですが、氾濫すれば大きな被害にもつながります。
森も資源や豊かさをもたらす一方で、火事や動物との関わりなど、別の側面もあります。

自然は単純に「良いもの」「悪いもの」と分けられません。

だからこそ、この現象にこの効果を持たせるのは自然か。
この分類に入れるのは違和感がないか。
ゲームとしての効果と、地理や自然の意味がズレていないか。

そのあたりを確認していきました。
カードゲームとして面白いことも大事です。
でも今回は、赤穂しゅなさんの地理への興味や知識が土台にあります。

遊びながら、少しでも自然や地理に触れられるものにしたい。
そのため、現象名や分類、効果の組み合わせはかなり大事な部分でした。

しゅなTipsをどう入れるか

カードには、フレーバーテキストのような形で、それぞれの自然現象に赤穂しゅなさんのTipsを入れられると面白いのではないか、という話になりました。

ただ現象名と効果が書かれているだけではなく、その自然現象について少し知るきっかけになる一言がある。

遊んでいる最中でも、遊び終わったあとでも、

「これってそういう意味があるんだ」
「もう少し調べてみたいかも」

と思えるような入口です。

この部分は、赤穂しゅなさんの地理への知識や視点がかなり生きるところでした。実際にしゅなさんは、地理学辞典などを購入し、文献にもあたりながら、Tipsを作成してくれました。

ここには、かなり地理に対する熱い想いを感じました。

単なる思いつきの豆知識ではなく、ちゃんと調べたうえで、カードに載せる言葉を考えてくれている。
その姿勢がとてもありがたかったです。

打ち合わせの途中でも、しゅなさんが自然現象や地形について解説してくれる場面がありました。
それが普通に面白かったんですよね。

ゲーム制作の打ち合わせをしているはずなのに、気づいたら地理の話を聞いていて、「なるほど、そういうことなのか」と思う瞬間が何度もありました。
この感じを、カードの中にも少し入れたい。

しゅなTipsは、そういう意味でも『ちりたん』らしさにつながる要素だったと思います。

箱に載せる情報も整理する

カードだけでなく、箱に載せる情報も整理していきました。

どんなゲームなのか。
誰が作ったのか。
何人で遊べるのか。
どれくらいの時間で遊べるのか。
どんな体験ができるのか。
パッケージを見た人に、最初に何が伝わればいいのか。

箱は、ただの入れ物ではありません。

イベント会場や販売ページで、最初にゲームの印象を伝える場所です。だから、箱に載せる情報もゲームの一部として考える必要があります。
このあたりは、ワイヤーフレームのような形で、必要な情報を整理して共有しました。

最初から完成デザインを作るわけではありません。

どこに何が必要そうか。
どの情報を優先するべきか。
どこまで見せるべきか。

まずはその土台を作っていきました。

カードデザインに必要な要素

カードデザインについても、必要な要素を整理していきました。

属性。
数字。
現象名。
効果。
しゅなTips。
視認性。
情報の優先順位。

カードには、見た目としての魅力も必要です。
でも同時に、ゲーム中にすぐ情報を読み取れることも大事です。

かわいいだけでは遊びにくい。
情報が整理されているだけでも味気ない。

その両方のバランスが必要になります。

特に『ちりたん』は、自然や地理に触れるゲームです。
カードを見たときに、自然現象としての雰囲気も感じられる。
でも、ゲーム中には必要な情報がすぐ分かる。
そして、赤穂しゅなさんらしさも感じられる。

こうした要素をどう両立させるかが、デザイン面でかなり大事になっていきました。

ここから先は、ゆにさんの手腕

そして、整理された情報を実際にカードや箱のデザインにしていく部分では、ゆにさんの専門性にかなり助けられました。

情報を整理したからといって、それをそのまま並べればカードになるわけではありません。
むしろ、情報をただ並べるだけでは、見づらくなります。

どの情報を大きく見せるのか。
どこを読ませるのか。
ゲーム中に迷わない配置にするにはどうするのか。
世界観として魅力的に見せるにはどうするのか。
箱として手に取りたくなる見せ方にするにはどうするのか。

そのあたりを汲み取りながら、ゆにさんがデザインとして成立する形にしてくれました。
打ち合わせや確認の中でも、ゆにさんのデザインに対するこだわりをかなり感じました。

単にかわいくするのではなく、遊びやすさ、見やすさ、世界観、商品の見え方まで含めて考えてくれていた。
情報を並べることと、デザインすることはまったく違います。

今回、それをかなり実感しました。

ゲームとして必要な情報を、見やすく、遊びやすく、魅力的に見せる。
その部分は、ゆにさんの手腕がかなり大きかったと思います。

鬼チェックに応えてくれたこと

ちなみに、確認作業はかなり細かかったと思います。

現象名はこれでいいか。
効果との組み合わせは自然か。
情報量は多すぎないか。
カードとして見やすいか。
遊んでいるときに迷わないか。
箱を見たときに魅力が伝わるか。

かなり色々見ていました。

普通なら、面倒くさがられてもおかしくない確認量だったと思います。
いわゆる鬼チェックです。

しかし、ゆにさんはそれを「楽しい」と言いながら受け止めてくれました。
これは本当にありがたかったです。

細かい確認を、ただの修正依頼としてではなく、より良いものにするためのやり取りとして受け止めてくれた。
そして、それを専門的な知見でデザインに反映してくれた。

そこに、ゆにさんのすごさをかなり感じました。

それぞれの得意なことが噛み合っていく

このフェーズで感じたのは、チームで作る面白さでした。

赤穂しゅなさんの地理への知識や世界観がある。
ゆにさんのデザイン力がある。

それぞれの専門性が重なって、カードや箱という形になっていく。

ルールだけでは、ゲームは完成しません。
知識だけでも、ゲームは完成しません。
デザインだけでも、ゲームは完成しません。

それぞれの得意なことが噛み合ったところに、今回の『ちりたん』らしさが生まれていったのだと思います。

ゲーム制作は、一人で全部を抱えることもできます。
実際、これまで自分一人で作ってきたゲームもたくさんあります。
でも、今回のように、それぞれの得意なことが噛み合っていく制作には、また違った面白さがあります。

赤穂しゅなさんの知識や世界観。
ゆにさんのデザイン力。
そして、それらがカードや箱という形になっていく過程。

このフェーズでは、チームで作ることの面白さを強く感じました。

『ちりたん』は、赤穂しゅなさんの地理への熱量と、ゆにさんのデザインへのこだわりがあったからこそ、形になっていったゲームだと思います。

完成品だけを見ると、ひとつのカードゲームとして見えるかもしれません。
でも、その裏側には、自然現象をどう扱うかを話し合った時間がありました。

地理について調べ、Tipsを考えてくれた時間がありました。
カードや箱としてどう見せるかを考え抜いてくれた時間がありました。
そして、それぞれの専門性が重なって、ようやく『ちりたん』という形になりました。

今回の制作を通じて、改めて感じたのは、ゲーム制作はルールだけでできているわけではないということです。

知識があり、世界観があり、デザインがあり、遊びやすさがあり、届け方がある。
その全部が重なって、ようやくひとつのゲームになります。

『ちりたん』は、そんな共同制作の面白さを強く感じた作品でした。

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