「副作用が出るほど、抗がん剤が効いている?」
はじめに
個々の患者さんにとって最適な治療方針は、病状や背景によって異なります。
治療に関する最終的な判断は、必ず主治医と相談のうえで行ってください。
本記事の内容が、主治医の判断に優先されることはありません。
また、医療の考え方や治療方針には、医師ごとに見解の違いがある場合があります。
本記事に書かれている内容は、あくまで筆者個人の見解であり、所属する医療機関や学会の公式な見解を示すものではありません。
なお、本記事は、副作用を我慢して無理に治療を続けることを勧めるものではありません。
がん治療においては、効果だけでなく、生活の質や体への負担も含めて考えることが重要です。
その人にとって無理のない、持続可能な治療を主治医と一緒に選んでいくことが大切だと考えています。
中にはこういった報告もありますよ。といった軽い感じで読んでいただけたら幸いです。
私たち泌尿器科医は、悪性腫瘍としては、前立腺癌、腎癌、膀胱癌、精巣癌、副腎癌などなど様々な癌の治療を行っています。
― 膀胱がん治療薬のお話 ―
転移を有する、もしくは切除不能の膀胱がんの治療に使われる薬のひとつに、「エンフォルツマブ ベドチン」という注射薬があります。この薬では、皮疹(ひふの赤み)やかゆみなど、皮膚の症状が比較的よく起こります。
実は最近、この皮膚症状について、少し興味深い報告が出てきています。
それは、「皮膚の症状が出た患者さんのほうが、治療効果が高かった」というものです。
いくつかの研究では、皮膚症状が出た人のほうが、がんが小さくなった割合が高く、長く生存していた傾向が示されました。中には、がんが画像上ほとんど分からなくなるほど改善した例が、皮膚症状が出た患者さんに集中していた、という報告もあります。
なぜこんなことが起こるのでしょうか。
この薬は、がん細胞に多く出ている「目印」を狙って作用しますが、その目印は皮膚にも少し存在しています。そのため、薬がしっかり体に効いている場合、がんだけでなく皮膚にも影響が出る可能性がある、と考えられています。
もちろん、副作用はつらいものです。症状が強い場合には、治療を一時中断したり、量を調整したりすることが必要になります。「副作用があるから我慢したほうがいい」という話ではありません。
ただ、「副作用=悪いこと」と決めつけず、「薬が体に作用しているサインのひとつかもしれない」と考える視点も、がん治療を理解するうえで大切なのかもしれません。
後ろ向きでの検討で、患者数も少ないため、エビデンスレベルは大規模報告と比べて低いですが、参考になる論文です。
※他の癌腫で、同じになるとは限りません。
引用文献
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11199536/
英語ですが、pdfダウンロードして、chatgptに投げれば、解説してくれます。
