コーンロウのシャンプー動画にハマっていたら、なぜか月代ちょんまげの合理性に辿り着いてしまった話
最近、コーンロウをほどいてシャンプーする美容室の動画にハマっている。
普通のシャンプー動画の数倍気持ちがいい。
編み込まれた髪が一本ずつ解放され、最後にブワッと広がる。思わず快感の声が漏れる。フケみたいな粉も出る。網目に溜まった抜け毛がまとめて掃除される。彼らが味わう久々のブラッシングの感覚なんて、想像しただけで絶頂できる。
なんというか、ギチギチに圧縮されていたものが解放されるタイプのカタルシスの塊だ。
ニキビの圧出動画や古いカーペット洗浄動画が好きな人なら分かるかもしれないこの気持ち。
んで、そんな動画を見ながら思ったこと。
「コーンロウって、めちゃくちゃ維持が大変そうやな……特に日本なんて高温多湿だし、かっこいいけど、冷静に考えて地獄だよなあ」
そこから、「人は非合理なものをなぜ我慢しながらも維持したがるのか」を考え出した。
ファッションってだいたいそう。
で、考えを巡らせてたら、なぜかちょんまげのことを思い出したという次第。人生は不思議です。
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#1. コーンロウ、かっこいいけど大変そう
私はアフリカ系の髪質について特に詳しくはない。なので最初は単純に「かっこいい髪型だな」くらいにしか思ってなかった。自分の世代的にはNBAのアレン・アイバーソンが象徴的人物。
だが動画を見ているうちに気付く。
めちゃくちゃ手間がかかっている。
何時間もかけて編み込む。洗髪も簡単ではない。頭皮も引っ張られる。前述の通り、日本の高温多湿な夏でやったら普通に地獄だろう。
そう思って調べてみると、実はコーンロウは単なるファッションではなかった。
アフリカ系の強い縮毛を管理するための、かなり合理的なヘアスタイルだったのである。
乾燥地帯に住む中で、絡まりやすい髪を保護し、毎日の整髪コストを下げる。
つまりコーンロウとは「髪を見せるための技術」というより「髪を管理するための技術」だった。
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#2. あれ? ちょんまげも「合理的」だったのでは?
日本では合理的とはとても言えないコーンロウ。ここでなぜか江戸時代の武士を思い出す。
月代(さかやき)である。
いわゆるちょんまげ。
前頭部を剃って後ろ髪を結う、あの独特な髪型。
現代人から見ると「なんで前だけ剃るんだ」である。控えめに言って頭おかしい(二重の意味)。
だが調べると、これも実はかなり合理的だった。
理由は単純。ただでさえ日本は地獄のような高温多湿。特に夏。昔は冷房なんてない。兜が暑い。戦国武将は長時間兜を被る。すると蒸れる。臭う。雑菌も増える。髪も邪魔になる。
そこで前頭部を剃り、通気性を確保した。
結果として、あの髪型になる。
つまりコーンロウが気候と髪質への適応なら、月代ちょんまげもまた気候と装備への適応だった。
コーンロウの機能美の日本版だったのだ。
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#3. 合理性は、やがて合理性を失い「文化」になる
ここからが面白い。
コーンロウも月代もちょんまげも、最初は合理的だった。しかし途中から意味が変わる。
コーンロウは髪の管理技術だった。
だが後に民族文化になり、アイデンティティになり、ファッションになった。
ちょんまげも同じ。最初は兜対策だった。
しかし後には武士の象徴になる。武士だからやる。理由は知らなくてもやる。
つまり、機能が先にあり、その後で意味が付与され、最後は象徴だけが残る。
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#4. 人類は合理性を忘れる生き物
こういう例は意外と多い。昔の人が面倒くささを解決するために作った工夫。環境に適応するための工夫。生き延びるための工夫。
そうした合理性が長い時間を経るうちに、伝統になり、文化になり、アイデンティティになる。
私たちはそれを「昔からあるもの」と受け取る。
しかし試しに掘ってみると、案外「当時の人が困っていたから」に行き着く。
月代もコーンロウもそうだった。
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#5. 結論:コーンロウから見たちょんまげ
というわけで、コーンロウのシャンプー動画を見ながら「頭皮大丈夫なんか……」と思っていたのだが、よく考えたら海外の人から見れば、月代ちょんまげも充分に狂気の産物である。
なぜ前だけ剃るのか。
なぜ後ろだけ結ぶのか。
なぜそれが格好良い?のか。
たぶん説明されなければ理解できない。しかしそれは、私がコーンロウを見た時と同じなのだ。
人類はいつの時代も、自分の文化圏の髪型だけを普通だと思い込んでいる。
そして私は今日も、コーンロウをほどく動画を見ながら妙なカタルシスを感じている。
文化論や文化人類学の入口というのは、案外そんな些細な違和感から始まるのかもしれない。
いや、黒人のコーンロウから江戸の武士を連想する人間がどれだけいるのかは知らんけど。
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