秩序を守る人とズラす人:『教場』を観て、私は絶対に警察官に向いていないと思った話【ひとりごと】
たぶん私みたいなタイプは、警察官とか自衛隊員みたいな職業に、致命的に向いていない。
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今更ながら『教場』を一部だけ観た。
なんかすぐ退校届を生徒に出させたがる警察学校の指導官の話、としてしか認識してなかったのだが、まあこれが面白い。
やはり木村拓哉氏は素晴らしい役者だなあと感じながらも(元々ゲームのジャッジシリーズ〈通称キムタクが如く〉を通して好きだったけど)、同時にふと思いついてしまった。
「絶対に向いてねえな俺」と。
警察学校も軍(自衛隊含む)の訓練も本質は同じところにある。『フルメタル・ジャケット』や『ジャーヘッド』などでも描かれているが。
あれ、表向きは「心身を鍛える」みたいな話になっているが、本質はそこじゃない。
「個人の判断より、組織としての統一判断を優先できる状態を身体化すること」こっちが本体。そしてこれが徹底的に、私に向いていない理由だ。
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■ 「個を消す」ではなく「上書きする」
誤解されがちなのだが、完全に「個」を消しているわけではないとは思う。正確には「個を一時的に上書きする術を得る」に近い。
なぜそれが必要か。
極端に言うと、警察官も自衛官も軍人も、
●判断の遅れ=即死
●情報は常に不完全
●感情が判断を狂わせる
みたいな状況が前提だから。
だからこそ、「考える前に動ける共通OS(=即時判断のためのプリセット)」が必要になる。
それが「群」。
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■ 思考停止を促しているわけではない
●命令に従う
●フォーメーションを守る
●個人の判断を一旦凍結する
これだけ見ると「思考停止」に見えるが、実際は逆。「思考の外部化」のほうが正確なのだろう。
つまり、個としての自分の中で毎回判断するのではなく、「あらかじめ共有された判断基準(共有サーバーみたいなもの)」に乗るということ。
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■ 『教場』が描いていたもの
『教場』で徹頭徹尾やっていたのは「状況に適応できる人の選別」に見えた。「倫理的に正しい人」を育てているわけではない。「個をいったん潰せる資質と強度のある人の見極め」である。
その強度がないと、文字通り「死ぬ」から。
厳しい世界だ。
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■ 教官側のほうがキツい説
YouTubeでアメリカの新兵訓練のドキュメントを観た時も思った。人格否定に近い指摘の嵐。ああいう訓練キツい。どう考えても教官側のほうが。
理由は至極シンプルで、「人を壊さずに壊す」必要があるからだ。
●心を折るが、折りすぎると脱落させてしまう
●恐怖を与えるが、トラウマ化はNG
●従わせるが、思考力は残す
つまり、 常に「矛盾ギリギリのライン」を見極め続ける仕事。しかも彼らは新兵以上に「自己を殺すこと」を強いられる。究極のマネジメント。人材育成の極北。一応私も中間管理職の経験者だから、それがどれだけ高度なことなのかは判る。
そしてやりたくない。
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■ で、なんで自分には向いていないのか
長々と前提を書いてしまったが、ここで自己分析に戻りたい。
私はたぶん、カテゴライズするに「秩序を“内側からズラす人”」なのだ。
またはそういう人を増やす人。資質的にも職業(広告のクリエイティブ)的にも。
一方で、警察や軍は「秩序そのものを“身体化する人”」を作る場所。
この時点でベクトルが真逆。
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■ 向いていない理由(精密版)
noteの記事や広告の仕事で作るもの。
以下の条件が必須だ。
●メタ視点を強くする
●構造を見抜こうとする
●「ズラし」で価値を作る
これを裏返すと、「完全に同調することに耐えられない」ということになる。
個をいったん潰す強度が著しく低い。
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■ でも、それは劣っているわけではない
ここは誤解されたくないところで。
●秩序を守る人(警察、自衛隊など)
●秩序をズラす人(広告、創作、批評など)
これは、上下ではなく、役割の違い。
または合わせ鏡のような関係だ。
この両方がいないと社会は成立しない。
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■ 創作(文章執筆)との接続
これは文章執筆にもそのまま当てはまる。
「守る人」。
文法を守る、論理を通す、読者の理解を作る。
「ズラす人」。
前提を疑う、文脈を裏切る、論理の跳躍を作る。
そして重要なのは「両方必要」ということ。秩序が根底にないと、ズラす対象も存在しないから。
創作とは、秩序を守ることではない。
かといって、秩序を壊すことでもない。
「秩序を理解した上で、どこまで疑えるか」。
それが書き手の仕事だと思っている。
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■ 「ズラす人」は単独では成立しない
前述の通り、「ズラす人」は「秩序がある世界」でしか存在できない。
●秩序がある → ズラせる
●秩序がない → ただの混沌
だから自分は、秩序(またはそれを作る側)を否定したいわけではない。むしろ前提として必須。警察や自衛隊の皆様、ありがとうございます。
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■ 結論:持ちつ持たれつ
●警察学校=秩序に同化する訓練
●自分=それに適応できない側
でもそれは、不適合ではなく、役割の違い。
社会にはどちらも必要だ。
そして少なくとも、書く側としては、その役割の違いが武器になる。「物事を疑う」には、疑う対象としての体現者が必須だ。我々書き手は秩序によって生かされている。
なので、私は「秩序が嫌い」なのではない。
むしろ秩序があるからこそ、それを別の角度から見ることができてしまう人間なのだ。
なお、もし仮に自分が警察学校に入ったらどうなるか。十中八九、「座学だけはそこそこ優秀だけど、ある日突然辞めるタイプ」だと思う。
そして辞めたその日に、「なぜ自分は辞めたのか」という分析記事を書き始める。……そういう人間だから、最初から向いていないのである。
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