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生成AI開発のために著作物を複製保存・モデル訓練のために複製することはフェアユースなのか?-BARTZ et al. v. ANTHROPIC PBC,3:24-cv-05417-WHA

 


はじめに

2025年6月25日未明(日本時間)に生成AI界隈で衝撃的なニュースが飛び込んできました。

そうです、生成AIを構成する基盤モデル(LLM)に著作者の許諾なく著作物を利用して訓練を行うことがフェアユースに該当するという判決(略式判決)が下されました。

このニュースはその後報道各社の記事になっております。

さて、この一日Twitter(現X)のTLを見ていると、早速この話題が駆け巡っている印象でした。
ただ、上の記事の内容を少し見ていただければわかるかと思いますが、本件の争点はどうやらこれだけではないようです。

・・・ということで、判決文本文を読んでみましょう!

※今回の判決文はかなりの前提知識を要するものなので、フェアユースに関する判例をある程度知っておいた方がおすすめです。なお、要点だけかいつまみたい方は、「3.まとめ」から読んでください。

※また、以下の過去記事もご参考ください。
この事件との違いについても言及されています。

1.翻訳上の注意・参考条文

この判決文は以下のリンクから読むことができます(もちろん英語)。

Order on Motion for Summary Judgment – #231 in Bartz v. Anthropic PBC (N.D. Cal., 3:24-cv-05417) – CourtListener.com

訳語について

さて、本件においては以下のように訳語を当てています。
・Central library:「中央ライブラリ」(Anthropic社のもの)
 
※Texaco事件の"Central library"は「中央図書館」と訳出しています。
Work:原則として「著作物」として訳出しています
 ※一部、文意が通るように「作品」としているものもあります。

★訳語として変な箇所・不自然な箇所があれば遠慮なく指摘していただけますと助かります。

参考条文(アメリカ著作権法)

※訳語はCRICホームページ(https://www.cric.or.jp/db/world/america.html)より抜粋。

101条(定義)(抄)
・・・

「二次的著作物」とは、翻訳、編曲、脚色、小説化、映画化、録音物、美術複製、抄録、要約、またはその他著作物を改作し、変形しもしくは翻案した形式のように、一以上の既存の著作物を基礎とする著作物をいう。全体として創作的な著作物を構成する改訂、注釈、発展またはその他の変更からなる著作物は、「二次的著作物」である。
・・・

第106条 著作権のある著作物に対する排他的権利
第107条ないし第122条を条件として、本編に基づき著作権を保有する者は、以下に掲げる行為を行いまたこれを許諾する排他的権利を有する。
 (1)著作権のある著作物をコピーまたはレコードに複製すること。
 (2)著作権のある著作物に基づいて二次的著作物を作成すること。
 (3)著作権のある著作物のコピーまたはレコードを、販売その他の所有権の移転または貸与によって公衆に頒布すること。
 (4)言語、音楽、演劇および舞踊の著作物、無言劇、ならびに映画その他の視聴覚著作物の場合、著作権のある著作物を公に実演すること。
 (5)言語、音楽、演劇および舞踊の著作物、無言劇、ならびに絵画、図形または彫刻の著作物(映画その他の視聴覚著作物の個々の映像を含む)の場合、著作権のある著作物を公に展示すること。また、
 (6)録音物の場合、著作権のある著作物をデジタル音声送信により公に実演すること。

第107条 排他的権利の制限:フェア・ユース

第106条および第106A条の規定にかかわらず、批評、解説、ニュース報道、教授(教室における使用のために複数のコピーを作成する行為を含む)、研究または調査等を目的とする著作権のある著作物のフェア・ユース(コピーまたはレコードへの複製その他第106条に定める手段による使用を含む)は、著作権の侵害とならない。著作物の使用がフェア・ユースとなるか否かを判断する場合に考慮すべき要素は、以下のものを含む。
 (1)使用の目的および性質(使用が商業性を有するかまたは非営利的教育目的かを含む)。
 (2)著作権のある著作物の性質。
 (3)著作権のある著作物全体との関連における使用された部分の量および実質性、および
 (4)著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響。
上記のすべての要素を考慮してフェア・ユースが認定された場合、著作物が未発行であるという事実自体は、かかる認定を妨げない。

第109条 排他的権利の制限:特定のコピーまたはレコードの移転の効果(抄)
(a)第106条(3)の規定にかかわらず、本編に基づき適法に作成された特定のコピーもしくはレコードの所有者またはかかる所有者の許諾を得た者は、著作権者の許諾なく、当該コピーまたはレコードを売却しその他占有を処分することができる。前段にかかわらず、第104A条に基づく回復著作権の対象となる著作物のコピーまたはレコードが著作権回復日前に、または善意使用者については第104A条(e)に基づく通知の掲載もしくは送達前に、製造された場合には、以下の日のうちいずれか早い日に始まる12ヶ月間に限り、回復著作権者の許諾なく、直接または間接の商業的利益を目的としてかかるコピーまたはレコードを売却しその他占有を処分することができる。
 (1)第104A条(d)(2)(A)に基づき著作権局に提出された回復著作権行使の意思の通知が連邦官報に掲載された日、または
 (2)第104A条(d)(2)(B)に基づき送達された実際の通知を受領した日。
・・・・・

第504条 侵害に対する救済:損害賠償および利益(抄)
・・・・

(c)法定損害賠償-
 (1)本項第(2)節に定める場合を除き、著作権者は、終局的判決が言い渡される前はいつでも、現実損害および利益に代えて、一つの著作物に関して当該訴訟の対象となるすべての侵害(一人の侵害者は単独で責任を負い、二人以上の侵害者は連帯して責任を負う)につき、750ドル以上30,000ドル未満で裁判所が正当と考える金額の法定損害賠償の支払を選択することができる。本項において、編集著作物または二次的著作物の部分は、すべて単一の著作物を構成するものとする。
 (2)侵害が故意に行われたものであることにつき、著作権者が立証責任を果たしかつ裁判所がこれを認定した場合、裁判所は、その裁量により法定損害賠償の額を150,000ドルを限度として増額することができる。侵害者の行為が著作権の侵害にあたることを侵害者が知らずかつそう信じる理由がなかったことにつき、侵害者が立証責任を果たしかつ裁判所がこれを認定した場合、裁判所は、その裁量により法定損害賠償の額を200ドルを限度として減額することができる。著作権のある著作物の利用が第107条に定めるフェア・ユースであると侵害者が信じかつそう信じるにつき合理的な根拠があった場合において、侵害者が(i)非営利的教育機関、図書館もしくは文書資料館の職員もしくは代理人としてその雇用の範囲内で行動している者、または非営利的教育機関、図書館もしくは文書資料館であって、著作物をコピーまたはレコードに複製することにより著作権を侵害したとき、または(ii)公共放送事業者または個人であって、公共放送事業者の非営利的活動の通常の一部(第118条(f)に規定する)として、既発行の非演劇的音楽著作物を実演しまたはかかる著作物の実演を収録した送信番組を複製することによって著作権を侵害したときには、裁判所は、法定損害賠償額の支払を減免しなければならない。
・・・・

合衆国憲法1条8項8号
The Congress shall have Power…
8 To promote the Progress of Science and useful Arts, by securing for limited Times to Authors and Inventors the exclusive Right to their respective Writings and Discoveries;
――――――――――――――――
合衆国は以下の権限を有する・・・
8 著作者及び発明者に、一定期間それぞれの著作及び発明に対し独占的権利を保障することによって、学術及び技芸の進歩を促進すること。


2.判決文本文


(1頁)

UNITED STATES DISTRICT COURT
NORTHERN DISTRICT OF CALIFORNIA

ANDREA BARTZ, CHARLES GRAEBER,
and KIRK WALLACE JOHNSON,
Plaintiffs,
v.
ANTHROPIC PBC,
Defendant.
No. C 24-05417 WHA ORDER ON FAIR USE



あるAI企業が、インターネット上の海賊版サイトから数百万冊の著作権で保護された書籍をデジタル形式で無料ダウンロードした。この企業はまた、著作権で保護された書籍を購入し(海賊版サイトから取得したものと一部重複している)、製本を解体し、全ページをスキャンして、デジタル化された検索可能なファイルとして保存した。これらすべては、「世界中のすべての書籍」の中央ライブラリを構築し、「永続的に」保持するためになされた。この中央ライブラリから、当該AI企業は様々なデジタル化された書籍のセットやサブセットを選択し、自社のAIサービスを支える開発中の様々な大規模言語モデルの訓練に使用した。これらの書籍の一部は原告である著者らによって執筆されたものであり、その著者らは現在著作権侵害で訴訟を起こしている。略式判決において争点となるのは、問題となっている著作物の使用のうち、どの程度においてアメリカ著作権法第107条の下での「フェアユース」として認められるかという範囲である。


主張事実


被告Anthropic PBCは、2021年1月にOpenAIの元従業員らによって設立されたAIソフトウェア企業である。同社のコアサービスは、Claudeと呼ばれるAIソフトウェアサービスである。


(2頁)
ユーザーがClaudeにテキストで質問すると―Claudeは人間の読み書きを模倣して―テキストで迅速に応答する。Claudeがこれを可能にしているのは、Anthropicによって構築された[assembled]中央ライブラリから選択された書籍やその他のテキストを使用して、Claude ― より正確にはClaudeの様々なバージョンの基盤となる大規模言語モデル(LLM)―を訓練したからである。Claudeは2023年3月に初めて一般にリリースされた。それ以降、Claudeの7つの連続するバージョンがリリースされている。ユーザーはClaudeにいくつかの質問を無料で行うことができる。高度な利用を求めるユーザーや企業顧客はClaudeの利用に対して料金を支払い、年間10億ドルを超える収益を生み出している(反対証拠第18号)。

 原告Andrea Bartz、Charles Graeber、およびKirk Wallace Johnsonは、Anthropicが海賊版および購入したソースからコピーした書籍の著者である。Anthropicはこれらの複製物を独自の中央ライブラリに組み込み、さらにそれらのライブラリのコピーの様々なセットやサブセットを複製して様々な「データ・ミックス」に含め、これらのミックスを使用して様々なLLMを訓練した。Anthropicは、特定のコピーをLLMの訓練に用いないと決定した後、または二度と用しいないと決定した後でも、ライブラリのコピーを半永久的で汎用的なリソースとしてそのまま保持した。Anthropicによるすべての複製行為は、原告らの許可なく行われた。

著者Bartzは、Anthropicが複製・使用した4つの小説:『The Lost Night: A Novel』、『The Herd』、『We Were Never Here』、および『The Spare Room』の著者である。著者Graeberは同様に問題となっている2つのノンフィクション書籍:『The Good Nurse: A True Story of Medicine, Madness, and Murder』、および『The Breakthrough: Immunotherapy and the Race to Cure Cancer』を執筆した。そして、著者Johnsonは同じく複製・使用された3つのノンフィクション書籍:『To Be A Friend Is Fatal: The Fight to Save the Iraqis America Left Behind』、『The Feather Thief: Beauty, Obsession, and the Natural History Heist of the Century』、および『The Fishermen and the Dragon: Fear, Greed, and a Fight for Justice on the Gulf Coast』を執筆した。原告Bartz Inc.およびMJ + KJ Inc.は、それぞれ著者BartzおよびJohnsonが自身の著作物を販売するために設立した法人である。これら5名の原告(「著者ら」)は、上記に列挙された著作物のすべての著作権を所有している。


創立当初から、Anthropicは書籍を購入できる「多くの場を有してい[た]」が、共同創設者兼最高経営責任者のDario Amodeiが表現したように、「法的/実務的/事業的な労苦」を回避するために書籍を盗むことを好んだ(see Opp. Exh. 27)。



(3頁)

このため、2021年1月ないしは2月に、Anthropicのもう一人の共同創設者であるBen Mannは、著作権で保護された書籍の無許諾コピー―すなわち海賊版―から構成されたものであることを知りながら、196,640冊の書籍からなるオンライン・ライブラリであるBooks3をダウンロードした。その次のAnthropicの海賊版取得は、他の海賊版ライブラリから割り当てられ、再び共有されたコピーのダウンロード行為を含んでいた。2021年6月、Mannはこの方法でLibrary Genesis(LibGen)から少なくとも500万冊の書籍のコピーをダウンロードしたが、これらが海賊版であることを知っていた。そして2022年7月、Anthropicは同様にPirate Library Mirror(PiLiMi)から少なくとも200万冊の書籍の複製物をダウンロードしたが、Anthropicはこれらが海賊版であることを知っていた(Opp. Exh. 6 at 4; Opp. Expert Zhao ¶¶ 17–29; see Class Cert. (“CC”) Opp. Expert Iyyer ¶¶ 45–46)。これらソースからダウンロードされ、後に複製されたものは、データまたはデータセットと呼ばれることもあったが、本質的には.pdf, .txt, .epubなどの形式で個別のファイルに保存された完全なテキストの「電子書籍または書籍のスキャン」を含んでいた(例えば、Opp. Exh. 12 at -0391318)。Books3については、ほとんどのファイル名がその書籍の中身を特定していた。LibGenとPiLiMiについては、Anthropicは各コレクションについて、タイトル、著者、ISBNなどのフィールドを持つ書誌メタデータの個別のカタログをダウンロードした(例えば、ibid.; Opp. Exh. 16 -0533972–73)。これにより、Anthropicは700万冊を超える書籍のコピーを海賊版として入手していたが、これには各著者について問題となっている著作物の少なくとも2冊の複製物が含まれていた[1]。

