超一流ドラマーの条件・日本人編:NBA選手のアンドレ・イグダーラこそドラムの理想形である
タイトルを見て「は?」「わけわからん」「バスケとドラムが一緒?頭沸いてんのか」と思った方、ちょっと待って!先っちょだけ、先っちょだけだから!
読み進めていただければ納得させる自信はある。
超一流ドラマーの条件とは、NBAのアンドレ・イグダーラのプレイスタイルそのものなのだ。
本稿は、主に1980〜90年代から活躍しているドラマー達の特徴を比較、それを「イグダーラ的特性」に変換することによって、「超一流ドラマーそれぞれのプレイスタイルの違いと、共通点」の言語化を試みるものである。
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#0. はじめに:《gravity》で書くべきことを思い出してしまった件〜真矢という名手〜
『ビジュアル系という乱暴なカテゴライズを行なったマスメディアの功罪』論を書くために、LUNA SEAの《gravity》を聴き直していた。
気付いたら論稿そっちのけで、曲に聴き入っていた。いや、かっこええなこれ。同バンドがグラムロック+ハードロック+ニューウェイヴなスタイルから、ポストグランジ的な音像に転換した記念碑的楽曲だろう。
●ミニマルなリフと、厚みがありつつも各楽器の輪郭はボケないサウンドデザイン
●「サビで爆発しすぎる」歌謡曲的な構造を削ぎ、ダークかつ洋楽的に纏めたコード進行とメロディ
●16thノートフィールの核を担う、このテンポでもドライブするJのベース
●テクスチャ重視の空間系エフェクトで絡み合うSUGIZOとINORANのツインギター
特にドラム。真矢のそれはパワー、グルーヴ、叩かない勇気が絶妙に交錯していて、聴けば聴くほど引き込まれる。余白の効いた後ノリのスネアのバックビート。モチーフ的に用いられる、「空白と密」のメリハリが利いたバスドラの2連打なんて絶品だ。
そこで思い出したのだ。「アンドレ・イグダーラって一流ドラマーと同じ立ち位置やな」という考えを。というわけで今回は、真矢さんをきっかけに書くべきだと考えた、「高イグダーラ型ドラマー・日本人編」でいきます。
※先日、真矢氏が脳腫瘍を公表されました。あのドラムプレイをまた観られるよう、1ファンとしてご快復を深くお祈りいたします。
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#1. アンドレ・イグダーラ的特性とは何か
アンドレ・イグダーラは主にNBAの名門ゴールデンステート・ウォリアーズ(GSW)で長く活躍した名選手だ。彼の特徴は単純なスタッツでは測れない。
まずは彼の紹介から。

シックスマンになってからの方が
評価が上がった稀有な存在である
●アンドレ・イグダーラ(Andre Iguodala)
主にNBAのゴールデンステート・ウォリアーズ(GSW)に所属、チームの2010年代中〜後半の連続優勝を支えた王朝の一角。
永久欠番9。
ポジションはシューティングガード/スモールフォワードをメインに、必要に応じポイントガード(司令塔)やパワーフォワードも。
アスレチックで華麗なダンク、リーグトップクラスのディフェンス力、本当に必要な時だけ決めるスリーポイント、戦術理解力、針の穴を通すようなパスセンス、場合によっては司令塔も務める万能性で活躍。
「シックスマン(スタメンより重要なベンチプレイヤー)」の代表的存在。主にベンチスタートだったプレイヤーで史上唯一、ファイナルMVPを獲得している。
GSWでのイグダーラはチームの輪郭を整え、普段は脇役、必要な時だけ主役になる人だった。
普段は目立たぬ黒子役としてチームを支えるが、ここぞという時には主役になれる能力を持つ。
役割を自在に変えられる適応力も持つ。
ドラムも同じだ。
普段はテンポキープとダイナミクス調整に徹し、曲の骨格を維持する。だがブレイクや転調、サビラストなど「ここぞ」の瞬間には主役に躍り出る。ジャンルや場面に応じてプレイを変える柔軟性を持つ。
まさにイグダーラだ。
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#2. イグダーラ指数:黒子力と爆発力(各ドラマーは独断と主観で選出)
「イグダーラ的特性」を測るために、ここではふたつの軸を設け、これを「イグダーラ指数」と名付ける。
1. 黒子力:普段のアンサンブル貢献度。全体を支える力。
2. 爆発力:必要な瞬間に主役になる力。
これらは相反するものではない。むしろ一流ほど両方を高いレベルで備えている(数字は主観で相対評価しました。ツッコミどころがあることは承知しております……)。
*各ドラマーのイグダーラ指数(相対比較)
●真矢(LUNA SEA)
黒子力:8
爆発力:9
「叩かないこと」すら武器にできるパワー型テクニシャン。
件の《gravity》ではベースとの絡みが心地良い16分のバスドラや、スネアの絶妙な間合い、差し引きの効いたフィルが冴え渡る。
「選択的に爆発する」ことでバンド全体の緊張感を操作する達人。
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●崎山龍男(スピッツ)
黒子力:10
爆発力:7
黒子力の権化。スポットにぴったり収まる8ビートひとつで世界観を完璧に支える。
普段の派手さはないが、あのグルーヴがあるからこそスピッツの「無重力ポップ&ロック」は成立している。
時折の爆発も、実は地味に難しいことをさらっとやってのけている。玄人好み寄り。
バンドキッズが安易にスピッツをコピーしようとして挫折する最大要因が彼。
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●青山純(山下達郎、MISIA 他)
黒子力:10
爆発力:8
日本のセッションシーンを支えた屋台骨。黒子としても爆発役としても一級品。
山下達郎バンドでの緻密なグルーヴ、角松敏生のライブでのキレ味。
地味に曲を支えていたかと思いきや、いきなり炸裂する大砲のようなタムワークは彼のシグネチャームーブ。
