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【叙事詩】セトナ王子と亡霊の呪い ⑦『運命の輪が閉じるとき』

第七節:運命の輪が閉じるとき

そこは比較的平らな盆地で、
いくつもの石碑が静かに連なっていた。

老神官の姿へと変じたネネフェルカプタハは、
石碑に向かって両手を広げ、祈りを捧げていた。

そこへ、セトナと一行が差し掛かった。

セトナは、老神官の年老いた姿を見て、
イフウェレトとメルイブの墓の場所を
知っているのではないかと考えた。

「もし、イフウェレトとメルイブの墓をご存じなら」
セトナは老神官に尋ねた。

老神官は少し考え、静かに答えた。
「私の遠い先祖が
『警護監督ハルシエセの家の南隅にある』
と言っていた」

セトナは心の中でこう思った。
その昔、彼が不正をして警護監督に咎められたのだ。
恨みから家を取り壊したいだけなのだ、と。

「墓が人家にあるはずがない」
セトナは老神官に言い放った。

老神官は静かに答えた。
「もし墓が見つからなければ、罰すればよい。
私のことは召使に見張らせておきなさい」

船員たちに囲まれた老神官は
セトナとともに警護監督ハルシエセの家へ向かい、
南隅を取り壊した。

すると――
床の下からイフウェレトとメルイブのミイラが
静かに姿を現した。

老神官の視界は涙でにじんでいた。

「あなたのご先祖は正しかった」
セトナは老神官の手を握り、
二人のミイラを丁重に船へ運んだ。

家を船員たちが修復している間、
警護監督は老神官に尋ねた。
「どうして此処にあると分かったのですか」

老神官は静かに答えた。
「私が此処に葬ったからです」

そうして――
セトナはメンフィスへの帰途についた。


船が到着すると、ファラオが駆けつけてきた。

「セトナよ、二人を見つけたか」
ファラオは静かに問われた。

「御意の通りに」
セトナは跪き、深く頭を垂れた。

こうして、二人の貴人は
ネネフェルカプタハが眠る墓の隣に運び込まれ、
墓は静かに封印された。

私は見た。
人間の愚かさが呪いを呼び、
その愚かさがまた呪いを解いたことを。

千の王を見守る私の前で、
運命は静かに輪を閉じた。

※こちらからお読み頂くと、更に楽しめます。

本叙事詩は、大城道則氏『神々と人間のエジプト神話』に収められた
「セトナ・カエムアスとトト神の魔法の書」をもとに、
守護女神メルセゲルの視点から再構成した創作作品です。


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