Anthropicが一連のLLM [successive LLM]を訓練するときに、書籍を使用することが世界クラスのLLMを達成する最もコスト・パフォーマンスの高い手段であると確信するようになった。しかし、この間にAnthropicは「法的理由」により海賊版書籍での訓練について「それほど熱心なものではなくなった」という(Opp.Exh. 19)。それでも海賊版書籍を保持し続けた(例えば、Opp. Exh. 17 at 93–94; CC Opp. Exh. 35 at -0273474)。

脚注1
具体的には、以下の著作物であった(反対専門家Zhao証言36段落;CC書面専門家Zhao証言66段落参照):
• Bartz著『The Herd』(合計5冊)(LibGenとPiLiMiに収録)
• Bartz著『The Lost Night』(合計3冊)(Books3, LibGen, PiLiMiに収録)
• Graeber著『The Breakthrough』(4冊)(Books3、LibGen、PiLiMiに収録)
• Graeber著『The Good Nurse』(合計5冊)(Books3とLibGenに収録)
• Johnson著『To Be A Friend Is Fatal』(1冊)(Books3に収録);および
• Johnson著『The Feather Thief』(合計4冊)(Books3、LibGen、PiLiMiに収録)。
 Anthropicが空のファイル、重複などを除去して中央ライブラリに保持され、ここで計上された数に到達する前に、さらに多くのコピーをダウンロードしていたことを示唆する証拠もある。


(4頁)

書籍を入手する新たな方法を見つけるため、2024年2月、AnthropicはGoogleの書籍スキャンプロジェクトの元パートナーシップ責任者であるTom Turveyを雇用した。彼は「世界中のすべての書籍」を入手する任務を与えられたが、可能な限り「法的・実務的・事業的な労苦」を避けることも求められていた(Opp. Exhs. 21, 27)。そこで2024年春、Turveyは大手出版社数社にAI訓練用の書籍ライセンスについて問い合わせるメールを1,2通送った。Turveyがこれらの会話を継続していれば、出版社からAI訓練用のコピーをライセンス取得する合意に達していたかもしれない―別の大手テクノロジー企業がある大手出版社と間もなく行ったように(例えば、Opp. Expert Malackowski ¶¶ 50, 64)。しかし、Turveyはこれらの会話を立ち消えにしてしまった。

 代わりに、Turveyとそのチームは当該AI企業の「リサーチ・ライブラリ」のために印刷版を大量購入することについて、大手書籍流通業者および小売業者にメールを送信した(Opp. Expert Malackowski ¶¶ 50, 64)。Anthropicは数百万米ドルを費やして数百万冊の印刷書籍を購入したが、しばしば中古状態のものであった。その後、サービス提供業者が書籍を製本から解体し、ページを適切なサイズに切断し、書籍をデジタル形式にスキャンした―そして紙の原本は廃棄した。各印刷書籍は、機械読み取り可能なテキストを含むスキャンされたページの画像を含むPDFコピーとなった(ソフトカバー書籍については表紙と裏表紙のスキャンも含む)。Anthropicは取得した書籍について独自の書誌メタデータのカタログを作成した。同社は数百万冊の書籍のコピーを取得し、これにはすべての著者の問題となっている著作物がすべて含まれていた[2]。

Anthropicは他の機会にも著者らの書籍の一部を複製していた可能性もある―中央ライブラリのために書評、学術論文、インターネットブログ投稿などを複製している間にも、である。また、Anthropicのスキャンサービス提供業者も、最終的なデジタル・コピーをAnthropicに納品する過程で著者らの印刷書籍を複製していた可能性がある。しかし、当事者双方ともそのようなコピーが関わる法的問題を具体的に提起していない。そのため、この命令でも扱わない。

脚注2
換言すれば、スキャンされた書籍の中には以下の作品の1つまたは複数の複製物が含まれていた。
・Bartz著『The Herd』
・Bartz著『The Lost Night』
・Bartz著『We Were Never Here』
・Bartz著『The Spare Room』
・Graeber著『The Breakthrough』
・Graeber『The Good Nurse』
・Johnson『To Be A Friend Is Fatal』
・Johnson『The Feather Thief』、そして、
・Johnson『The Fishermen.』である。


(5頁)

上記のすべてのソースから、Anthropicは一般的な「リサーチ・ライブラリ」または「汎用化データエリア[generalized data area]」を作成した。これは何のためだったのか?Turveyが述べたように、これは「大量で、研究に使用する情報を作成する方法」であり、または「我々の―我々の製品」の「情報を提供する」ためのものであった(Opp. Exh. 22 at 145–46, 194)。当該コピーは、Anthropicが「取得または作成」した、すなわち海賊版で入手またはスキャンした、元の「基礎となる」書籍ファイルの「版」で保持された(Opp. Exh. 30 at 3, 4)。Anthropicは「すべてを永続的に保存する」予定であり、「書籍をカテゴリーごとに分類するかもしれない[が]、書籍を削除するようなやむにやまれぬ理由などな[かった]-LLMの訓練に使用されない場合でも。」という。時間の経過に従い、Anthropicは「汎用目的」ライブラリを検索し、さらなる用途のために書籍または書籍のセットにアクセスするためのより多くのツールの構築に投資した(CC Br. Exh. 12 at -0144509; CC Reply Exh. 45 at -0365931–32, -0365939–42(「書誌メタデータの改善や多様なリソースの統合を含む研究者が書籍を検索したい場合に今日何をするか」についてのレビューと改善の試み)。

さらなる用途の一つがLLMの訓練であった。訓練への予備的ステップとして、エンジニアは書籍と書誌メタデータを閲覧して、書籍がどの言語で書かれているか、どのようなテーマを扱っているか、有名な著者によるものかどうかなどを学ぶ―時には「書籍のいずれかを開[いて]」、時にはソフトウェアを使用していた。ライブラリのコピーから、エンジニアは訓練に最適と考える書籍のセットまたはサブセットを複製し、時間をかけてそれらの選択を「繰り返し[た]」。例えば、印刷物由来の書籍の2つの異なるサブセットが、2つの異なるLLMを訓練するための「データ・ミックス」に含まれた。それぞれは印刷物由来の書籍全体のほんの一部であった。同様に、Books3, LibGen, PiLiMiソースのコレクションの異なるセットまたは「サブセット」または「部分」または「一部」が、異なるLLMの訓練に使用された。Anthropicは、より多くの書籍、より少ない書籍、異なる書籍を使用することの結果を分析した。その目標は「データ・ミックス」を改善して各LLMを改善し、最終的に有料顧客に対するClaudeのパフォーマンスを向上させることであった[3]。

脚注3
例えば、Opp. Exh. 12 at -0391318(エンジニアは「任意の書籍を開く」ことができた);CC Reply Exh. 45 at -0365941(一部のエンジニアは「書籍を検索」し、その「スキャンされた書籍ファイル」を取得することを「望んでいた」);Opp. Exh. 30 at 3(訓練のために「そのような各データセットまたはその一部」の複製物を作成した);Opp. Exh. 6 at 3–4(「データセットの一部」で訓練し、LibGenからの少なくとも2つのそのような部分とPiLiMiからの4つで訓練した);Opp. Expert Zhao ¶¶ 27–28, 30–31(さらにPiLiMiからの2つとスキャンされた書籍からの少なくとも3つ);CC Opp. Exh. 35 at -0273477–82(海賊版および購入・スキャンされた書籍のサブセットをテストして訓練への影響を確認した);CC Br. Exh. 12 at -0144508–09(図書館からの選択を「反復」し、「最良のデータで新しいモデルを訓練」した);Br. Expert Kaplan ¶¶ 42–45(データ・ミックスの改善目標を説明);Br. Expert Peterson ¶ 14(同様)参照


(6頁)

時間の経過に伴い、Anthropicは著者らが執筆したような書籍をデータ・ミックスにとって最も価値の高いものと考えるようになり、それらの書籍に含まれる創作的な表現のゆえにそれらを評価した。Claudeの顧客は、Claudeが著者らと同じように正確で説得力をもって書くことを望んでいた。そのため、Claudeの基盤となるLLMを、著者らが執筆したものと同様の著作物で、よく選別された事実、よく整理された分析、魅力的な小説の物語を持つ作品で訓練することが最良であり―とりわけ「編集者が承認するような」種類の「良い文章」を持つ作品で訓練することが重要であった(Opp. Exh. 3 at -03433)。Anthropicは、そのような書籍や書籍を一切使用せずにLLMを訓練することも可能であった。しかし、それには良文が競合する模範例を作成するスタッフライターや、悪い模範例をより良いものに修正するエンジニア、より多くの訓練とファインチューニングの段階に電力を供給するための電気料金などにより多くの費用をかける必要があった。参照すべき正典的なテキストを持つことが有益であったという(例えば、e.g., Opp. Expert Zhao ¶ 81)。

特定のLLMの訓練のために選択されたそれぞれの著作物は、主に4つの方法で複製された―そして、実際には非常に多くの回数複製されたため、Anthropicも推定することさえ実用的でないと認めている。

第一に、選択された各著作物は、訓練セット用の作業用コピーを作成するために中央ライブラリから複製された。

第二に、各著作物は、少量の価値の低いまたは繰り返しのテキスト(ヘッダー、フッター、ページ番号など)を除去するために「クリーニング」され、「クリーニングされた」コピーが生成された。同じ書籍が2回現れた場合、または暫定的な訓練セット全体を見渡す中で書籍またはカテゴリーを除外する他の理由があることが明らかになった場合、Anthropicはこの段階で関連するコピーをセットから削除する能力を有していた(see CC Br. Expert Zhao ¶¶ 71–72)。

第三に、クリーニングされた各コピーは「トークン化された」コピーに変換された。一部の単語は、より単純な形に「語幹処理」または「見出し語化」された(例えば、「studying」から「study」へのように)。そして、すべての文字は短い連続に分類され、Anthropic作成の辞書に従って対応する数字の連続または「トークン」に変換された。生成されたトークン化されたコピーは、訓練中に繰り返し複製された。ある説明によれば、このプロセスは、各単語の断片と他のすべての単語の断片との間の偶発的な統計的関係を、任意の著作物内においても、他の複製された書籍、複製されたウェブサイトなどからの数兆の単語の断片全体においても、反復的な試行錯誤により発見することを含んでいた。他の訓練段階はここでは問題となっていない(同書¶¶ 73–76; see Opp. Expert Zhao ¶ 38 & n.6)。


(7頁)

第四に、完全に訓練された各LLMそれ自体が、訓練に使用した作品の「圧縮された」コピーを保持していた、少なくとも著者らはそう主張しており、本命令でもそれを当然のものとする。本質的に、各LLMの偶発的関係のマッピングは完全なものであったため、訓練に使用した著作物をほぼ逐語的にマッピングまたは実際に単純に「記憶」していた。したがって、完成した各LLMが訓練に使用した作品を暗唱するよう求められた場合、それを行うことができたであろう(例えば、e.g., Opp. Expert Zhao ¶ 74)。LLMを高精度なものにするためのさらなる段階はここでは問題にしない。

しかし、訓練用コピーが外部世界に向けて伝播するのはここまでであった。各LLMが一般公開版のClaudeに組み込まれたとき、LLMへのユーザー入力をフィルタリングし、LLMからユーザーへの出力をフィルタリングする他のソフトウェアによって補完された(同 ¶¶ 75–77)。その結果、著者らは、自身の著作物の侵害的コピーが当該Claudeサービスによってユーザーに提供されたまたは提供されることがあると全く主張していない。確かに、Claudeは拙筆な作家[less capable writers]が、その著者らや同じカテゴリーで競合するのと同じくらいに上手に書くことを支援することができるものであっただろう。しかし、Claudeは正確なコピーも、実質的なコピー商品[knock-off]も作成しなかった。著者らの著作物に遡ることができるものは何もなかった。そのような主張は単に原告らの修正訴状の一部にもないし、我々の記録にもない。

当事者双方とも、フィルタリングソフトウェアに使用された可能性のある著作物のコピーを直接には問題としていないので、本命令でも扱わないこととする。

要約すると、海賊版で入手されたまたは購入され破壊的にスキャンされた書籍のコピーは、セントラル「リサーチ・ライブラリ」または「汎用目的データエリア」に配置され、セットまたはサブセットがデータ・ミックス用の訓練用コピーを作成するために再び複製され、訓練用コピーは特定の訓練されたLLMにクリーニング、トークン化、圧縮されるために連続的に複製され、さらに一度訓練されるとLLMはClaudeを通じて一般にさらなるコピーを出力しなかった。最後に、Anthropicがライブラリ内の海賊版またはスキャンされた書籍のコピーを訓練にまったく用いないまたは二度と用いないと決定した後でも、Anthropicは他の用途または将来の用途のための「ハード・リソース」として当該著作物を保持し続けた。各著者から少なくとも1つの著作物が上記で説明されたすべての段階に存在していた。



