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ピンクのおむつはヒーロー

私は過敏性腸症候群を患っている。
この病気は下痢型や便秘型などいろいろなタイプがあるそうなのだが、私は突然お腹を下してしまうタイプだ。痛い、と思った次の瞬間にはもうダメなときもある。

この症状のせいで散々な目に遭ってきた。
出先でトイレに間に合わず、下着を汚してしまったことは数知れず。
奇跡的にトイレを見つけても、便座に座る前に爆発することもあった。
ひどいときには下着どころかボトムスにまで滲みて、慌てて下着と服を買ったこともある。
汚したものはニオイが漏れないように祈りながらカバンの奥深くに隠して、そっと持ち帰った。帰宅すると全部の持ち物のニオイをかいで、ニオイ移りしていないか、神経質なくらいに確かめた。

家で一人、時間が経ってキツくなったニオイと汚物にまみれながら汚れた下着を洗っているときは本当に惨めだった。世界一恥ずかしい姿だと思った。

人と会うこと、どこかへ出かけることが大好きなのに、常に服を汚してしまうかもしれない、くさいかもしれないという心配がつきまとって、心から楽しめなくなっていた。

そんな状況を打破したくて、おむつの使用を検討した。
でも、あの白くてふわふわでとってもダサい、そんなものを身に着けるなんて嫌だなあ。だって私まだ20代なのに。見えないところまでおしゃれしたいのに。
迷って迷って迷った末に、それでも心配から解放されたい気持ちが勝って、意を決しておむつを買いに行った。

ドラッグストアの大人用おむつコーナーには、高齢者の絵が描かれた、いかにもシニア向けですよ!といったパッケージがずらりと並んでいた。
そうだよなあ。やっぱり若い人が使うものじゃないんだ。
少し若くておしゃれなデザインのものを見つけて近づいてみるとそれはミセス用の尿もれパッドだった。私の症状には焼け石に水である。

もう諦めてシニア向けのものを買おうと思った時に、とある商品が目に飛び込んできた。

それはピンクを基調としたパッケージで、青やオレンジや緑のパッケージの中で明らかに雰囲気が違った。
尿もれパッドかと疑ってよく見たが、確かにパンツ型のおむつだった。
しかもパッケージによれば、おむつ自体もピンク色らしい。

え、悪くないじゃん。

迷わず購入して帰った。
試しに履いてみると、さすがに布の下着と同じようにとはいかないけれど、変にもこもこせず、ズボンやスカートの上からは全くわからない。
何より、やわらかいピンク色が、おむつを履く心理的ハードルをかなり低くしてくれた。
これなら心配せずに出かけられるかもしれない。

そして、実際に外出時に使ってみた。
トイレに間に合わないときも、さすがおむつとだけあって、ボトムスまで汚してしまうことは絶対になかった。
丸めれば汚物入れに捨ててこられるのもありがたい(一応エチケットとしてニオイもれを防ぐ袋に入れて捨てることにしている)。持ち物にニオイが移ってしまう心配もしなくて済むようになった。
当然、下着を洗う惨めな時間からも解放された。

なにより、心配から解放されて、前のように外出を心から楽しめるようになった。今では生理用品と同じような感覚で、特に心理的抵抗もなく愛用している。

おむつの性能そのものに助けられたところは大きい。正直、性能だけだったら白でもピンクでも変わらない。
でも、性能以上に、おむつがきれいなピンク色だったことが私を助けてくれた。そうでなければ、いまだに私は下着を汚し続ける惨めな日々を送っていたかもしれない。

おむつ業界からしたら、20代女性なんて全くターゲットじゃないだろう。
けれど、20代女性でも抵抗なく使える商品があってくれて本当に助かった。
おむつをピンクにしてくれた人、本当にありがとう。


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