111.白鳥の騎士①
画像は以下のサイトから転載。
白鳥になった子供たち
長くなりますので今回は回を分けます。
白鳥の騎士伝説は、ブイヨン家、クレーヴェ家、オルデンブルク家、ヘッセン家の系譜の説明となるもう一つの「妖精が祖先」伝説です。
名家たちについては割愛しますが、白鳥の騎士はメリュジーヌの設定にも通じるところがあります。
白鳥の騎士伝説は、『白鳥になった子供たち』として知られる中世の有名な民話と関連しています。

この絵はアイルランドの異教の物語『リルの子供たち』を(子供向けに)あらわした絵なのですが、内容が似ているうえみなさんに好まれそうなので載せておきます。
『白鳥になった子供たち』は、ロレーヌのシトー派修道院に属していた修道士、ヨハネス・デ・アルタ・シルヴァがラテン語散文で記した『七賢者物語』の一編『De rege et septem sapientibus(王と七賢者について)』にはじめて見られます。
ただし、のちに付け加えられた『Dolopathos(ドロパトス)』という題名のほうがよく知られています。
この『ドロパトス』は、詩人エルベールによってフランス語の『ドロパトスの物語』として翻訳されました。

『ドロパトスの物語』では、高貴な若者が狩りに出かけ、見事な角をつけた白い雌鹿を見つけます。よくある話です。
鹿を追っていくうちに魔法の森に迷い込み、そこで若者は水浴び中の神秘的な女に出会います。よくある話です。
当然のように一目惚れし、女を城に連れ帰りました。その後女は七つ子を産みました。
子供の構成は男が六人、女が一人です。そして子供たちの首には金の鎖が巻かれていました。
鎖のくだりはよくわからない設定ですが、気味の悪さだけは伝わってきます。
なお若者の母親は、かねてから息子と妻(女)に嫉妬していました。なので子供たちを白鳥に変えてしまいました。
子供たちは最終的に人間の姿に戻されるのですが、一人は例外で、その子が白鳥の騎士の物語に登場する白鳥になります。
「なぜ白鳥?」という疑問にはわからないので答えられませんが、とにかくこのような原型があった、ということです。
そしてかつて人気があったのであれば、もちろん借用します。

騎士の身元
『ドロパトス』に残されている最古のバージョンでは、白鳥の騎士の身元については記されていません。
ですが古フランス語で書かれたシャンソン・ド・ジェスト(武勲詩)の十字軍サイクルでは、例によって設定が改編されています。
一一九二年ごろに創作された『Le Chevalier au Cygne(白鳥の騎士)』において、白鳥の騎士はゴドフロワ・ド・ブイヨンの伝説上の祖先ということになりました。

ゴドフロワ・ド・ブイヨン(一〇六〇年~)は、何度もお伝えしているとおり、第一回十字軍(諸侯十字軍、王子たちの十字軍)の指導者の一人でした。
そしてゴドフロワはエルサレム奪還の功績によって、騎士道の理想を体現する九人の偉人、ナイン・ワースの一人となりました。
念のためナイン・ワースのスタメンを以下に載せておきます。
トロイの英雄ヘクトール
アレクサンドロス大王
ユリウス・カエサル
モーセの後継者ヨシュア
ダビデ王
マカバイ戦争の指導者ユダ・マカバイ
アーサー王
カール大帝
ゴドフロワ・ド・ブイヨン
このNoteを頭から読むと、非常に味わい深いスタメンとなります。どれもユダヤがらみです。
『Le Chevalier au Cygne(白鳥の騎士)』の最初のエピソード「Naissance du Chevalier au Cygne(白鳥の騎士の誕生)」は、二つのバージョンで伝わっています。
一つはKing LothairとElioxeの息子、もう一つがKing OrientとBeatrixの息子という設定です。
そしてどちらの物語でも、七人の子供が産まれて全員が白鳥に変えられます。
そして一人をのぞいて人間の姿に戻り、戻れなかった一人(一羽)は白鳥の騎士として知られる兄弟のボートを引いたりすることになります。