(8頁)

2024年8月、3名の個人の著者らは、Anthropicがライブラリのためにコピーを海賊版で入手し、LLMを訓練するためにそれらを複製することによって連邦[によって保護される]著作権を侵害したと申し立てて、この推定的クラスアクションを提起した(Compl. ¶¶ 45–46, 71; see Amd. Compl. ¶¶ 47–48, 75)。2024年10月、スケジュール命令により、クラスアクションの承認の申立は2025年3月6日までに行わなければならないとされた(Dkt. No. 49)。


個人の著者らは間もなく、同意を得て関連企業を記載された原告[named plaintiffs]として含めるよう訴状を修正した。そして、Anthropicは以前に計画していたように修正訴状の棄却申立を行わないことを選択した(Dkt. No. 49)。代わりに、Anthropicはクラスアクション承認前であっても、フェアユースに関する早期略式判決申立を認めるよう申立てた(Dkt. No. 88; see Feb. 25, 2025 Tr. 15)。そしてその許可が与えられた。


(9頁)

Anthropicは現在、フェアユースに関してのみ略式判決を申立てている。フェアユースは裁判官が判断する法的問題であり、基礎となる事実問題があれば陪審員が判断する。略式判決で勝訴するために、Anthropicは争いのない事実および/または相手方に有利な事実推論に依拠しなければならない。したがって、Anthropicはこの申立において証拠提出責任と説得責任[the burden of production and persuasion]を負う(See Google LLC v. Oracle Am., Inc., 593 U.S. 1, 23–24 (2021); Andy Warhol Found. for the Visual Arts, Inc. v. Goldsmith, 598 U.S. 508, 547 n.21 (2023); Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc., 510 U.S. 569, 590 & n.20, 594 (1994); see also Nissan Fire & Marine Ins. Co. v. Fritz Cos., 210 F.3d 1099, 1102–03 (9th Cir. 2000).)。

注目すべきことに、Anthropicはその申立において、著者らの書籍および数百万の他の書籍の初期コピーを海賊版で入手することは、それらすべての複製物がLLMの訓練のために少なくとも合理的に必要であったため正当化されると主張している―にもかかわらず、Anthropicは実際にLLMの訓練に使用されたコピーやコピーのセットさえ記録に残すことに抗してきた。例えば、口頭弁論においてAnthropicは、フェアユーザーとされる者がフェアユースを超える用途のために海賊版コピーを保持していた場合、その行為はフェアユースによって免責されないと主張した(Tr. 53, 56)。しかし、著者らが以前にディスカバリーにおいて、Anthropicがさらなる用途のために再複製したライブラリのコピー(Anthropicが「取得または作成」した元のコピー)について尋問したとき、Anthropicは商業的にリリースされたLLMの訓練を超える用途のために作成されたコピーについての情報提供は過度に広範なものであり、いずれにせよLLMのためであってもすべての複製行為を数え上げることはできないと回答した(例えば、Opp Exh. 30 at 3)。


(9頁)

Anthropicは、LLMの訓練のために実際に何を複製したか(またはしなかったか)についてより多くの情報を持っていることが分かっている。Anthropicは以前、様々なLLMの訓練に使用された様々なデータ・ミックスの構成を示すスプレッドシートを提出したが―それを4月に撤回した((Opp. Fredricks Decl. ¶¶ 2–3)。そのスプレッドシートに関するディスカバリー上の争点は未解決のままである。しかし、Anthropicは自身の申立を支持するために保有するものを提供するために裁判所命令を必要としなかった。すべての欠缺はAnthropicに不利に解釈されなければならず、その逆に解釈されはしない。

これは本件における最初の実質的な命令である。クラスアクション承認の同時申立が未決のままである。それは海賊版で入手された著作物(LLMの訓練に使用されたかどうかにかかわらず)に関連する一つのクラスと、購入され、スキャンされ、LLMの訓練に使用された著作物に関連する二つ目のクラスを提案している。本命令は完全な書面審理、審問、および補足書面審理に続くものである。

以下に続く分析を要約すると、問題となっている書籍をClaudeとその前身モデルの訓練に使用することは極めて変容的であり、その使用は米国著作権法107条に該当するフェアユースであった。そして、Anthropicが印刷物の形式で購入した書籍のデジタル化もフェアユースであったが、それは訓練用コピーに適用されるものと同一の理由ではない。その代わりにAnthropicが行ったのは、中央ライブラリのために購入した印刷版のコピーを、中央ライブラリのための、より便利でかつ省スペースかつ検索可能なデジタル・コピーに置き換えただけであり―新たなコピーを追加したり、新たな作品を制作したり、既存のコピーを再頒布したりすることなく行われたためにフェアユースなのであった。しかしながら、Anthropicは中央ライブラリのために海賊版コピーを使用する権利を有していなかった。半永久的で汎用目的のライブラリを作成することは、それ自体がAnthropicの海賊行為を免責するフェアユースではなかった。

分析


アメリカ著作権法第107条は、著作権で保護された著作物の特定使用がフェアユースであるかどうかを判断するための4つの要素を定めている:


  批評、解説、ニュース報道、教授(教室における使用のために複数のコピーを作成する行為を含む)、研究または調査等を目的とする著作権のある著作物のフェアユース…は、著作権の侵害とならない。著作物の使用がフェアユースとなるか否かを判断する場合に考慮すべき要素は、以下のものを含む。

(1)使用の目的および性質(使用が商業性を有するかまたは非営利的教育目的かを含む)。
(2) 著作権のある著作物の性質。
(3) 著作権のある著作物全体との関連における使用された部分の量および実質性、および
(4) 著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響。


(10頁)

これらの要素は「使用」を前提とする。したがって、その閾値において、裁判所は「著作権で保護された[著作物]が複数の方法で使用されたか」を決定し、次にそれぞれを評価しなければならない(Warhol, 598 U.S. at 533)。使用は「使用者の主観的な意図」ではなく、「どのような使用がなされたか、すなわち使用者が元著作物で何を[した]かという客観的調査」によって決まる(Id.at 544–45)。「使用」は、区別可能な侵害的使用を「飲み込む」ことがないよう、ましてや排他的権利のカテゴリー全体を飲み込んでしまうことがないよう、十分に狭く解釈されるべきである(Id. at 541, 543 n.18, 546–48)。時に、争点となっている複製行為は単一の使用のみを含む:例えばPerfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.事件において、Googleはフルサイズの画像を持つウェブサイトを訪問し、縮小サイズのコピーのみを作成し、それらを検索エンジンに直接組み込んだ―唯一のサムネイルの使用は、画像自体への「ポインター」としてであった(508 F.3d 1146, 1157, 1160, 1165 (9th Cir. 2007))。時に、複製行為は多数回の使用を含む:例えば、Google Books事件において、Googleは図書館から書籍を借用し、フルイメージとテキストのみのコピーの両方を作成し、異なるコピーを異なるツールに組み込んだ―一方の使用は「それら書籍について」の情報を明らかにすること、もう一方の使用は印刷に障害を有する利用者に書籍を提供すること、さらに別の使用は紛失した場合に印刷版の書籍をバックアップすることであった(Authors Guild v. Google, Inc., 804 F.3d 202, 217 (2d Cir. 2015) (引用);Authors Guild, Inc. v. HathiTrust, 755 F.3d 87, 97, 101, 103 (2d Cir. 2014) (その他の引用された使用))。

本件当事者らは示唆に富む判決について議論している。American Geophysical Union v. Texaco Inc.事件において、Texacoの従業員は中央図書館で科学論文を使用し、個人の卓上書斎でそれらのコピーを使用し、科学実験室で選択されたコピーを再び使用した―最初の使用は有料、二番目は侵害的、三番目はもっともらしくフェアだが実際には稀な出来事であった(802 F. Supp. 1, 4–5, 14 (S.D.N.Y. 1992) (Pierre Leval判事), aff'd, 60 F.3d 913, 918–19, 926 (2d Cir. 1994))。


(11頁)

ここで、当事者らは問題となっている使用が何であるかについて争っている。Anthropicは、著者らの書籍を一つの使用のためだけに複製したと主張している:LLMを訓練するためのみである、と。対照的に、著者らは少なくとも二つの使用のために複製したと主張している:すなわち第一に、潜在的に有用なコンテンツの膨大な中央ライブラリを構築するため、第二に、そのコンテンツの変化するセットとサブセットを使用して特定のLLMを訓練するため―時間をかけてより良く整理され良く表現された著作物を訓練用に選択した。著者らはまた、印刷版からデジタルへの形式変更それ自体がフェアユースとして要約されない侵害であったと申し立てている(Opp. 15, 25)。しかし著者らは、著者らの著作物を侵害するLLMの出力が一般公開されたClaudeサービスのユーザーに達したことは主張していない。

この命令は4つの要素のそれぞれを順番に取り上げ、それぞれが訓練用コピーおよび購入・海賊版ライブラリコピーにどのように適用されるかを指摘する。これを統合的分析で結論づけるものとする。


1. 使用の目的および性質

問題となっている特定の使用について、第1要素は「その使用の目的および性格(それが商業性を有するものか、非営利教育目的のものかを含む)」を扱う(アメリカ著作権法107条(1)号)。


A. 特定のLLMを訓練するために使用されたコピー

問題となっている一つの使用が、テキスト入力を受け取ってテキスト出力を返すLLMの訓練であったことに当事者全員が同意している。より具体的には、Anthropicは著者らの著作権で保護された著作物の複製物を使用して、すべてのテキスト断片とすべてのテキスト断片の配列の間の統計的関係を反復的にマッピングし、完成したLLMが新しいテキスト入力を受け取り、まるでプロンプトを読み応答を書く人間のように新しいテキスト出力を返すことができるようにした。著者らはさらに主張し―本命令はそれを当然のものとして扱う―そのような訓練は、それらの著作物のコピーをLLMに「圧縮[する]」ことによって作品を「蔵置[する]」ことを伴うものであったという(Opp. 16–17; see Opp. Expert Zhao ¶ 74)。LLMは「大量に、本当に大量に蔵置した」のだ、と(Opp. Exh. 35 at -029109)。それにもかかわらず、LLMを訓練するために著作物を使用する「目的および特徴」は―それは見事にも―変容的であった。

繰り返して明確にすると、著者らは、ユーザーに提供されたいかなるLLMの出力も著者らの著作物を侵害したとは主張していない。我々の記録は逆を示している。ユーザーはClaudeサービスとのみインタラクトするが、侵害的な出力が決してユーザーに到達しないことを保証するためにユーザーと基盤LLMの間に追加のソフトウェアが置かれている。


(12頁)

これは、GoogleがそのGoogle Booksサービスを通じて任意の一人のユーザーが任意の一冊の書籍から見ることができるテキスト断片の数に課した制限と類似しており、その検索ツールが読書ツールに堕することを防いでいた(Google, 804 F.2d at 222)。ここで、もしユーザーが見る出力が侵害的であったなら、著者らは異なる事件を抱えていたであろう。そして、もし出力が侵害的になることがあれば、著者らはそのような事件を提起することができる。しかし、本件はこれには当てはまらない。

代わりに、著者らはこれらのLLMの出力ではなく、入力のみに異議を申立てている。著者らは完全に訓練されたLLMとClaudeサービスを指摘するが、それは訓練自体がどのように自らの著作物のコピーを使用するか、およびClaudeサービスが自らの著作物と競合する他の著作物を制作するためにどのように使用される可能性があるかに光を当てるためのみである。本命令も同様である。訓練的使用が変容的でないという著者らの主張は説得力がない。

第一に、著者らは、Claudeの基盤LLMを訓練するために著作物を使用することは、任意の者に読み書きを教えるために著作物を使用することと同様であるから、著者らはAnthropicをこの使用から排除できるべきであると主張する(Opp. 16)。しかし、著者らは、訓練や学習のために彼らの著作物を使用することから誰かを正当に排除することはできない。誰もがテキストを読み、そして新しいテキストを書く。その者たちは最初にテキストを手に入れるために支払う必要があるかもしれない。しかし、本を読むたび、記憶から思い出すたび、後に新しい方法で新しいものを書く際にそれを引用するたびに、誰かに本の使用に対して特別に[対価を]支払わせることは考えられないことである。何世紀もの間、我々は本を読み、再読してきた。我々はその壮大なテーマ、実質的な要点、そして繰り返される執筆の問題に対するその文体的解決策を賞賛し、記憶し、そして内面化してきた。

第二に、その最後の点について、著者らはさらに、訓練は自らの著作物の創作的要素を記憶することを意図していた―それは自らの著作物の保護対象でないものだけでない(Opp. 17)と主張する。しかし、これは同じ主張である。繰り返すが、AnthropicのLLMは、特定の著作物の創作的要素、あるいは一人の著者の識別可能な表現スタイル(これらが著作権で保護されるものであると仮定して)さえも公衆に向けて再製していない。確かに、ClaudeはそこにあるLLMが何千もの著作物から蒸留した文法、構成、スタイルを出力した。しかし、もし誰かがその例外的な表現のためにすべての現代における古典を読み、それらを記憶し、至高の文書を融合させたものを模倣したのだとすれば、それは著作権法に違反するであろうか?もちろんそうではない。


