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【新幹線大爆破】あらすじ・感想(三幕構成で読み解く)

#ネタバレ

結末まで語るので、本編を未見の方にはブラウザバックを推奨します。

登場人物
高市(草彅剛):新幹線の車掌
松本(のん):新幹線の運転手
笠置(斎藤工):新幹線総合指令所の総括指令長

まずは、物語を三幕8場構成に分解します。

一幕
 一場:状況説明
 二場:目的の設定
二幕
 三場:一番低い障害
 四場:二番目に低い障害
 五場:状況の再整備
 六場:一番高い障害
三幕
 七場:真のクライマックス
 八場:すべての結末

参考:ハリウッド式三幕八場構成

一幕

1-1:状況:新幹線が爆破予告される。
1-2:目的:JR、警察、政府が協力して対処を開始。

二幕

2-3:障害:線路上の障害物(故障車両)を緊急回避する。
2-4:障害:追走車両による救出作戦が途中で終了。
2-5:状況:乗客から犯人が名乗り出る。
2-6:障害:東京駅連結工事を断念;共犯者から事情聴取。

三幕

3-7:佳境:走行中に車両を破断する荒技で、爆破から全員生還。
3-8:結末:被害者は元の生活へ;JR管制室は即座に通常業務に戻る。

FIN

2025年製作/137分/日本
配信:Netflix
配信開始日:2025年4月23日

綺麗な三幕構成でしたね。

▼感想:

ちゃんとしっかり面白かった。CGと実写特撮を併用した映像は大迫力。ドラマを極限まで削って終始仕事を描く脚本はシンゴジラと似てる。リアリティラインもエンタメ映画として丁度良かったし、キャスティングも豪華で楽しい。可能であれば1975年も併せて視聴がオススメ。

https://x.com/james_miles_jp/status/1915404149430379001

一番印象的だったのは、新幹線から全員が生還して新幹線総合指令所の全員が安堵したのも束の間に、斎藤工演じる笠置総括指令長が「さあ、ほっとした所を悪いが、業務に戻ろう。他の新幹線を動かすぞ」と即座に切り替えて、その場に居る全員が「はい」と気持ちよく返事して通常業務に戻った場面でした。

そうなんだよねー。普段、私達が使ってる鉄道で何かしら人身事故が起きた時も、事案が処理完了したら速やかに復旧業務に入って、他のお客様の移送にフルサービスで対処するのが鉄道会社だもんなーとしみじみ感じてしまいました。

●特撮

まあ、想像できる範囲のクオリティではありましたけど、十分合格点を出してると思います。JR東日本が特別協力してくれたことで何気ない接写がリッチだったり、模型の精度が高かったりと、迫力ある実写パートが多くて、それはリアリティの向上に大きく貢献していました。

こういう実際に線路のレールを切断する機械とか圧倒的なリアリティが生まれる。

1975年版ではシミュレーションのみだった新幹線大爆破を本当に大爆破してクライマックスに持ってきたのは最高でしたね!

●リアリティ

リアリティを欠いた演出に引っかかって低評価にしてる人が少なくないらしいようで。いやいや、こんなの「そもそもバカ映画」なんだから、細かいことは気にしなくていいじゃん!(笑)

そりゃ私だって、ツッコミを入れようと思えば幾らでも入れらますよ、やろうと思えば、の話ね。

例えば「どうやって爆弾を仕掛けたのか」は謎のまま終わりました。(笑)

バレずに爆弾をセットするためには内部犯行しか不可能だと論理的に考えれば明白だと思います。というか、それ以外に無いでしょう。本作劇中では「1975年の109号爆破事件は史実」という設定ならば尚更に爆弾対策には厳格なプロトコルが設定されてる世界線になってる筈でしょうし。しかし、流石に内部犯行シナリオはJR東日本がNGを出したのかと思われます。

…でも、そこはJR東日本を責めることは出来ないかなー。(苦笑)

映画に描かれてないだけで第三の共犯者が存在するのかもしれませんね。もっとJRと距離が近い誰かが手引きしないと、女子高生と解体業者の社員の2人だけでは、あの爆弾の設置は無理ですよ。