「空気を読む」という表現すら生ぬるい、アンサンブルの神経網。
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●佐野康夫(aiko、Original Love 他)
黒子力:9
爆発力:8
ポップスもロックもジャズもファンクも完璧にこなすオールラウンダー。
普段は黒子として徹底的に空気を整えるが、いざという時の爆発力は本当に凄まじい。
「この人、こんなにテクニカルだったの!」と驚かされる場面多数。ドラムソロ聴いてみな、飛ぶぞ。万能型ドラマーの最高峰。
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●村石雅行(松任谷由実、椎名林檎 他)
黒子力:8
爆発力:9
独特のハイピッチスネアと硬質なビート。聴く人が聴けば「あ、このドラムは村石さんだわ」と一発で分かる個性。
普段は堅実に支えつつ、爆発する時は突き刺さるような切れ味。というか鋭さ全振り。
ある意味「爆発寄りバランス型」日本代表。
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●yukihiro(L’Arc〜en〜Ciel)
黒子力:8
爆発力:9
「彼ならでは」な個性派フィルを繰り返すことでループ感を生み出す特異な存在。
普段の音量は抑えめで黒子寄りだが、あえて「そこにしかない音」を入れることで、ラルクの楽曲に不可欠な「パーカッシブな異物感」を作る。控えめに見えて、実はとんでもなく目立っている。唯一無二の不思議なバランス。
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●村上 “ポンタ” 秀一(PONTA BOX 他)
黒子力:10
爆発力:10
日本が誇るレジェンド。人外枠ではないが「人間ができることを頂点まで極めた」存在。
黒子としても爆発役としても完璧。ジャンルを超えた適応力は世界でも稀有。「ドバラドタチタチ」の名フレーズは多くのドラマーが真似する彼の代名詞。
まさに「高イグダーラ型の理想形」であり、日本編のトメを飾るにふさわしい。
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#3. なぜ超一流はイグダーラ的なのか
派手なソロやテクニックだけでは、曲(試合)全体は成立しない。
黒子力で安定した土台を作り、爆発力で局面を動かす。この二面性こそ、一流の証だ。
ただでさえドラムは「音が目立つ」。言い換えると、容易にアンサンブルを決壊させてしまう。
例えば、アマチュアでも「ギターが上手くてドラムが下手なバンド」と「ギターが下手でドラムが上手いバンド」両方混在しているが、聴けるのはどちらか。
実際体験すれば一目瞭然。後者のほうが圧倒的に「聴けるバンド」になる。
バスケもそうで、単に点取り屋が5人集まってもそのチームは極めて弱い。場を俯瞰する司令塔、スペースを作る職人、スリーポイント専門の砲台、それらを全て行なってチームの穴を埋めるユーティリティプレイヤーなど、エースとロールプレイヤーのバランスとアンサンブルが強いチームを作る。
90年代の王朝だった、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズや、イグダーラが所属していたGSW(エースはステフィン・カリー)の王朝時代もそうだった。
これは音楽・バスケに限らず、他スポーツや演劇、ビジネスチームなどでも同じことが言える。
「引き算の美学」と「局面打開力」の両立は、どんな集団でも最強の武器になる。
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#4. 日本人ドラマーに共通する傾向
タイプ別にざっくり分けるとこんな感じか。
●黒子力極高型:崎山龍雄
●爆発寄りバランス型:真矢、村石雅行、yukihiro
●黒子寄り爆発型:青山純、佐野康夫
●同型両立型:村上 “ポンタ” 秀一
日本人の高イグダーラ型は「空気を整える」方向に寄る傾向が強い。
真矢や村上 “ポンタ” 秀一に代表されるように、空間の「余白」をデザインする力が突出しているプレイヤーが多い。
※比較して、欧米の高イグダーラ型ドラマーは「主役⇔黒子」を大胆に切り替えるタイプが多い印象がある。これは続編で語りたい。
これは日本の音楽文化が「間」「余韻」「調和」を重視する土壌で育ったことと無関係ではないだろう。
派手なだけでなく、あえて叩かないこと、響きを残すこと。そうした選択の積み重ねが、「超一流」の証となっている。
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#5. まとめ
というわけで、今回は「高イグダーラ型ドラマー・日本人編」をお送りした。
7人の「空気を操る異能者たち」がここにいる。
もしあなたが日本のドラマーに惹かれるなら、それは「間」や「余白」を大切にする美意識に共鳴しているからかもしれない。
音を出すことも、音を出さないことも。
その両方を極めてこそ、ドラマーは「アンドレ・イグダーラ」になれるのだ。
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……とか言いながら、書きたい文章のネタは増えるばかり。
次は『高イグダーラ型ドラマー・海外編』をやって、『イグダーラ度をカンスト・限界突破した人外枠7選』も書きたい。
『低イグダーラ型でも名ドラマーになれる条件』論も書いて、本来の目的だった『ビジュアル系という乱暴なカテゴライズを行なったマスメディアの功罪』論も仕上げたいなあ。
……うれしい悲鳴である。
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👉️次回予告
というわけで、本日夜に『高イグダーラ型ドラマー・海外編』公開予定です!
↓↓↓ 海外編投稿しました! ↓↓↓
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