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著作権は、「[ある]著作物において描写され、または収録される」「操作方法、概念、原理」には及ばない(アメリカ著作権法102条(b)号)(例えば、Nichols v. Universal Pictures Corp., 45 F.2d 119, 120–22 (2d Cir. 1930) (Learned Hand判事) (舞台装置と物語の要素) ;Apple Comput., Inc. v. Microsoft Corp., 35 F.3d 1435, 1445 (9th Cir. 1994) (「ユーザーフレンドリー」なデザインの原理と要素) ;Swirsky v. Carey, 376 F.3d 841, 848 (9th Cir. 2004) (音楽理論の原理とコード進行) を見よ)。


第三に、著者らは次に、それでもコンピューターは人々がなすことを行うことを許可されるべきではないと主張する。

著者らはいかにもそのようなことを言っているように見える判決を引用している(Opp. 16-17)。しかしその判事は、使用の「目的と特徴」を議論する際に、訓練されたものは「生成AI(それ自体が新しいコンテンツを書くAI)ではない」ことを二度強調した。むしろ、訓練されたもの―特定のリーガル・トピックに応答して法廷意見を検索するための独自システムを使用して―は、特定のリーガル・トピックに応答して法廷意見を検索するための競合するAIツールであった。そしてそれは変容的ではなかったのである(Thomson Reuters Enter. Centre GmbH v. Ross Intell. Inc., 765 F. Supp. 3d 382, 398 (D. Del. 2025) (Stephanos Bibas判事), appeal docketed, No. 25-8018 (3d Cir. Apr. 14, 2025) )。

当裁判所における事実になぞらえると、-法廷意見、準備書面、法律雑誌論文などを使用して―リーガルプロンプトを受け取って生の法的文書[fresh legal writing]で応答するように訓練されたAIツールであろう。そして、それによく似た事実において、別の裁判所は反対の結論に達した。それはフェアユースを認定したものである(White v. W. Pub. Corp., 29 F. Supp. 3d 396, 400 (S.D.N.Y. 2014) (Jed Rakoff判事) )。

後者の使用は、いかなる著作権者も正当に支配することを期待できるものに対して十分に「直交[orthogonal]」していた(Warhol, 598 U.S. at 538–40を見よ)。したがって、それは複製者が使用するために解放されうるものであり、「創作へのインセンティブを減じることなく、科学と芸術の進歩を促進する」ことができたのである(Id. at 531 (強調追加);U.S. CONST. art. I, § 8, cl. 8 を見よ)。

要するに、新しいテキストを生成するLLMを訓練するために著作権で保護された著作物を使用する目的と特徴は、典型的に変容的であった。作家志望の読者と同様に、AnthropicのLLMは、先を急いでそれらを複製または代替するためではなく―クランクを転回[turn a hard corner]し、何か異なるものを創造するために、著作物を基に訓練したのである。この訓練プロセスがLLM内またはその他の場所でコピーを作成することを合理的に必要とした場合、それらのコピーは変容的使用に従事していたといえる。

第1要素は訓練用コピーについてフェアユースに有利なものとなる


(14頁)

B. 中央ライブラリを構築するために使用されたコピー

しかし、それが問題となっている唯一の使用ではない。Anthropicはその中央ライブラリのために数百万冊の印刷版書籍を購入し、その中央ライブラリのために数百万冊のデジタル書籍も海賊版で入手したことも想起されたい。Anthropicは特定のLLMを訓練するために書籍の特定のセットとサブセットを使用した。そして、AnthropicはいかなるLLMも訓練するために使用しない(全くまたは二度と)と決定した後でさえも、生じ得る他の使用のために、その中央ライブラリ内のすべての複製物を保持していた。Anthropicは、複製した作品の一部がLLMの訓練に使用されたことがあったため、Anthropicは世界中のすべての作品を無料で取得し、それ以上の説明なしに永久的に保持する権利があったと信じているようである。しかし、著作権法にはAI企業のための適用除外はない。

Anthropicが購入したライブラリコピーと海賊版で入手したライブラリコピーでは法的問題が異なるため、この命令はそれらを順番に取り扱う。


(i)印刷からデジタルに変換された購入ライブラリ複製物

Anthropicは「リサーチ・ライブラリを構築する」ために数百万冊の印刷版コピーを購入した(Opp. Exh. 22 at 145, 148)。Anthropicは印刷版コピーを破壊しながら、そのライブラリでの使用のために(会社外での共有や販売のためではなく)デジタル・コピーに置き換えた。これらコピーについて、著者らはAnthropicがライブラリコピーを取得するための[対価の]支払いを怠ったとは申立てていない。著者らは、Anthropicが各コピーの形式を印刷からデジタルに変更したことのみを申立てている((see Opp. 15, 25 & n.14)。ここでの事実において、その形式変更それ自体は新しいコピーを追加せず、保管を容易にし検索可能性を可能にし、著作権者の正当な利益を侵害する目的で行われなかった―すなわちそれは変容的であったのである。

Anthropicはその印刷版コピーを正当に購入した。各購入には、Anthropicが適切と見なすように各コピーを「処分する」権利を伴う(アメリカ著作権法109条(a))。したがって、Anthropicはすべての通常の使用のために、中央ライブラリに複製物を保持する権利があった。確かに、Anthropicはこれらのライブラリコピーの形式を印刷からデジタルに変更した―それがここでの問題を生じさせた。


(15頁)

形式変更に関する事実については当事者間に争いはない。Anthropicは印刷版コピーを「破壊的にスキャン」してデジタル・コピーを作成した。Anthropicまたはその業者は印刷書籍から製本をはずし、ページを作業しやすい大きさに裁断し、それらをスキャンしながら各印刷版コピーを廃棄し、その代わりにデジタル・コピーを作成した。作成されたデジタル・コピーは、印刷版コピーの代替として「リサーチ・ライブラリ」または「一般データエリア」に蔵置された(Opp. Exh. 22 at 145–46, 193–94)。著者らは、Anthropicが変換後の印刷本のデジタル・コピーをAnthropic外部の者に提供したとは主張しておらず、記録上もその事実は認められない。

当事者らは、この形式変更の法的帰結について見解を異にする。印刷版コピーをスキャンしてデジタルの代替コピーを作成する行為は変容的であったのか。Anthropicは、大規模言語モデル(LLM)の訓練に合理的に必要であったため変容的であると主張する。著者らは、これは独立した正当化を要する区別可能な段階であると主張する。

本件では、Anthropicが示すよりも限定的な理由によって、単なる形式変更はフェアユースに該当するものと判断する。ストレージおよび検索可能性は著作物自体の創作的特性ではなく、著作物をめぐる物理的特性または著作物についての情報的特性である(Texaco, 802 F. Supp. at 14(物理的)、aff’d, 60 F.3d at 919;Google, 804 F.3d at 225(情報的);Sony Corp. of Am. v. Universal City Studios, Inc.(「ソニー・ベータマックス」), 464 U.S. 417, 447 (1984)(正当な利益))。Texaco事件では、購入した学術論文を「省スペースのためにマイクロフィルムにコピー」した場合、「それは説得的な変容的使用となりうる[ものだった]」と判示された(802 F. Supp. at 14〈Pierre Leval判事〉, aff’d, 60 F.3d at 919(「bulk」の削減は、これらの目的が支配的である場合、第一のフェアユース要素をTexaco側に有利なものとするのに十分となりうる)。Google Books事件では、著作物に関する情報を可視化するための印刷からデジタルへの変更が変容的であるとされた(Google, 804 F.3d at 225〈Pierre Leval判事〉)。さらにSony Betamax事件では、テレビ番組を録画して後に視聴する行為は複製行為であるが、著作権者の正当な利益を侵害しないと最高裁判所は判示した(464 U.S. at 447, 455)。連邦最高裁判所の判断で重要であったのは、そのようなコピー作成者の大多数が著作物の半永久的コピーを頒布しないという期待であった。


(16頁)

最後にA&M Records, Inc. v. Napster, Inc.事件において、第9巡回区控訴裁判所は上述した理論を承認し、スペースシフトを標榜しながら実際にはファイル共有サービスを通じて外部と多数のコピーを共有したデジタル化の試み[はフェア・ユース] を排斥した(239 F.3d 1004, 1019 (9th Cir. 2001)、aff’g in this part 114 F. Supp. 2d 896, 912–13, 915–16 (N.D. Cal. 2000)〈Marilyn Hall Patel判事〉(Sony BetamaxおよびTexacoを引用))。


本件では、購入したすべての印刷版コピーが、保存スペースを節約し検索可能性を確保するためにデジタル・コピーへ複製された。印刷版の原本は破棄され、一方が他方に取って代わった。そして、新たに作成されたデジタル・コピーが社外で閲覧・共有・販売された証拠は存在しない。この使用は、(少なくともコピーが一つ増えた) Texaco事件, Google事件, Sony Betamax 事件よりも明確に変容的であり、ましてや(「数百万」に及ぶコピーを無償で他者と共有した) Napster 事件で退けられた使用よりも変容的である。

確かに、 Anthropic は営利企業である。本命令は、Anthropic が印刷版からデジタルへの形式変更によって実際に利益を得たことを前提としている―それがなければこれほどの手間をかけなかったはずである、と。しかし、フェアユース第1要素が問題とする「商業的」利用の核心は、著作権保有者の保護およびその諸権利を適当である(あるいは適当とは思わない)使用にかかる権利にある(Harper & Row, Publishers, Inc. v. Nation Enters., 471 U.S. 539, 562 (1985) を見よ)。被告が営利法人であることは示唆的にすぎず決定的なものではない。利益を得る見込みがあることも同様である。最も重要なのは、形式変更が著作権法によって著作権者に留保された何らかの権益を利用しているか否かである。Anthropic はすでに半永久的な図書館用コピー(印刷版)を購入済みであり、社外で共有・販売するための新たなコピーを作成したわけではない。


(17頁)

確かに、著者らはデジタル・コピーに対し印刷版より高額を請求したかった可能性がある。本命令は、Anthropic が形式変更を禁じられていれば著者らが成功を収められたことを前提としている。とはいえ、「しかし合衆国憲法第8条の文言はいかなる部分においても、[著作権者の]限定された排他的権利に、市場を区分する権利や、同一の書籍に対して購入者ごとに異なる価格を設定し、[単に]利得を増大・最大化するための付随的権利を含むものだということを示唆するものではない」(Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc., 568 U.S. 519, 552 (2013) ;U.S. CONST. art. I, § 8, cl. 8を見よ)。

著作権法自体もそのような権利を認めていない。米国著作権法106条は、米国著作権法107条の下でフェアユースによって制限され得る排他的権利を列挙している。米国著作権法106条1項は著作権者に再製物を制作する権利を留保しているが、本件の事実関係では、一つのコピーが別のコピーを完全に置き換えるという異例の状況である。さらに米国著作権法106条2項は、創造的素材を付加または削除する派生的著作物を作成する権利-たとえば書籍の「翻訳、編曲、脚色、小説化、映画化、録音物、美術複製、[または]抄録」(アメリカ著作権法101条〔定義〕)-を著作権者に留保している。書籍の「その他の変更」が「二次的著作物」となるためには、それ自体が「創作的な著作物[original work of authorship]」を構成していなければならない(同条)。しかし本件ではフォーマットのみが変更され、内容は一切追加も削除もされていない(Mirage Editions, Inc. v. Albuquerque A.R.T. Co., 856 F.2d 1341, 1342, 1343–44 (9th Cir. 1988) (確かに、新たな装飾用セラミックを作るため要素を追加した場合には該当すると判示している)参照)[4]。

米国著作権法106条3項はさらに、コピーを頒布する権利を著作権者に留保している。しかしながら、本件の代替コピーは中央ライブラリに蔵置されているのであり、頒布されていない(Cf. Fox News Network, LLC v. TVEyes, Inc., 883 F.3d 169, 176–78 (2d Cir. 2018)(「資料に関する情報」を検索可能にすることは、たとえ一定の頒布が生じても変容的使用となりうる);Lewis Galoob Toys, Inc. v. Nintendo of Am., Inc., 964 F.2d 965, 968, 971 (9th Cir. 1992)(購入済ゲームカートリッジから発せられる映像表示を「単に拡張」するコンバータの使用は、カートリッジまたは表示の余分なコピーが一切作成されていないことも理由にフェア・ユースとされた)。

結果として、印刷版ライブラリコピーからデジタル版ライブラリコピーへのAnthropicの形式変更は、フェアユース第1要素の下で変容的である。Anthropicはこれら著作物の印刷形式でのコピーを保有する権利を有していたが、代わりにデジタル形式で保有し、蔵置と検索を容易にした。そして、その後LLM訓練目的で作成された更なるコピーも、前述の理由によりそれ自体として変容的であった。

