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学生さんがKEGGをはじめてみたときの目を丸くしたときの反応をかいま見て


はじめに


 生命科学の分野の進展は著しい。それを支えるヒトビトがさまざまいらっしゃる。大学で学生さんたちをサポートする上で、テキストや論文は欠かせない。とくに高校から上がってきたばかりの新1年生はなにもかもがフレッシュ。

意欲満々なようすからこちらもエネルギーをもらえる。そうした学生さんたちにいろいろなかたちでオリエンテーションするのもサポート作業の役割のひとつ。なかにはわたしたちが研究の途上でお世話になるサイトの紹介をおりまぜる。そのひとつひとつに学生さんたちはおどろきの表情をみせる。

きょうはそんな話。

すぐれたサイト


 生命科学の分野には研究や教育を支援するさまざまなサイトが存在する。いつも支えてくださるヒトビトにこの場で感謝のことばを伝えたい。内容を日々更新・改善されるごようすを思うと、並大抵の努力ではなしえないだろうなとつくづく思う。そのひとつが京都大学の金久實氏によるKEGG. 

KEGGとは、Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomesの略。いわば生命の百科事典。なかでも生きものの代謝経路の概略図は有名。もはやここまで見出されていたのかと思い知れる。

一般の方々こそ

 関心をお持ちの方、生きものって何だろうと思う時、その手がかりのヒントはここにありそう。ちょうど6月7日まで、NHKスペシャルのシリーズ「人体Ⅲ」のダイジェスト版「命の源 細胞内ワンダーランド」としてNHKプラスで配信されている。山中伸弥氏がタモリ氏らにわかりやすく語りかける。

なにかしらもとめる方々にもご覧いただければと思う。おそらく何らかの感慨が浮かぶのではないか。わたしは見たとたん背がぞわぞわし、生命への畏怖の念とかけがえのなさを感じた。そしてじわりと感動。

その経路の枝葉末節の意味するところの理解はあとからでいい。むしろ広がりとか複雑さとか、生命が恒常性を維持すること、また、「生きる」とか「生命」という存在をあらためて考えるきっかけになることはまちがいない。こうした学問上の捉え方、見方があるというきっかけにしていただければと思う。

そしてKEGGの内容の充実度と広がりが伝わるのでは。

学生さんたちと


 昨日、新1年生の数人にKEGGを見てもらう機会があった。初見の方にご案内しよう。もうこのページだけで「おなかいっぱい」になるだろうし、サイトの底知れぬ「すごさ」はここだけでも垣間見れる。

https://www.genome.jp/kegg/kegg_ja.htmlから入って、KEGGデータベース一覧の2番目、’KEGG PATHWAY’ をクリックしていただきたい。ページが遷移し、以降順次、’1. Metabolism’、’Metabolic pathways’ と進んでほしい。

そこには…おそらく多くの方々にとって「あれっ、これって…。」と既視感が湧くのでは。そう、電子回路の拡大写真。はたまた大都市の交通路線図。じつはそうではない。これはご覧になっている方々みなさんに関わるできごと。なにも意識せずとも維持できているからだのなかで起こっている反応経路を示した図。

文字どおり代謝経路。もっともらしく描かれているが、もちろんこれがすべてではない。いまわかっているだけを表したにすぎない。

実際は


 くりかえすがこれは解明できているごくわずかにすぎないと思っていただいていい。ちょうどわたしたちが晴れた夜に見上げて見える星々は宇宙全体からみるとごくわずかにすぎない。それとよく似ている。とはいえこの図は、からだのなかで起こる主要なはたらきを示すのはたしかだろう。

さて、はじめてみた学生さんたち。いずれも目を丸くしていた。とくに高校で生物を履修したひとりはこの図にどこか見覚えのある特徴的な部分をみつけ、「クエン酸回路」とつぶやいた。「そう、そのとおり」とそこを指さしながらこちらもうなづく。

おわりに


 こうして新鮮な学生さんたちのおどろきのようすに接することができた。ここまで解明してきた先人たちの知恵と努力に脱帽する。このサイトを通じて、わずかでも生命の巧妙さやまだまだ奥深い生命の未知の世界が広がると気づいてくれたのでは。

これから数年間でいっしょに学んでいく。そのひとつひとつの歩みは小さいが、ここにいる学生さんたちのだれかがマップのどこかをひろげてくれることを期待したい。

最後になってしまったが、KEGGの運営をつづけていらっしゃる金久實氏をはじめスタッフの方々にすなおに拍手を送りたい。


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