【小説】怪異は連鎖する 第三話
アパートの怪異の謎
さて、これまでアパートで起こった怪異を綴ってきたわけだが、これら怪異の原因とは一体何なのだろうか?
まず思い付くのは、このアパートで何らかの要因により人が亡くなっている…所謂、事故物件なのではないかということ。
そこで私は事故物件を調べられるサイトにアクセスして、調べてみた。
だが、このアパートは事故物件ではないし、周りにも該当する建物は全く無かった。
社会人となり、このアパートを離れて半年程経った頃である。
YouTubeを見ていると、ある動画が目に入った。
『こんな家には住むな!運気が下がる悪い土地を紹介!』
見出しに惹かれた。どうやら霊能者が風水的に良くない土地を教えてくれているらしい。私はこの時もアパートに住んでいたので、該当していないか気になり動画を観てみることにした。
霊能者が次々と悪い土地の特徴を挙げていく。良かった、このアパートは特に当て嵌まる要素はないようだ。
だが、なんだかゾワゾワとした寒気を感じる。
その寒気の理由は…学生時代の…あのアパートが特徴に当て嵌まっていたからだった。
それも、1つだけではない。3つ当て嵌まっていたのだ。
まずは、坂道を下りた場所にある土地ということ。
アパートは正にこの場所に建っていた。わりと急な坂道を下ったその位置に、アパートはあったのだ。
なんでも、こういう土地は良くないものが上から流れてきてそれが留まってしまい、住んでいるとその影響を強く受けてしまうのだそう。
もう一つは、線路沿いということ。
アパートの前は道路を挟んで直ぐ先に線路があった。勿論、部屋にいても電車の走る音がよく聞こえてくる。
これは、電車の乗客が全員明るい気持ちで乗っているわけではなく、辛い気持ちや面倒くさい気持ちなどのネガティブな思いを抱えた人が多くいるため、そのようなマイナスな気が家の側を定期的に行ったり来たりするのは良くないのだとか。
そしてもう一つが、鉄塔が近くにあるということ。
線路脇には鉄塔が立っていた。つまり、アパートの近くである。
これは気の流れを乱してしまい、健康面だけでなく、精神面にも影響を及ぼすのだとか。
勿論、これはこの動画を出していた霊能者の考えなわけであって、世の中にはまた違った様々な考え方があるとは思う。
しかし、この動画を観たことでアパートの怪異の理由について腑に落ちてしまう自分がいた。
3つもの要素を兼ね備えているとは…驚くと同時に、やはりあのアパートにはそれなりの原因があったのだと私は納得してしまった。
また、アパートに住んでいた同級生の友達が、卒業後そのまま学校に先生として就職したのだが、霊感のある新入生の男子生徒がアパートに入ったという。
アパートの事情を知っている友達はそれとなく男子生徒に話を聞いてみると
「あぁ、幽霊いますよ。」
生徒はあっさりと答えてから、視えるものを教えてくれたらしい。
「部屋というよりは、廊下がやばいですね。特に二階。それと、アパートの前の坂道を男性がずっと上ったり下ったりしている。」
というものだった。
この男子生徒の話にも、私は納得した。
やはり、廊下の薄気味悪さは気の所為ではなかったのだ。とすると、謎の足音は実は二階で響いていたものだったのかもしれないし、謎のノック音はホンモノだったのかもしれない。
アパートの前の坂道も、やはり良くない場所なのだろう。
そして、もう一つ気になる点といえば、このアパートの持ち主がキャバクラのオーナーだったということ。
普段はアパートの後ろの事務所らしき建物で不動産関係の仕事をしているみたいだったが、夜は駅前のキャバクラで仕事をしていたようだ。
時々、アパートの方にもやって来て駐車場を含め掃除や管理をしてくれていたので、挨拶はしていたしお互いに顔は知っていた。
なぜ私がキャバクラのオーナーという一面を知っているかというと、バイトしないか?とスカウトされたことがあるからだ。(既に居酒屋でバイトしていたので断ったが)
もしかすると、人間関係やお金が渦巻く夜のお店でオーナーに憑いてきてしまったナニカが、このアパートに居着いてしまっているのでは?
…なんて考えたりもする。
以上が、私が考えるアパートの怪異の原因である。
真相は分からない。今もアパートはあるのか?それすらも分からないが、10年近く経った今もう一度訪れてみたい気もする。
アパートでの怪異は以上である。これで終われば良かったのだが、怪異は連鎖する。
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