脚注4
仮に印刷からデジタルへの形式変更が二次的著作物を作成する権利を侵害していたとしても、著者らは「原告らの侵害請求はAnthropicによる無許諾の複製(アメリカ著作権法106条(1))に基づくものであり、二次的著作物を作成する権利の侵害(同106条(2))は主張していない」と認めている(Dkt. No. 203 at 2〔引用原文ママ〕)。この譲歩が、トークン化され訓練に使用されたコピーや訓練済みLLMに「圧縮」されたコピーに何らかの影響を及ぼすか否かは、本命令では判断しない。Anthropicは著者らの譲歩に依拠しておらず、それらのコピーは本件においては変容的に使用されたからである。


(18頁)

明確にしておくと、本件の印刷版からデジタル版への変換は、Anthropic が主張するより広範なものとは異なり、より限定的な形態の変容的利用である。Anthropic は、セントラ・ライブラリでの使用は LLM 訓練のための使用と不可分であり、したがって変容的であると主張する。しかし、本命令はこれを認めない。ただし、本命令は、省スペース化と検索可能性向上のために印刷書籍をデジタルファイルへ単に変換する行為自体が、それだけで変容的であると判断する。したがって、そのデジタル・コピーは、購入済みの印刷版コピーを中央ライブラリに収蔵した場合と同様に扱われるべきである。

要するに、フェアユース第1要素は、購入済み印刷版ライブラリコピーをデジタル版ライブラリコピーへ変換した場合にはフェアユースに有利なものとなる―しかし、これは海賊版ライブラリコピーを免責するものではない。


(ii) 海賊版ライブラリコピー

中央ライブラリ用の書籍を購入する前に、Anthropic は 700 万点超の海賊版コピーをダウンロードし、対価を支払わず、それらを AI 訓練には使用しない(現在も今後も)と決定した後でさえ、ライブラリに蔵置し続けた。著者らは、Anthropic はこれらの海賊版ライブラリコピーについて対価を支払うべきだったと主張する(例:Tr. 24–25, 65;Opp. 7, 12–13)。本命令はこの主張に同意する。

この問題の本質は、口頭弁論で Anthropic 自らが的確に述べたとおりである。「研究目的があるといって自らを正当化し、欲しい教科書を好き放題に持ち去ることなど許されない。それがまかり通れば学術出版市場は崩壊する」、と(Tr. 53)。むろん、教科書を購入した者がそのコピーを保有し続けることについて、さらなる説明責任はない。しかし、教科書を海賊版サイトからコピーした者は、そこで既に侵害行為を終えているに等しい。本命令はさらに、中央ライブラリでの使用が将来的に LLM 訓練に一部用いられるからといって、そのコピーの使用がフェアユースで正当化されるとの Anthropic の前提を棄却する。


被疑侵害者が、書店で購入可能または合法的に入手可能であったソースコピーを、海賊版サイトからダウンロードすることが、その後のいかなるフェアユースにとっても合理的に必要だったと説明しうると考えること自体、本命令では疑わしいものと考える。書店で購入可能な書籍を海賊行為により取得することが、書評を執筆する、書籍内の事実を研究する、あるいは LLM を作成するのに合理的に必要であったと認めた判例は存在しない。そのように正規に入手可能なコピーを海賊行為で取得することは、たとえその海賊版コピーが即座に変容的使用に用いられ、直ちに廃棄されたとしても本質的に、回復不能なほど侵害的である。


(19頁)

しかし、本命令はこの規則に従って本件を判断する必要がない。Anthropic はこれらのコピーを単に LLM の訓練に使用しただけではない。実際にAnthropicは、それらを今後一切自社の LLM の訓練に使用しないと決めた後でさえ、海賊版コピーを保持し続けた。Anthropic がそれらを取得・保持したのは、世界中のすべての書籍を網羅する中央ライブラリを構築するためであった。

あらゆる将来的利用に備えて作品を収録する中央ライブラリを構築することそれ自体が、Anthropic がこれらのコピーを取得するための使用である。その将来的利用の一つが、LLM 訓練用にさらにコピーを作成することであった。しかし、Anthropic が海賊行為で取得したすべての書籍が LLM の訓練に使われたわけではない。そして、LLM の訓練に使用しないと判断された場合でも、あらゆる海賊版ライブラリコピーは保持された。リサーチ・ライブラリを構築するために対価を支払わずにコピーを海賊的に入手し、何らかの用途に役立つかもしれないという理由でコピーを保持すること自体が一つの利用であり、しかもそれは変容的ではない(Tr. 24–25, 35, 65;Opp. 4–10, 12 n.6;CC Br. Exh. 12 at -0144509「すべて永久的に」。Napster, 239 F.3d 1015;BMG Music v. Gonzalez, 430 F.3d 888, 890 (7th Cir. 2005を見よ) )。

Anthropic のブリーフィングには、口頭弁論で自ら述べた内容にもかかわらず、海賊版ライブラリコピーがフェアユースの分析に無関係であるとする他の理由が含まれている。

第一に、Anthropic はこの段階で自らの悪意[bad faith]を認めつつも、コピーの悪意での海賊的取得が「フェアユースの分析をいくらかショートさせるものではない」と主張する(Reply 6;Atari Games Corp. v. Nintendo of Am., Inc., 975 F.2d 832, 843 (Fed. Cir. 1992)〔第9巡回区の法理を適用〕を軽視している)。しかし、悪意そのものが本決定の根拠ではない。各使用は客観的に分析されなければならない(Warhol, 598 U.S. 544–45)。ここでの客観的分析によれば、最初のコピーが、有償コピーの代替として汎用目的の中央ライブラリを作成する目的で海賊的に入手されたことを示している。(もちろん、侵害が認められれば悪意は故意性の判断に重要である。アメリカ著作権法504条(c)(2))。



(20頁)

第二に、Anthropicはコピーを最終的に「高度に変容的な使用」に供するという目標には、途中の各コピーと使用も変容的使用を有するものとして正当化されることが必要であると主張する(Reply 14)。しかし、今やAnthropicは、Anthropic自身が取ることができないと述べたばかりの近道を取ろうとしている。繰り返すが、連邦最高裁判所は我々に「利用者の主観的意図」を越えて、各コピーの客観的使用を見ることを課している(Warhol, 598 U.S. at 544–45 (強調追加))。換言すれば、複製者が発言したり思考したり感じたりすることは、複製者が実際に著作物で何をするかを示す限りにおいてのみ重要である。実際、同じコピーが一つの方法で使用され、その後別の方法で使用され、それぞれ異なる結果をもたらすことがある(Id. at 533)。ここで、Anthropicがその取得について当時述べたこと―それらが「巨大な法的/実務/ビジネス上の労苦」を回避ながら「リサーチ・ライブラリを構築する」ために行われたということ―がこの点で関連している。そして、これらの海賊版コピーのAnthropicの実際の使用は、あらゆる大学や企業ライブラリと同様に、著作物について整理された事実、分析、表現上の用例を様々な偶発的使用のために保存するテキストの中央ライブラリを作成することであり、そのうちの一つが訓練であった[5]。

第三に、Anthropicは、Texaco事件-中央図書館で使用されたコピー、卓上書斎で使用されたコピー、実験室で使用されたコピーを含む事件-は当てはまらないと主張する。Anthropicは、Texacoの争点となったコピーは実験室では決して使用されず、その代わりに中央図書館の「元の目的と使用と同一の」使用のために個人の卓上書斎で使用されたため、変容的使用ではなかったと主張する(Reply 8(60 F.3d at 922–23を要約))。対照的に、Anthropicによれば、ここではLLMを訓練するために実験室でコピーを使用した―非常に変容的な使用である、と。しかしこれは薄氷の上を高速で滑ることである。Texaco事件と同様に、Anthropicは実験室での使用に供さなかったコピーを所有し、その変容的使用が完了した後でもそれらのコピーを中央ライブラリに保持した。しかし、それらのコピーを購入したTexacoと異なり、Anthropicはインターネットで盗まれた中央図書館のコピーに対して決して支払をしなかった。Texaco事件はまた、刺激的なエンドプロダクトを作成する限り、すべての「公衆には見えないバックエンドのステップ」が免責されると想定するAnthropicが誤りを犯している理由も示している(Br. 10)。

脚注5
当控訴裁判所は、Warhol後のフェアユースにおける悪意(または善意)の位置づけをまだ再評価してはいない。その以前の評価は、「フェアユースは善意と公正な取引を前提とする」という最高裁判所の声明を適用していた(Harper & Row, 471 U.S. at 562(抄録)。Perfect 10, 508 F.3d at1164 n.8を見よ)。それ以来、連邦最高裁判所は「悪意が何らかの役割を果たすかについての懐疑論」を改めて表明している。Oracle, 593 U.S. at 32–33 (Campbell, 510 U.S. at 585 n.18での疑問を再反復)。そして近時、連邦最高裁判所は、重要なのは複製者の「主観的意図」ではなく、コピーの「客観的...使用」であると明確に判示している(Warhol, 598 U.S. at 544–45)。この命令はこの最新の分析を適用する(Miller v. Gammie, 335 F.3d 889, 900 (9th Cir. 2003)(大法廷))。


(21頁)

注目すべきは、これはソースのコピーが別途での購入や貸出のために入手不可能であった事件ではないということである(例えば、NXIVM Corp. v. Ross Inst., 364 F.3d 471, 475–76, 478–79 (2d Cir. 2004)(秘密保持契約の対象となるカルト訓練生のみが利用可能な訓練マニュアルの抜粋を、批判的レビューでカルトを暴露するために使用);Time Inc. v. Bernard Geis Assocs., 293 F. Supp. 130, 135–36, 138, 146 (S.D.N.Y. 1968) (Inzer Bass Wyatt判事)(販売や貸出されていない原作の写真から歴史書を解説するための木炭画の制作)を見よ)[6]。 また、コピーは海賊版コピーから付随的かつ必然的にのみ作成されたものでもない(例えば、Perfect 10, 508 F.3d at 1164 n.8(第三者ウェブサイトによって海賊版にされた画像のコピーが、ウェブ全体をインデックス化する際に、それらの同じウェブサイトをインデックス化するために使用された)を見よ)。ここでは、海賊行為がポイントである。すなわち、Anthropicが後に行ったように対価を支払うことができたであろう中央ライブラリを、それに対して対価を支払うことなく構築することである。

また、最初のコピーが著しく変更された形式に即座に変容したというわけでもない。Perfect 10事件では、画像は検索エンジンによってサムネイル形式でのみ複製され、フルサイズの画像とそれらの出典となるページを識別するという変容的使用[の文脈]に即座に乗ったのである(508 F.3d at 1160, 1165, 1167)。そして、Kelly v. Arriba Software Corp.事件では、画像はフルサイズで複製され、その後検索エンジンの構築で即座に使用するためにサムネイルにされ、その後フルサイズのコピーはすぐに削除された(336 F.3d 811, 815 (9th Cir. 2003))。本件はそうではない。書籍のフルテキストコピーがダウンロードされ「永久的に」維持されたのである。

脚注6
AnthropicはOracleの著作権保有者について、最初の複製物がそこで盗用されたという誤解を招く特徴づけを繰り返している(Reply 5)。しかしそうではない。「GoogleがJava言語自体を使用することは自由であり、今後も自由であることにすべてが同意していた。Googleの仮想マシンには著作権上の問題がないことにすべてが同意していた。Googleによる6,000以上のメソッド実装には著作権上の問題がないことにすべてが同意していた。著作権上の問題は、むしろ」同じく広く知られている機能的スキームを持つ競合ソフトウェアを作成する目的でのJavaの使用であった(Oracle Am., Inc. v. Google Inc., 872 F. Supp. 2d 974, 978 (N.D. Cal. 2012), aff'd and rev'd in part, 750 F.3d 1339 (Fed. Cir. 2014))。


(22頁)

ここでの最初のコピーは、Google Books事件におけるフルテキストコピーにさえ類似しない。そこでは、承認されたコピーのライブラリがすでに組み立てられており、そこからのすべてのコピーは一対一のさらなるフェアユースにおける直接利用のために作成された―すなわち著作物自体を指し示すという変容的使用であれ、印刷障害のある利用者のための形式で著作物を提供する使用であれ、絶版、紛失、その他入手不能になることに対する保険としての使用であれ、である(HathiTrust, 755 F.3d at 97, 101, 103;Google, 804 F.3d at 206, 216–18, 228(「フェアユースの境界を試みた」検索とスニペットの使用をさらに区別)。海賊版コピーに関してここではそうではない。Anthropicが最初のコピーの作成元である許諾を受けたコピーは存在しなかった。そこからのフルテキストコピーは即座にLLMの訓練使用に供されなかった。すべてのコピーがLLMの訓練に必要でもなく、使用されてもいなかった。使用されなかったり、もはや使用されなくなったりしたとしても、最初のコピーが削除されることは決してなかった[7]。大学図書館とGoogleは、―技術的措置と全参加者間の法的合意の両方を通じて―すべてのコピーが無許諾使用に対して確保されることを極めて重要視した。ここではそうではない。ライブラリのコピーにはアクセスと使用を制限する内部統制が欠如していた。

