米国で成功するための実践知を、日本の創薬へ
はじめまして、PBSS Japan Leadershipメンバーの加藤愛子です。
2026年2月22日の東京開催イベント、また2026年7月25日のオンラインセミナーにご参加いただいた皆さまお久しぶりです。
私はアメリカのボストンで、主にスタートアップ、VC、大企業の新規事業部門向けに、コンサルティングをしております。日本で生まれ育ちましたが、2年前、ついにアメリカでの就労年数が日本での長さを上回りました。
日本でサイエンティストとしてindustry側で働いていた頃、私が率いる産学連携プロジェクトが、industry側の理由でプロジェクトの中止を決めなければならないという辛い経験をしました。Academia寄りのscienceのみ重視した考え方を持っていた私は、「なぜこの研究を止めなければならないのか」と最初は怒りと悲しみに包まれました。落ち着いた時に、なぜこのようなことが起きたのか、その理由を知りたいと思うようになりました。結果としてそれがきっかけとなりビジネスの世界へ転向することにしました。
その後、アメリカのボストンに渡り、スタートアップ投資やスタートアップでの勤務、そしてアクセラレーターとしてのスタートアップの支援業務を経験しました。投資家、スタートアップ、アクセラレーターに会社経営も加わり、ビジネスにおけるより多角的な視点を持てたことは私にとって非常に幸運でした。こうした経験があったからこそ、「日本のライフサイエンス企業が米国で成功するための支援をしたい」という強い思いに繋がり、現在では主にスタートアップ企業のクリエーションとその発展支援に取り組んでいます。
PBSSとの出会いと設立の経緯
私がPBSSに関わることになったのは、2024年のBIOカンファレンスで、PBSS本部から「日本支部を立ち上げてくれないか」と、現在Japan PBSS Advisorの中鉢知子さんと共に、打診されたことがきっかけです。その後、多くの仲間の熱意とエネルギーを結集し、昨年2025年7月無事に日本支部を立ち上げることができました。立ち上げからまだ丸1年が経ったばかりですが、対面イベントやウェビナーに多くの方が参加する大きなコミュニティに成長したことを、心から嬉しく思っています。
PBSSの魅力
私がPBSSを魅力的だと感じる理由は、主に以下の2点です。
① 自主的に学ぶ人に優しい参加費設定
自腹を切って学ぶことは、モチベーションの高さに度々直結します。PBSSの創設者はかつて、「企業での仕事は縦割りになりがちで、創薬プロセスのほんの一部にしか関われないことが多い。しかし、自分の専門外であっても他のプロセスや仲間の仕事を知ることは非常に有益だ」と語っていました。そうした「自主的に学びたい」という意欲ある方々を応援するため、各支部で支援の方法は変わりますが、Japan PBSSでは参加費を基本無料にし、自主的に学ぶ方が参加しやすいようにしています。
② Scientific & Technicalな実践的教育コンテンツ
抽象的な議論や概要にとどまらず、現場ですぐに活かせる「即戦力となる教育」を受けられる点が大きな強みです。私はPBSSの他の支部の終日ワークショップなどにも参加した経験がありますが、終わった後は頭がパンパンになる満足感で満たされます。
今後の展望と皆様へのメッセージ
現在、日本のスタートアップ政策は、開始から5年が経ち、まさに第2フェーズに入りつつあります。これまでの第1フェーズが「スタートアップの数を増やす(量の拡大)」ことを目指していたのに対し、これからの第2フェーズの5年間は「成功するスタートアップを生み出す(質の向上)」ことが国家的戦略として求められていくと考えています。つまり、単なるアウトプットの数ではなく、アウトカムの質が評価基準となるフェーズです。
日本とアメリカの間には、構造上・システム的に大きな違いがあります。しかし、FDAでの臨床試験は世界的なゴールドスタンダードであり、グローバルな成功を目指す上で避けては通れない道です。私は、米国で成功したいスタートアップ企業に対して、必要なテクニック、知識、そしてネットワークを提供し、米国での成功に立ちはだかる高いハードルを少しでも下げるお手伝いをこれからも続けていきます。Japan PBSSは、そうした情報を提供する場であったり、情報がシェアされる場になればと思います。
次の筆者は、PBSS Japan Leadership メンバーであり、私の運営するBoston Biotech Hubにゆかりのあるメンバーであり、8月22日東京開催のイベントに登場する、山本憲幸さんにお願いしたいと思います。次回もお楽しみに〜!