イラストにするとかなりシュールなのですが、やはりそこはかとない不気味さを感じます。
白鳥の騎士は、ザクセンのレニエに領地を奪われたブイヨン公爵夫人を救うために登場し、レニエに決闘を挑みます。
そしてレニエを打ち負かし、公爵夫人の娘と結婚します。
ですが娘(妻)が白鳥の騎士の正体をたずねたので、騎士はブイヨンを離れなくてはならなくなりました。
騎士がブイヨンを離れたあと、エリアスという名前だったことが判明し、ボートを引いていた兄弟はついに人間の姿を取り戻しました。
メリュジーヌも夫に土曜のプライベートを約束させていましたが、「正体を知られてはならない」という設定は映画でもよく見られます。
そのせいで愛する女と別れたりするので、とりあえずダンディーです。
正体を隠す理由としては、極秘任務に従事している、という可能性がまず挙げられます。
キリストの騎士として聖杯を守る、などです。
現実の系譜
白鳥の騎士の娘イドは、ブローニュのウスタシュ三世(一〇五〇年ごろ~)、ゴドフロワ・ド・ブイヨン、エルサレム王ボードゥアン一世(一〇六五年ごろ~)の母となりました。
念のため付け加えておくと、イドは架空の人物、三人の息子たちは実在の人物です。
そして全員が第一回十字軍に参加しています。
この兄弟たちの実際の母親はイド・ド・ブローニュで、白鳥の騎士の娘ではありませんが、ナイン・ワースの一人カール大帝の子孫にあたります。
カール大帝に代表されるカロリング朝の王たちは、ヘロデ家、ユリウス・クラウディウス家、コンマゲネ家、エメサの祭司王の婚姻によって生まれたミトラ教の血統を受け継いでいました。
イドの息子の一人、ブローニュのウスタシュ三世は、メアリー・オブ・スコットランドと結婚しました。

このメアリーはスコットランド王デイヴィッド一世(一〇八四年ごろ~)の妹で、聖マーガレット・オブ・スコットランドの娘です。
聖マーガレット・オブ・スコットランドはスコットランド王マルカム三世(一〇三一年~)の妻で、母親は何度かお伝えしている重要人物、ブルガリアのアガサです。
このアガサは南フランスのギレム家、ハザール人の血を引く東欧の一族、そしてスペイン貴族たちの婚姻関係を象徴する人物です。
どれだけ重要なのかは過去記事を読むしかありません。
そしてスペインといえば、レコンキスタとサンティアゴ巡礼です。
レコンキスタと十字軍を後援したのは、クリュニー修道院を筆頭とした修道院たちでした。
有名なクリュニー修道院は、「テンプル騎士団の背後にある騎士団」だったと疑われている修道院です。
クリュニー修道院をこしらえたのはギレム家のアキテーヌ公ギヨーム一世(八七五年~)で、ダビデの血統つまり「ユダヤ人」です。
祖先には英雄ギヨーム・ド・ジェローヌ(七七五年ごろ~)、子孫にはフランス&イングランド王妃となったアリエノール・ダキテーヌがいます。
上記の人たちは、やたらと修道院と建てたり寄進したりしていました。このNoteをお読みの方はご承知でしょうが、単に敬虔だったから、ではありません。
有名なイングランド王スティーブン(一〇九二年ごろ~)と妻のマティルド・ド・ブローニュは、一一四八年に王家の墓所としてフェヴァーシャム修道院を建立しました。

フェヴァーシャム修道院の図書館には、自分たちの白鳥の騎士の血統を記した『Liber Rubeus de Scaccario』の写本がありました。
白鳥の騎士の血統は、マティルド・ド・ブローニュによって受け継がれました。このマティルドはブローニュのウスタシュ三世の娘だからです。
そしてマティルドは、ブロワのヘンリーの兄のイングランド王スティーブンと結婚したわけです。
「モンマスのジェフリー」は、偽物の歴史書『Historia Regum Britanniae(ブリタニア列王史)』を執筆した人です。ふつうにアーサー王も登場します。
そして「モンマスのジェフリー」は、ブロワのヘンリーの筆名だった可能性があります。
系譜をたどると重要人物はことごとくつながっているとわかります。お頭つきならぬ伝説つきで、そしてどれもダビデの血を引く「ユダヤ人」です。
信じること
ギヨーム・ド・ティール(一一三〇年ごろ~)は、十字軍遠征を記録した年代記作家です。

このギヨームは、ゴドフロワ・ド・ブイヨンと白鳥の騎士の関連性にはじめて言及した人です。
一一七〇年ごろ、ギヨームはこのように記しています。
われわれは意図的に白鳥の伝説について触れない。多くの人々が事実と見なしている、すなわちかれ(ゴドフロワ・ド・ブイヨン)の起源が白鳥にあるという説だが、この話は真実味に欠けるように思われるからだ。
至極まっとうな意見です。
そしていちいち言及したのは、「ゴドフロワ・ド・ブイヨンが白鳥の騎士の子孫だ」という物語がすでに広く知られていたから、と推測できます。
また、「多くの人々」が真剣に受け止めていた、とも考えられます。
これを読まれている方の思考を矯正したいので脇道に逸れますが、ファンタジーを真剣に受け止めていたというのは、イコール昔の人は無知蒙昧、とはなりません。
つまり真剣さのベクトルです。こういった人たちの言動は、好きになったら嘘も含めて信じるでしょう。