中間複製に関する判決も、ここで適用された分析より過小なものを要求しない。Anthropicは、Sega Enterprises Ltd. v. Accolade, Inc.において当控訴裁判所は「最終的使用」のみを見て、「その全体的な目的とは別個の『侵害』の矮小化された[atomized]一連の行為を分析しなかった」と主張している(Reply 3)。それとは反対に、控訴裁判所は複製者によって使用された初期、中間、最終複製物を検討した。裁判所は、複製者は最初にゲームカートリッジの市販コピーを購入し、その後「互換性の機能的要件を発見するためにのみ」必然的にさらなるコピーを作成したと説明した(977 F.2d 1510, 1522 (9th Cir. 1992))。したがって、それらの事実においては無許諾コピーに対して一つの「全体的な目的」のみが存在したため、一つの結果のみに達した。実際、裁判所は「[著作物の]中間複製は、複製の最終産物もそれらの権利を侵害するかどうかに関わらず、アメリカ著作権法106条で著作権者に付与された排他的権利を侵害する可能性がある」という従前の判例法を再確認した(Id. at 1518–19 (Walker v. Univ. Books, 602 F.2d 859, 864 (9th Cir. 1979)を再確認))。


(23頁)

同様に、Sony Computer Entertainment, Inc. v. Connectix Corp.において、当控訴裁判所は類似の集中的行為に同じ法を適用した。別の複製者は、許諾を受けたコピーを購入し、その後互換性要件をリバースエンジニアリングするためにのみ、かつ必然的にさらなるコピーを作成したとされていた(203 F.3d 596, 601, 602–03 (9th Cir. 2000))。

Sega事件とSony事件の両方とも、フェアユースに必要な中間複製を寛大に解釈することによって、フェアユースに「人為的障壁」を課すことを避けた。一例として、Sega事件では、エンジニアがリバースエンジニアリングのためにコンピューターにロードされたソフトウェアを扱う際にコンピューターを再起動することが許可されるべきであると述べた―たとえそうすることがソフトウェアの別のデジタル・コピーを作成し、リバースエンジニアリングに厳密には必要でないとしても、である(Id. at 605)。しかし、Sega事件もSony事件も、最初のコピーさえも中間複製物として扱うことによって、フェアなユーザーに「人為的で有利な出発点」を与えることも想像していなかった。

そして確かに、一部の裁判所は中間複製や初期複製について全く「調査しなかった」(Reply 2(スタジオでの余剰コピーについて調査しなかったCampbell事件を引用))。しかし、「それらの事件の注意深い読解によって、[初期または]中間複製の合法性が問題となった事件は一つもなかったことを明らかにする」ならば、それは提起されておらず、必ずしも決定を受けてはいない(Sega, 977 F.2d at 1519;Webster v. Fall, 266 U.S. 507, 511 (1925) を見よ)。それは他の場所で明確に決定されたのである。すなわち、当裁判所の分析は、異なるコピーの異なる使用、さらには同一のコピーの異なる使用にも注意を払わなければならないということである(Warhol, 598 U.S. at 533)。

最後に、Anthropicは、初期コピーが中間および最終コピーとは異なる使用に供されたとしても、それはAnthropicがコピーのために著者らに対価支払をする必要があったとされる使用ではなかったと主張する。理論的には、Anthropicは、GoogleがGoogle Books事件で行ったように―ソースのコピーとして無料でそのコピーを貸し出す意思のある既存の参考図書館[Reference library: 館内利用に限定された文庫]を見つけることが―できたと主張する。または理論上は、Anthropicが後に行ったように—著者らに全く対価を支払うことなく中古コピーを買いに行く—ことができたとも言う(アメリカ著作権法109条(a)項を見よ)。しかしながらAnthropicはそれらのことを行わなかった—その代わりに、海賊版ライブラリからダウンロードすることによって、自らの中央ライブラリのために著作物を盗用したのである。



(24頁)

要するに、第1要素は海賊版ソースから作成された中央ライブラリのコピーについてフェアユースに不利なものとなる— コピーの海賊行為による損害は、後に同じ著作物のコピーに対する対価を支払うことによって回復されてはいなかったのである。

2. 著作権で保護された著作物の性質

第二のフェアユース要素は「著作権で保護された著作物の性質」である(アメリカ著作権法107条(2)号)。この要素は「いくつかの著作物のなかに他の著作物以上に意図された著作権保護の中核により近接していることの認識を」求め、「その結果として前者の著作物が複製される際にフェアユースを確立することがより困難になる」というものである(Campbell, 510 U.S. at 586)。一方では、出版済著作物は未出版の著作物より少ない保護を受ける。他方では、「事実的な著作物は小説やファンタジーの著作物より少ない保護を受ける」(Harper & Row, 471 U.S. at 563)。しかし、少ない保護は全く保護されないという意味ではない。保護不能な事実の配列でさえ、保護可能である独創的な著作物という低い基準を超えるのである(Google, 804 F.3d at 220)。

ここで、Anthropicは著者らのすべての書籍―すべて出版済で、ノンフィクションか小説かを問わず―が表現的要素を含んでいたことを受け入れている(Reply 9)。そして、上述のように、本命令は著者らの著作物が中央ライブラリの構築においてその表現的性質のために選ばれ、その後の特定のLLMの訓練においても選ばれたという証拠に対する著者らの見解を受け入れる(Opp. 11, 17 (citing, e.g., Opp. Exh. 3 at -03433))。


第2要素の主な機能は、他の要素を評価する助けとなることである。すなわち問題となっている著作物の性質とその二次的使用の性質との間の相違を明らかにし(上記)、各著作物から取られた量と実質性と二次的使用との間の関係を明らかにすること(以下)である(例えば、Campbell, 510 U.S. at 586;Kelly, 336 F.3d at 820;Google, 804 F.3d at 220;HathiTrust, 755 F.3d at 98;Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley Ltd., 448 F.3d 605, 612–13 (2d Cir. 2006) )。

第2要素は、すべてのコピーについて等しくフェアユースに不利なものとなる


(25頁)

3. 使用された部分の量と実質性

第三のフェアユース要素は、被告によって使用された著作権で保護された著作物の「部分の量と実質性」である(米国著作権法107条(3)号)。この要素の核心は、その量が「複製の目的に関して合理的」であったかどうかである(Campbell, 510 U.S. at 586)。したがって、複製の量は最初に著作物自体に対して、次いで、より重要なこととして提案された変容的目的に対して検討される(Warhol, 598 U.S. at 543 & n.18を見よ)。


A. 特定のLLMを訓練するために使用された複製物

訓練セットに含めるために選択されたコピーは、完全であり、保護可能な表現を豊富に含んでいたために選択された、あるいは少なくとも本命令は、当記録が著者らについてそのことを示すものと受け入れる。このすべての複製行為は変容的使用に合理的に必要であったか?

必要である。

「重要なのは、コピーを作成する際の『使用された部分の量と実質性』ではなく、むしろ[主張されている二次的使用において]公衆に対してそれによりアクセス可能となるものの量と実質性であり、それが[一次的使用に対する]競合する代替として機能する可能性がある」(Google, 804 F.3d at 222)。ここで再び、Claudeサービスの出力と著者らの著作物との間のいかなる追跡可能な関連性の申立てもない。したがって、Claudeの基盤となるLLMを訓練するために使用する目的での複製行為は特に合理的であった。

これに対して、著者らは主に、訓練で使用された複製が極めて広範囲にわたり、厳密には必要でなかったと反対している。

広範囲の複製行為について、著作物全体が複製されたことは事実である。そして、「著作物全体の複製は『フェアユースの認定に不利に作用する』」(Worldwide Church of God v. Philadelphia Church of God, Inc., 227 F.3d 1110, 1118 (9th Cir. 2000)) (Hustler Mag. Inc. v. Moral Majority Inc., 796 F.2d 1148, 1155 (9th Cir. 1986)を引用);Campbell, 510 U.S. at 587を見よ)。しかし当裁判所は、著者らの論点がなぜ当を得ないものであるかをちょうど扱った。この要素について重要なコピーは、著作物の通常の使用と同じ使用に資するものであろうものである。著者らはそのような複製行為について主張していない。本件で増加した分のコピーの被告の使用は、書籍の通常の使用に対して想像できる限り直交している。


(26頁)

厳格な必要性
について、著者らはより強い論点を形成する。生産的使用が特定の著作物からの借用によってのみ可能にされる場合、フェアユースはその頂点に向かって上昇する。生産的使用がその借用なしに可能である場合、フェアユースはその最下点まで落ち—そしてその借用は特に説得力のある正当化に値する(Warhol, 598 U.S. at 543 & n.18, 547を見よ)。ここで、Anthropicは他の書籍を使用したり、LLMの訓練に書籍を全く使用したりしないこともできたであろうことは事実である—あるいは少なくとも本命令では当記録が著者らについてそのことを示していると受け入れている。しかし、Anthropicはなぜ、とにかくそれらを使用することが合理的に必要であったかについて説得力のある説明を提示した。

一つには、すべてがAnthropicは任意のLLMを訓練するために数十億の単語を必要としたことに同意している。書籍のみを使用する場合、Anthropicはモデルごとに数百万冊の書籍を必要としたであろう。書籍の小さな割合と他のテキストのより大きな割合からなるセットを使用する場合、Anthropicはそれでも数十万冊の書籍を必要としたであろう。著者らは、Anthropicがそのような、より小さな書籍セットを使用できることを示したため、確実に書籍を全く使用しないこともできた—あるいは少なくとも著者ら自らの書籍は使用しないこともできた—と主張する(Opp. 23)。しかし著者らは「合理的に必要」が「厳格に必要」を意味しないことを忘れている。著者らはLLMを訓練するために必要なテキストの量が途方もないもの[monumental]であることに異議を唱えていない。非常に多くの著作物を使用することが合理的に必要であったため、実際にLLMを訓練するために任意の一つの著作物を使用することは、以下のものと同程度に合理的であった。


もう一つには、公衆への出力が侵害しているとの主張さえもなかった。そこで、まさに著者らの著作物が執筆におけるもっとも強い例として選ばれた。しかし、その強い例でLLMを訓練することの説得力のある利益は、著作物それ自体のいかなる部分の公衆への開示によっても相殺されなかった。したがって複製されたものはとりわけ合理的かつ説得力があるものであった。

第3要素は、訓練用コピーについてフェアユースに有利に働くものである


B. 中央ライブラリを構築するために使用されたコピー

しかし繰り返すが、別の異なる使用があった—すなわち、複製の量と実質性がライブラリコピーについて「複製の目的に関して合理的」であったかどうかに関して、一定程度の違いを生む区別である(Campbell, 510 U.S. at 586)。


(27頁)

(i) 印刷からデジタルに変換された購入済のライブラリ・コピー

Anthropicが購入し、その後デジタルライブラリ・コピーに変換した印刷版のライブラリのコピーについて、Anthropicはすでにそのライブラリにコピーを保持する権利を享受していた。複製の目的は、より有利な保存と検索可能性の特性を持ってそれらをライブラリに保持することであった。著作物全体を複製することは、まさにこの目的が要求したものであった。余剰的な複製行為はなかった。ソースのコピーは破壊されている。

フェアユース第3要素は、印刷版からデジタル版に変換された購入済のライブラリコピーについてフェアユースに有利に作用する

(ii) 海賊版のライブラリコピー

しかしながら、海賊版ライブラリコピーについては、Anthropicは書籍のコピーを保持するいかなる権利も欠いていた。その目的は、LLMを訓練することであったと言う。しかし、その客観的行為は「世界中のすべての書籍」を求め、その後それらから訓練のためのさらなるコピーを作らないと決定した後でもそれらを保持することであった—すなわち他のさらなる使用があったことを示している。LLMの訓練のため、そしておそらく他のことのためにも有用なものもあると判明するかもしれないという可能性に基づいて、可能な限りすべての書籍を取得するという目的に対しては、およそ無許諾複製を過大にすぎるものであっただろう。Anthropicは数百万冊の書籍を完全に複製し、著者らの著作物もその中にあった。

第3要素は、海賊版ライブラリコピーについてフェアユースに不利に作用する

4. 著作権で保護された著作物の市場または価値に対する使用の効果

最終要素は「著作権で保護された著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響」である(アメリカ著作権法107条(4))。この要素は、著作権者がすでに利用可能にしているか容易に利用可能にできるコピーに対する需要を置き換えるコピーを複製者が利用可能にする場合に、フェアユースに不利に作用する(Texaco, 60 F.3d at 926–28(再製されたコピー);Dr. Seuss Enters., L.P. v. ComicMix LLC, 983 F.3d 443, 461 (9th Cir. 2020)(二次的コピー)。「第1要素は原著作物と二次的使用が[原則的に]代替可能な目的を持[ちうる]かどうかとその程度を検討するが、第4要素は実際のまたは潜在的な市場代替に焦点を当てる」(Warhol, 598 U.S. at 536 n.12(強調追加))。



A. 特定のLLMを訓練するために使用された複製物

特定のLLMを訓練するために使用されたコピーは、著者らの著作物のコピーに対する需要を置き換えなかったし、置き換えないであろう、あるいは著作権法の下で重要な方法では置き換えない。

繰り返すが、著者らはLLMの訓練が彼らの著作物の正確なコピーや侵害的な模倣品さえも公衆に提供されることをもたらさなかったことを認めている。もしそうでなければ、これは異なる事件であったであろう。著者らは、そのような事態がもたらされた場合、将来においてその事件を提起することは自由である。