個人的にノイズになるレベルで違和感を覚えたのは斎藤工演じる笠置総括指令長がやたら懐中時計をカチカチしながら考え事をするクセがナルシスで少しウザかったのと、連結切り替えの指示を彼が出していることでしたね。

斎藤工が「今!」と叫んだら、同じく指令室に座ってる部下がマウスの左ボタンをクリックして、次の瞬間に東北新幹線の連結器がグイーンって動く描写には、申し訳ないけど私は吹き出して笑っちゃいましたよ。

https://youtu.be/MrUH5M_NjB0

なぜ総括指令長が、あの場所(遠く離れた指令室)から、あの精度(テレビモニターで監視してるわけでもなさそう;しかも仮にあっても数秒のタイムラグが生じる)で、非常にシビアな切り替えのタイミングの号令指示を出せるのよ?(笑)

さりとて、それで映画の評価が下がるということは無いんですけどね。

そういう次元で語るべきではないエンタメ映画なので。

●東京駅連結工事

私は映画配信前に、こんな予想をしていました。

4月2日の予告編(第2弾)を見たんだけどさ、、、
これ東京駅で急遽レールをつなげる整備してる画でしょ?
私の予想、もしかして的中してたんじゃない?
私としてはここで、映画のマジックに期待したい。

すなわち、東京付近では人口密集地が続くので誘爆はできず、そのまま東海道新幹線まで走るという仰天のシナリオはできないものだろうか。

この件について少し調べると、東北新幹線と東海道新幹線は当初は直通させる構想があり、東京駅の14番線ホームはそれを想定して建設されていたが、実際には諸問題が解決できず結局両者のレールを連結させる工事は完了しなかった、という事実を私は知った。

しかしこれは映画である。ここは一つ、「実は14番線ホームで東北新幹線と東海道新幹線を直通させるレールは非常時に備えて敷設済み」みたいな映画の嘘を持ち出して、そのまま静岡まで爆走する脚本にできないものだろうか。

このアイデアでは、車両が盛岡から東京に向かって走ってるのがミソで、東北新幹線の車両なら西日本の60ヘルツ対応できるのである。これが博多から東京を目指す東海道新幹線の車両では東北まで走り抜けることは不可能だったのである。なぜ舞台を東海道新幹線から東北新幹線に変更したのか?

【新幹線大爆破】JR東日本とJR東海、夢のコラボあるか?
https://note.com/james_miles_jp/n/n7d5a58c44e6c

…だもんで、第二幕の5場(状況の再整備)に入ったくらいで東京駅直通工事に乗り出した時は「キター!」と萌えたのですが、続く6場(一番高い障害)で政府と企業の両者から拒絶されて、気持ち良いくらい裏切られました。(笑)

●中だるみ?…いやいや、そんなことあるかいw

いくつか感想を拝見していると「犯人が自白して、東京駅接続工事が止まるパートは映画の勢いが落ちるからツマラナイ」という評価をしている人もいましたが、いやいや、政府も企業も味方してくれないという最大の絶望を叩きつけるのがこの工事中止の命令なんですから、仕事映画である本作としては一番盛り上がるところでしょうが!と私は思いますね。(…というか三幕構成では物語の中心で一度落ち着けるのがセオリーなんですよ。)

あと6場では草彅剛演じる高市が「人間を捨てるかどうか(女子高生を絞め殺すかどうか)で揺れる」という描写があって、これが作劇上での《一番高い障害》となっていますね。

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以下、重大ネタバレ。閲覧注意。

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●犯人

こういう形で1975年版の設定を活かしてくるとは、なかなか考えましたね!

エンタメ映画として、ちょいうど良い塩梅の火サス感だと思います。

昭和映画らしい人間臭さもあって良いですね。

まあ映画の最序盤から明らかに雰囲気がおかしい女子生徒が居たので、わかりやすいと言えばわかりやすい演出になってますね。2周すると楽しい映画だと言えるでしょう。

私は「まさかそんな無理な設定でベタな展開にすることはないだろう」と警戒しましたし、直後に担任の教師がその女子生徒を何かと気に掛ける描写もあったのであっさり「ああイジメとか不登校なのかな」と彼女が犯人である説は優先度を下げたのですが、まんまとミスリードされました。(笑)

(了)

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