「嘘が含まれてるのはわかってるよ」と反論されるかもしれませんが、まさにそのベクトルでの信仰です。
あるアイドルやアーサー王、ゴドフロワ・ド・ブイヨンなどが大人気になると、社会に影響を及ぼします。大企業がCMに登用し、ある商品がベストセラーになったりします。
そして自伝なども書かれます。たいていはゴーストライターの作だったりしますが、やはり「だからなんだ」「いわれなくてもわかっている」です。
つまりアーサー王は実在した、ゴドフロワ・ド・ブイヨンは白鳥の騎士の孫だ、好きな食べ物はオムライスだ、などの伝説は、「それがいい」「それでいい」という許容、許可によって成り立つのです。
ちなみにアーサー王は実在します。

AIとやらが生成したとされる人間たちは、すでにメディアで使用されています。
わたしたちはAIとやらが生成したとされる人間たちがフェイクだと知っているにもかかわらず、ニュースの中などで登場されるとあっさり本物だと信じます。
実在するアイドルが病気や不祥事などでドラマに穴を開けた場合、今後はAIで代用できるようになります。この場合は「存在しているが存在していない」です。
ドラマに出演したアイドルがじつはAIだった、と判明した場合、一部のファンは憤るかもしれません。許容、許可をしていないからです。
魔術のルールの一つに、「許可(パーミッション)を取る」というものがあります。事前にネタをばらしてからスペルバウンドする、というルールです。
AIは現在、大々的に喧伝されています。そのへんのおっちゃんすら「AI」を知っています。
そしてAIとやらが生成したとされる人間たちを、ここぞというところ(銃乱射事件の被害者など)で使用し、わたしたちに魔術をかけます。
インチキ銃乱射事件は数多く報道されています。目的はアメリカ人から銃を奪い、白人男性を去勢することです。

魔術の目的はともかく、被害者がAI生成だったことを非難しても、「いやいやAIなんてだれでも知っているでしょう?」「事前に教えていたでしょう?」「気づかなかったのはあなたに問題があるのでは?」です。
その後は「まあいいか」となり、画面の向こうの人が本物かどうかが常にわからない、という社会ができあがります。
リアル人間が(画面の向こうで)カメハメ波を撃てるようになります。ユーチューブなどで出てきそうなネタですが、これは「笑えるAI」で済みます。
ただしハリケーンの被害者、屋根の上に一人取り残された黒人の女の子、などになると問題が出てきます。
救助ヘリは女の子を救出せず、そのパイロットは白人だった、などの報道も低コストで可能になります。

リアル奇形児なども朝飯前で生成できます。そして「隔世遺伝」「先天性」「ウイルス」などが原因だ、と伝えると、わたしたちはあっさりとこの伝説を信じます。
「AI」は「ガン」と同じで、コトバで定義をするとガンについて知らない人までガンについて語ることができるようになります。
わたしたちはたいした頭もないので、この集合知における「ガン」の結論は「怖い」「タバコをやめる」「早期発見」程度で落ち着きます。AIの場合は「すごい技術」「未来」「仕事を失うかも」などです。
ですが実際はカバラのように、黒魔術としても使用できます。実際のわたしたちは、AIについて知っているつもりでじつはなにも知らず、AIかどうかを判断することすらできず、さらにはAIによる魔術を許可しつつあります。
このように、知識、グノーシスは、たいへん危険なものです。あなたの知識、グノーシスが、です。
そのへんの主婦も「ロキソニンは効く」などと話します。そこでロキソニンの作用機序などをたずねるとズレている人認定を受けます。
無知の知です。フィーリングです。「結局なにも知らないじゃないか」です。
ですが当の本人は「知っている」と認識しています。

現代西洋医学はアロパシー(対症療法)といわれます。アロパシーたちは、「症状」を抑える薬物を与える、という任務を負っています。
つまりのっけから治す気がない流派です。なので治っても、治癒とはいわず「寛解」といいます。
そのへんのおっちゃんも知っている「副作用」は、だれがなんといおうとその薬物の「作用」です。少し考えればわかることですが、やはりそのように指摘するとズレている人認定を受けます。
わたしたちは副作用を「知」り、副作用を恐れながら、結局薬物を摂取し、「副作用」に苦しみます。これが魔術です。
次は「副作用」を抑える薬物を摂取します。この薬物にももれなく「副作用」がついてきます。
複数の薬物によるエフェクトで身も心もぐちゃぐちゃになると、医者は匙を投げます。精神科、精神病院は、「やりすぎた患者たち」の受け皿としてあらかじめ用意されている病院です。
通常はそこまでいかなくても、花粉症、アレルギー、インフルエンザ、ひたすら泣き叫ぶ子供、などはおなじみです。
これらはすべてあなたのせいです。あなたはわが子にワクチンをブチ込み、つらくて痛くて泣き叫ぶわが子をさらに薬漬けにします。
自閉症のできあがりです。すると「隔世遺伝」「先天性」「ウイルス」などのどこかで聞きかじったコトバを持ち出して他人のせいにしようとします。
ですがすべてはあなたの仕事です。すすんでわが子を生贄に捧げたのです。
白鳥の騎士を許可させ、信じさせる、この「伝説」の魔術的パワーが実感できましたでしょうか。
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