そうではなく、著者らは、LLMの訓練が自らの著作物と競合する著作物の爆発的増加[explosion]をもたらすであろうと一般的に主張している—たとえば事実的な出来事の代替な要約、虚構的な出来事についての説得力のある文書の代替的な例などを作成することによって、である。本命令はそうであると仮定する(反対22–23頁(例えば、反対証拠第38号を引用))。しかし著者らの苦情は、学童に上手に書くことを教えることが競合する著作物の爆発的増加をもたらすであろうと苦情を言ったとしても、それと変わるところはない。これは著作権法が懸念する種類の競争的または創造的な置換ではない。同法は創作的な著作物を発展させることを求めており、著作者を競争から保護することではない(Sega, 977 F.2d at 1523–24)。

著者らは次に、LLMの訓練が、LLMを訓練するという狭い目的のために自らの著作物をライセンスする新興市場を置き換えた(またはそうするであろう)と主張する(Opp. 21–22)。Anthropicは、取引コストがそのような取引からのAnthropicの期待利益を超過し、いかなる権利保有者との取引を停止するか、そのような技術の開発を完全に停止することを助長すると主張する(Br. 22–23)。当裁判所の記録ではいずれの説明も支持できる—そのため、本命令は著者らが正しいと仮定しなければならない。市場が発展する可能性がある(Opp. 19–21(記録引用))。それでも、その使用のための、そのような市場は、著作権法が著者らに利用する権利を与えるものではない。

著者らによって引用された事件のいずれも異なる結果を要求しない。すべては著作権法が適切に保護したもの—それは著作権者が正当に統制することを期待できないフェアユースの種類ではない—の損失を想定した(TVEyes, Inc., 883 F.3d at 181(著作権者に法的に留保され、事実上すでにライセンスされている権利の使用);Texaco, 60 F.3d 931(同);Ringgold v. BET, Inc., 126 F.3d 70, 80–81 (2d Cir. 1997)(著作権者に法的に留保され、事実上市場において取引される権利の使用―テレビ番組での彼女の美術の著作物の画像の表示);cf. Seltzer v. Green Day, Inc., 725 F.3d 1170, 1179 (9th Cir. 2013)(使用が市場において取引されるか「市場で取引される可能性が高い」という証拠なし)参照。

第4要素は、訓練用コピーについてフェアユースに有利に作用する


(29頁)

B. 中央ライブラリを構築するために使用されたコピー

(i) 印刷からデジタルに変換された購入済のライブラリコピー

これらのコピーについて、本命令はAnthropicの印刷からデジタルへの形式変更が、Anthropicが著者らから直接購入したであろう新たなデジタル・コピーの購入を置換えた(中古状態で印刷版コピーを購入することができなかった場合)と仮定する。しかし第1要素の下で述べられた理由により、そのような損失は著作権法が、著者らが利用するために留保するものに関係しなかった。それは形式変更であったのである。

著者らの次の論点は、形式変更にもかかわらず、Anthropicが追加の無許可印刷版コピーを送信できたであろうよりも容易に追加の無許諾デジタル・コピーを送信する可能性があり—そして同じことがすべてのフォーマット変換者について真実であろうが—ため、正当なコピーを販売する機会が奪われたということのようである(cf. Opp.25 n.14; Opp. Expert Malackowski ¶ 52)。しかし多くのディスカバリーを経たのち、取得後のライブラリコピーを再頒布する意図や外部の行為者に対してその貴重なライブラリを確保できないことに対して当裁判所の記録にはいかなる兆候もない。そして、もし内部の中央ライブラリのコピーが実際にさらなる複製や頒布をもたらしたりもたらすなら、それらのさらなるコピーは著者らによって別個に救済可能なままである。形式変更は著者らの正当な権利を奪ってはいなかった。

この要素は、印刷版からデジタル版に変換された購入済ライブラリコピーについて中立である


(ii) 海賊版のライブラリ・コピー

中央ライブラリを構築するために使用され、海賊版ソースから取得されたコピーは、明らかに著者らの書籍に対する需要を—それもコピーごとに—置き換えた。著作物のフェアユースを行う意図があるというだけで、その準備段階として著作物の完全なコピーを取得する権利が自動的に与えられるわけではないし、ましてやフェアユースの実現を簡単でコスト・パフォーマンスの良いものにするためにコピーを盗む権利などあるはずもない。ここでは、LLMの訓練に使用されたコピーは一つの話であったが、当該企業が将来的に何らかの用途で使用する可能性のある様々な目的のために、便利かつ汎用目的の著作物ライブラリを構築するために取得されたコピーは、まったく別の使用であった。


(30頁)

Anthropicはこれらの点についてほとんど反駁がない。第一に、Anthropicは「Claudeのサービスは従来の市場での代替を通じて原告の著作物の価値を減少[または収奪]しない」と主張する(Br. Expert Peterson ¶ 33).参照)。しかし、著者らの著作物の海賊版コピーを盗むことは明らかにそうなっている。第二に、Anthropicは公開市場でいくつかの書籍(およびいくつかの他のテキスト)を購入することができたかもしれないが、複製した他のテキストは購入できなかったかもしれないと主張する(cf. id. ¶ 48(ライセンスについて))。しかし、この事件は購入できなかったであろうそれらの他のテキストに関係しない。それは著者らの書籍(および他の多くのもの)を購入することができた。実際、後にそうしたことからも明らかである。最後に、Anthropicは、一冊の本の購入を見送ったことによるこれらのテキストへの[経済的]影響は、考慮に値しないほど小さかったと主張する(id. ¶ 77参照)。しかし、当テストは、行為がフェアユースとして容認された場合の可能性のある結果を当裁判所が熟考することを要求してしまう—すなわち、少なくとも緩やかに示された変容的使用のためのさらなるコピーを作る意図(抜粋付の書評の執筆、LLMの訓練など)がある限り(一冊でも、数百冊の書籍を)購入することができるのに、いかなる説明責任も負うことなく、著作物を盗んでもよいことになってしまう。Anthropic自身が示唆したように、「それが事実ならば、[全体の]出版市場を破壊するであろう」(Tr. 53; see also Tr. 32, 41; Opp. Expert Malackowski ¶¶ 31–34, 38)。


第4要素は、海賊版ライブラリコピーについてフェアユースに不利に作用する。


5. 全体的分析

4つの要素と関連すると見なされる他の要素が「探索された後、[その結果は]著作権の目的に照らしてともに衡量される」(Campbell, 510 U.S. at 578)。

特定のLLMを訓練するために使用されたコピーは、フェアユースとして正当化された。著作権で保護された著作物の性質を除くすべての要素がこの結果に有利に作用する。問題となっている技術は、我々の多くが生涯で見る最も変容的なもののうちの一つであった。

購入済の印刷版ライブラリコピーをデジタル版ライブラリコピーに変換するために使用されたコピーも、異なるフェアユースのためであるが、正当化された。第1要素は強くこの結果を支持し、第3要素もそれを支持する。第4要素は中立である。第2要素のみがわずかにそれに不利に作用する。全体として、購入された印刷版コピーが破壊され、そのデジタル置換が再頒布されなかったため、これはフェアユースであった。



(31頁)

中央ライブラリを構築するために使用されたダウンロードされた海賊版コピーは、フェアユースによって正当化されなかった。すべての要素がフェアユースに不利に作用する。Anthropicの従業員は、Anthropicがそれらを決してLLMの訓練に使用しないと決定した後でも、著作物のコピー(海賊版のものも含めて)が「汎用目的」のために「永久に」保持されるであろうと言った。各使用について別個の正当化が必要であった。Anthropicの財布と利便性を除いて、ここではいかなるものも提供されていない。

そして、中央ライブラリのコピーから作成されたが訓練に使用されなかったコピーについて本命令はAnthropicに略式判決を認めない。この姿勢でのこの記録において、中央ライブラリのコピーは訓練用コピーのソースとして機能しなくなった後でも保持され、「数百人のエンジニア」が他の使用のためにコピーを作るためにそれらにアクセスでき、エンジニアは他のコピーを作った。Anthropicはこれらの点についてディスカバリーを回避した(e.g., Opp. Exh. 17 at 93– 94(保持); Opp. Exh. 22 at 196 (制限なし); Opp. Exh. 30 at 3, 4 (説明なし); see also Opp. 15)。当裁判所、それらに関して記録が不十分に開発されすぎているため[Anthropicが証拠開示を十分に行わなかったため]、そのようなコピーに関する適切な回答を決定できない。Anthropicは、その言葉を借りれば『Anthropicがデータを取得した後に作ったことのあるすべて』の複製を祝福する[合法と認める]命令を受ける権利がない。



結論


訓練用コピーと印刷版からデジタル版に変換された複製物に関して、本命令はすべての曖昧さと推論を反対側、すなわち著者らに有利に引いた[解釈した]。海賊版コピーに関して、この命令はまた著者らの事実主張を受け入れた。著者らは略式判決を申し立てなかったが、もしそうしていたなら、我々は代わりに被告に有利な証拠が与えられたすべての合理的見解を受け入れることを義務づけられたであろう。

本命令は、訓練のための使用がフェアユースであったというAnthropicの略式判決を認める。そして、それは印刷からデジタルへの形式変更が異なる理由でフェアユースであったことを認める。しかし、それは海賊版のライブラリ・コピーが訓練用コピーとして扱われなければならないというAnthropicの略式判決は否定する。




(32頁)

我々は、Anthropicの中央ライブラリを作成するために使用された海賊版コピーとその結果の損害、実際のまたは法定の(故意を含む)について裁判を行う。Anthropicが以前にインターネットから盗用した書籍のコピーを後に購入したことは、その責任を免除しないが、法定損害の程度に影響を与える可能性がある。LLMの訓練以外の使用のためのライブラリ・コピーから流用された他のコピーについては、いずれも[責任の追及を]排除されない。

命令する。


日付:2025年6月23日

WILLIAM ALSUP
UNITED STATES DISTRICT JUDGE


3.まとめ

本件はかなりの知識を要するので、フェアユースの専門家に解説してもらうのが一番なのかなと思います。特にフェアユース4要件の当てはめ・評価については。

以下は本文訳をやってみた私なりのまとめです。

①フェアユースが認められた行為と認められなかった行為

⑴認められた行為

1. LLM訓練用の複製行為

*第1要素(使用の目的・性質): 有利

・「新しいテキストを生成するLLMを訓練するために著作権で保護された著作物を使用する目的と特徴は、典型的に変容的であった」
・「作家志望の読者と同様に、AnthropicのLLMは、先を急いでそれらを複製または代替するためではなく―クランクを転回し、何か異なるものを創造するために、著作物を基に訓練したのである」

第2要素(著作物の性質): 不利

・「著者らのすべての書籍―すべて出版済で、ノンフィクションか小説かを問わず―が表現的要素を含んでいた」
・「第2要素は、すべてのコピーについて等しくフェアユースに不利なものとなる

第3要素(使用量・実質性): 有利

・「Claudeサービスの出力と著者らの著作物との間のいかなる追跡可能な関連性の申立てもない」
・「第3要素は、訓練用コピーについてフェアユースに有利に働くものである

第4要素(市場への影響): 有利

・「LLMの訓練が彼らの著作物の正確なコピーや侵害的な模倣品さえも公衆に提供されることをもたらさなかった」
・「第4要素は、訓練用コピーについてフェアユースに有利に作用する

2. 印刷版→デジタル版への変換および複製保存 

第1要素(使用の目的・性質): 有利

・「ストレージおよび検索可能性は著作物自体の創作的特性ではなく、著作物をめぐる物理的特性または著作物についての情報的特性である」
・「印刷版ライブラリコピーからデジタル版ライブラリコピーへのAnthropicの形式変更は、フェアユース第1要素の下で変容的である」

第2要素(著作物の性質): わずかに不利

「第2要素のみがわずかにそれに不利に作用する」


第3要素(使用量・実質性): 有利

「著作物全体を複製することは、まさにこの目的が要求したものであった。余剰的な複製行為はなかった」
「フェアユース第3要素は、印刷版からデジタル版に変換された購入済のライブラリコピーについてフェアユースに有利に作用する

第4要素(市場への影響): 中立

著作権法が保護する権利の範囲外
「第1要素の下で述べられた理由により、そのような損失は著作権法が、著者らが利用するために留保するものに関係しなかった。それは形式変更であったのである」
再頒布の証拠なし
しかし多くのディスカバリーを経たのち、取得後のライブラリコピーを再頒布する意図や外部の行為者に対してその貴重なライブラリを確保できないことに対して当裁判所の記録にはいかなる兆候もない」
将来の損害は別途で救済可能
「そして、もし内部の中央ライブラリのコピーが実際にさらなる複製や頒布をもたらしたりもたらすなら、それらのさらなるコピーは著者らによって別個に救済可能なままである」
著作権者の正当な権利を奪ってはいない
「形式変更は著者らの正当な権利を奪ってはいなかった」

