誤訳から始まった国内限定の幻想と、日本のポップカルチャーの関係性:『ノルウェーの森』という世紀的勘違いからの、ガラパゴス的文化昇華
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※本記事は『意訳と誤訳の境界論』の続編的位置づけですが、単体でもお楽しみいただけます。
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おかげでフォロワー様も370名を超え、この場をモチベーション高く続けられていることに感謝しております。
本記事は日本独自の「誤訳から生まれた幻想」を具体例で掘り下げており、国内文化の特殊性を考える上で面白い素材になるはずです。
より踏み込んだ議論となるため、有料設定とさせていただきました
(ただし期間限定で無料といたします)。
執筆労力に見合った形でのチャレンジとして、ご理解いただければ幸いです。
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#1. はじめに:前提として誤訳は許容されない
翻訳とは本来、原作の意図や文脈を正確に異言語へと転換し伝える営みであり、創作とは異なる倫理を伴う行為だ。
従って、意図的であれ偶発的であれ、原作の意味を著しく損なう誤訳は、本質的には肯定されるべきではない。
しかしながら日本の翻訳文化には、そうした「誤訳」が特定の文脈において独自の価値や幻想を生み出し、国内における文化的潮流に影響を与えたものも存在する。
その最たる例が、The Beatlesの楽曲《Norwegian Wood》の邦題『ノルウェーの森』である(※)。
※「森」が誤訳であるという根拠の説明は、以前筆者が書いた下の文章に詳しい。興味のある方はお目通しいただきたい ↓
本稿では、筆者自身が村上春樹のファンではなく(むしろ苦手なほう)、また誤訳擁護の立場でもないことを明言した上で、この「誤訳に端を発するファンタジー」がいかに日本固有の文化的想像力を形成し、ガラパゴス的とも言える国内ポップカルチャーの一角を担うまでに至ったかを、他事例(聖書やハリー・ポッターシリーズなど)とも併せて考察していく。
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#2. 「wood=森」という世紀の大誤訳
しつこいようだが、改めて繰り返す。
The Beatlesの『Norwegian Wood』という曲において、タイトルおよび歌詞中の "wood" は不可算名詞であり、英語話者にとっては「森」ではなく「木材」を意味するのが自然な語感である。
実際、歌詞の文脈からもそれは明白であり、部屋にある調度品、もしくは部屋の建材としての木材を指すと解するのが論理的だ。
筆者はどっちかと言えば「調度品・家具」派だが、それはさておき。
つまるところ「ノルウェーの森」という邦題自体は、原作の意図を根本的に誤読したものであり、プロの翻訳としては許されないレベルである。
文法的、語法的、文化的いずれの観点からも破綻している(※)。
※筆者は英検準1級、CEFRによる英語理解レベルは恐らくC1ぐらいの素人訳者だが、それでも不可算名詞の wood が木材の意味であることは知っている。
その程度のレベルだと認識いただきたい。
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#3. 村上春樹による「文学的幻想」への昇華
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