→「この要素は、印刷版からデジタル版に変換された購入済ライブラリコピーについて中立である

⑵認められなかった行為

*海賊版ライブラリ複製

第1要素(使用の目的・性質): 不利

1. 悪意による取得
Anthropicの認識:「創立当初から、Anthropicは書籍を購入できる『多くの場を有してい[た]』が、共同創設者兼最高経営責任者のDario Amodeiが表現したように、『法的/実務的/事業的な労苦』を回避するために書籍を盗むことを好んだ」
「Ben Mannは、著作権で保護された書籍の無許諾コピー―すなわち海賊版―から構成されたものであることを知りながら、196,640冊の書籍からなるオンライン・ライブラリであるBooks3をダウンロードした」

2. 本質的に侵害的な取得方法
「被疑侵害者が、書店で購入可能または合法的に入手可能であったソースコピーを、海賊版サイトからダウンロードすることが、その後のいかなるフェアユースにとっても合理的に必要だったと説明しうると考えること自体、本命令では疑わしいものと考える」
「そのように正規に入手可能なコピーを海賊行為で取得することは、たとえその海賊版コピーが即座に変容的使用に用いられ、直ちに廃棄されたとしても本質的に、回復不能なほど侵害的である」

3. 変容的でない使用目的
「リサーチ・ライブラリを構築するために対価を支払わずにコピーを海賊的に入手し、何らかの用途に役立つかもしれないという理由でコピーを保持すること自体が一つの利用であり、しかもそれは変容的ではない」

4. Anthropic自身の矛盾した認識
口頭弁論でのAnthropicの発言: 「研究目的があるといって自らを正当化し、欲しい教科書を好き放題に持ち去ることなど許されない。それがまかり通れば学術出版市場は崩壊する」(Tr. 53)
それに対する裁判所のコメント
: 「むろん、教科書を購入した者がそのコピーを保有し続けることについて、さらなる説明責任はない。しかし、教科書を海賊版サイトからコピーした者は、そこで既に侵害行為を終えているに等しい」

5. 客観的使用の分析
Anthropicの主張への反駁: 「連邦最高裁判所は我々に『利用者の主観的意図』を越えて、各コピーの客観的使用を見ることを課している」
実際の客観的使用: 「これらの海賊版コピーのAnthropicの実際の使用は、あらゆる大学や企業ライブラリと同様に、著作物について整理された事実、分析、表現上の用例を様々な偶発的使用のために保存するテキストの中央ライブラリを作成することであり、そのうちの一つが訓練であった」

6. Texaco事件との比較
「Texaco事件と同様に、Anthropicは実験室での使用に供さなかったコピーを所有し、その変容的使用が完了した後でもそれらのコピーを中央ライブラリに保持した。しかし、それらのコピーを購入したTexacoと異なり、Anthropicはインターネットで盗まれた中央ライブラリのコピーに対して決して支払をしなかった」

7. 既存の判例法との区別
他の正当化された事例との違い:入手不可能な資料ではない: 「ソースコピーが別途購入や貸出のために入手不可能であった事件ではない」
付随的複製ではない: 「コピーは海賊版コピーから付随的かつ必然的にのみ作成されたものでもない」
即座の変容もない: 「最初のコピーが著しく変更された形式に即座に変容したというわけでもない」

8. Google Books事件との本質的相違
「承認されたコピーのライブラリがすでに組み立てられており、そこからのすべてのコピーは一対一のさらなるフェアユースにおける直接利用のために作成された」
「海賊版コピーに関してここではそうではない。Anthropicが最初のコピーの作成元である許諾を受けたコピーは存在しなかった」

第2要素(著作物の性質): 不利

LLM訓練用の複製と同様の理由で不利

第3要素(使用量・実質性): 不利

「LLMの訓練のため、そしておそらく他のことのためにも有用なものもあると判明するかもしれないという可能性に基づいて、可能な限りすべての書籍を取得するという目的に対しては、およそ無許諾複製を過大にすぎるものであっただろう」
「第3要素は、海賊版ライブラリコピーについてフェアユースに不利に作用する

第4要素(市場への影響): 不利

1. 直接的な市場代替 
「中央ライブラリを構築するために使用され、海賊版ソースから取得されたコピーは、明らかに著者らの書籍に対する需要を---それもコピーごとに---置き換えた」

2. フェアユースの準備段階としての海賊行為の否定 
「著作物のフェアユースを行う意図があるというだけで、その準備段階として著作物の完全なコピーを取得する権利が自動的に与えられるわけではないし、ましてやフェアユースの実現を簡単でコスト・パフォーマンスの良いものにするためにコピーを盗む権利などあるはずもない」

3. 異なる使用の区別 
「ここでは、LLMの訓練に使用されたコピーは一つの話であったが、当該企業が将来的に何らかの用途で使用する可能性のある様々な目的のために、便利かつ汎用目的の著作物ライブラリを構築するために取得されたコピーは、まったく別の使用であった」

4. Anthropicの反駁に対する裁判所の応答 
Anthropicの主張1への反駁: 「第一に、Anthropicは『Claudeのサービスは従来の市場での代替を通じて原告の著作物の価値を減少[または収奪]しない』と主張するが、著者らの著作物の海賊版コピーを盗むことは明らかにそうなっている」
Anthropicの主張2への反駁: 「第二に、Anthropicは公開市場でいくつかの書籍(およびいくつかの他のテキスト)を購入することができたかもしれないが、複製した他のテキストは購入できなかったかもしれないと主張する。しかし、この事件は購入できなかったであろうそれらの他のテキストに関係しない。それは著者らの書籍(および他の多くのもの)を購入することができた。実際、後にそうしたことからも明らかである」
Anthropicの主張3への反駁: 「最後に、Anthropicは、一冊の本の購入を見送ったことによるこれらのテキストへの[経済的]影響は、考慮に値しないほど小さかったと主張する」

5. 仮定的分析による市場破壊の警告
「しかし、当テストは、行為がフェアユースとして容認された場合の可能性のある結果を当裁判所が熟考することを要求してしまう---すなわち、少なくとも緩やかに示された変容的使用のためのさらなるコピーを作る意図(抜粋付の書評の執筆、LLMの訓練など)がある限り(一冊でも、数百冊の書籍を)購入することができるのに、いかなる説明責任も負うことなく、著作物を盗んでもよいことになってしまう」

6. Anthropic自身による市場破壊の認識
「Anthropic自身が示唆したように、『それが事実ならば、[全体の]出版市場を破壊するであろう』」(Tr. 53; see also Tr. 32, 41; Opp. Expert Malackowski ¶¶ 31--34, 38)

「第4要素は、海賊版ライブラリコピーについてフェアユースに不利に作用する

総合判断 (p.47-48)

LLM訓練用複製: 「著作権で保護された著作物の性質を除くすべての要素がこの結果に有利に作用する。問題となっている技術は、我々の多くが生涯で見る最も変容的なもののうちの一つであった」

印刷→デジタル変換: 「第1要素は強くこの結果を支持し、第3要素もそれを支持する。第4要素は中立である。第2要素のみがわずかにそれに不利に作用する。全体として、購入された印刷版コピーが破壊され、そのデジタル置換が再頒布されなかったため、これはフェアユースであった」

海賊版ライブラリ複製: 「すべての要素がフェアユースに不利に作用する。Anthropicの従業員は、Anthropicがそれらを決してLLMの訓練に使用しないと決定した後でも、著作物のコピー(海賊版のものも含めて)が「汎用目的」のために「永久に」保持されるであろうと言った」

②原告主張を受け入れた場合の弊害

1. 学習・教育活動への制約

原告の主張: 「Claudeの基盤LLMを訓練するために著作物を使用することは、任意の者に読み書きを教えるために著作物を使用することと同様であるから、著者らはAnthropicをこの使用から排除できるべき」

裁判官の指摘する弊害

「著者らは、訓練や学習のために彼らの著作物を使用することから誰かを正当に排除することはできない」
「本を読むたび、記憶から思い出すたび、後に新しい方法で新しいものを書く際にそれを引用するたびに、誰かに本の使用に対して特別に[対価を]支払わせることは考えられないことである」
「何世紀もの間、我々は本を読み、再読してきた。我々はその壮大なテーマ、実質的な要点、そして繰り返される執筆の問題に対するその文体的解決策を賞賛し、記憶し、そして内面化してきた」

2. 創作活動への過度な制約

原告の主張: 訓練は著作物の創作的要素を記憶することを意図していた

裁判官の指摘する弊害:

「もし誰かがその例外的な表現のためにすべての現代における古典を読み、それらを記憶し、至高の文書を融合させたものを模倣したのだとすれば、それは著作権法に違反するであろうか?もちろんそうではない。」


3. 競争制限による創作インセンティブの阻害

原告の主張: LLM訓練が競合作品の「爆発的増加」をもたらす

裁判官の指摘する弊害:

「著者らの苦情は、学童に上手に書くことを教えることが競合する著作物の爆発的増加をもたらすであろうと苦情を言ったとしても、それと変わるところはない」
「これは著作権法が懸念する種類の競争的または創造的な置換ではない」
「同法は創作的な著作物を発展させることを求めており、著作者を競争から保護することではない」

③Thomshon Reuters v. Ross 事件との違い

●Thomson Reuters事件

訓練されたもの:
「特定のリーガル・トピックに応答して法廷意見を検索するための独自システム(特定のリーガル・トピックに応答して法廷意見を検索するための競合するAIツールであった)」
機能: 検索ツール(既存の法廷意見を検索・提供)
出力: 既存の法廷意見それ自体
性質: 「生成AI(それ自体が新しいコンテンツを書くAI)ではないと裁判所が二度強調

●本件(Anthropic/Claude)

特徴: 「リーガルプロンプトを受け取れば生の法的文書[fresh legal writing]で応答するように訓練されたAIツール」
機能: 生成ツール(新しいテキストを作成)
出力: 新たに生成された文書
性質: 生成AI(新しいコンテンツを創造)

判断の具体的違い

*Thomson Reuters判決の論理 

変容性の否定: 検索機能は元の著作物と同じ目的(法的情報の提供)を果たすため変容的ではない
市場代替: 既存の法廷意見検索サービスと直接競合
結論: フェアユース否定

*本件判決の論理 

変容性の肯定: 「複製者が使用するために解放されうるものであり、『創作へのインセンティブを減じることなく科学と芸術の発展を促進する』ことができた」
市場との関係: 「いかなる著作権者も正当に支配することを期待できるものに対して十分に『直交[orthogonal]』していた」
結論: フェアユース肯定


④両当事者にとって改善すべきだった点

【被告Anthropicの問題】

  1. ディスカバリーの不備

    • 「Anthropicは商業的にリリースされたLLMの訓練を超える用途のために作成されたコピーについての情報提供は過度に広範なもの」と主張

    • 「様々なLLMの訓練に使用された様々なデータ・ミックスの構成を示すスプレッドシートを提出したが―それを4月に撤回した」

  2. 矛盾する主張

    • 口頭弁論で「フェアユースを超える用途のために海賊版コピーを保持していた場合、その行為はフェアユースによって免責されない」と主張。

    • しかし実際には「さらなる用途のために再複製したライブラリのコピー」について十分な情報提供を拒否

  3. ライブラリアクセス統制の欠如

    • 「ライブラリのコピーにはアクセスと使用を制限する内部統制が欠如していた」。

    • 「『数百人のエンジニア』が他の使用のためにコピーを作るためにそれらにアクセスでき」ていた、

【原告著者らの問題】

  1. 具体的侵害の立証不足

    • 「著者らは、自身の著作物の侵害的コピーがClaudeサービスによってユーザーに提供されたまたは提供されることがあると全く主張していない」

    • 「そのような主張は単に原告らの修正訴状の一部にもないし、我々の記録にもない」

  2. 市場損害の立証不足

    • 一般的な競争への懸念にとどまり、具体的な市場代替の立証が不十分

    • 「学童に上手に書くことを教えることが競合する著作物の爆発的増加をもたらすであろうと苦情を言ったとしても、それと変わるところはない


この判決は、原告の動き次第ではもっとことが有利に運んでいたのかも知れません。
でもやはり、合法な手段で得た著作物に対して過大な権利主張をすることは、その著作物から得ることのできる知識やそれに伴う個人の改善の機会を妨げることになるのも事実です。
なので、AI訓練のために著作物を用いてさらに当該AIを改善する行為は格別、正当な手段で購入した著作物の利用手段はその後の利用者の手に委ねられているのであるから、デッドコピーを頒布しようとするなど市場の競合を招くものであれば(変容的でもありませんし)、基本的には当該行為を国家権力をして差止めたり損害賠償を求めることができるでしょう。(まさに、購入したんだから本を「自炊」してデータ化して保存するのもありでしょ?ていう感じです)。

でも、海賊版サイトからのダウンロードおよび保存はNGであります。Books3は196,640冊の書籍を収録したAI訓練用データセット。Library Genesis (LibGen)は少なくとも500万冊を擁する大規模なシャドウライブラリ。Pirate Library Mirror (PiLiMi)は他の海賊版ライブラリのミラーサイトとして機能するデジタル保存プラットフォームです。(その設立理念には出版費用の問題など様々な要素が絡み合っていますが・・・)

LLM開発をする際には合法的な手段で入手した著作物を使いましょう!


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