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「人に迷惑をかけちゃダメ」って、ほんとにそう?

子どもの頃から、

「人に迷惑をかけちゃダメ。」

そう教えられて育った人は多いのではないでしょうか。

私も、その一人でした。

だから私は、

なるべく人に頼らない。

困っても自分で何とかする。

「大丈夫。」

と言うのが当たり前になっていました。

人に迷惑をかけないことが、大人になることだと思っていたのです。



私の「当たり前」が揺らいだ言葉

以前、私は娘を産む少し前、インドが本社の会社で働いていました。

そのとき、こんな言葉を知りました。

「あなたは他人に迷惑をかけて生きているのだから、他人の迷惑も許しなさい。」

その瞬間、

私の中の「当たり前」が音を立てて崩れました。

日本では、

「人に迷惑をかけないように生きなさい。」

と教わることが多いですよね。

でも、この言葉はまったく違いました。

迷惑をかけることを肯定しているのではありません。

人は、一人では生きていけない。

だから、お互いさまなんだ。

そんな考え方だったのです。

私は衝撃を受けました。


それでも私は、人を頼れませんでした

頭では理解していても、

私はやっぱり人を頼れませんでした。

星野村へ移住したばかりの頃。

まずはこの土地に慣れようと思い、

雇用保険を受けながら就職活動をし、職業訓練校にも通いました。

でも現実は、想像以上に厳しかったのです。

移住してしばらくすると、

前年の収入をもとに計算された税金や社会保険料の請求が次々に届きました。

収入は大きく減っているのに、

支払う金額は以前の収入が基準。

正直、

「今の私に、この金額を払えということなんだ…。」

そう思うくらい、貯金は驚くほどの速さで減っていきました。

当てにしていた移住支援金も、条件が合わず受けられませんでした。

支出を減らしても、

子どもたちの食事だけは減らせません。

星野の冬は氷点下になることも珍しくなく、

灯油の購入費や、虫だらけになっていた空き家を住める状態にするための清掃費用なども重なり、想像以上にお金がかかりました。


山を下りるという選択もできませんでした

仕事を探そうにも、

山の中では希望する仕事はほとんどありません。

通勤すれば片道1時間半。

そして、ようやく見つかる仕事も、

以前の収入の3分の1ほどでした。

税金や社会保険料は前年の収入をもとに計算されたまま。

もし就職したとしても、生活はさらに苦しくなることが目に見えていました。

「だったら山を下りればいい。」

そう思う人もいるかもしれません。

でも、私たち家族は、

息子が東京で呼吸が苦しくなってしまったことをきっかけに、この星野村へ移住してきました。

やっと安心して深呼吸できる場所を見つけたのです。

だから、

山を下りるという選択はありませんでした。


前に進めない自分

職業訓練校にも通いました。

でも私は以前、

スタートアップ企業で広報を担当し、

ITツールの導入や仕組みづくりにも関わっていました。

授業の内容は、ほとんど知っていることばかり。

学びたい気持ちはあるのに、

ここでは前へ進めない。

そんな焦りもありました。

どう頑張っても、

数字が合わない。

何を選んでも、

未来が見えない。

そんな毎日でした。


父が差し伸べてくれた手

どうしても行き詰まったとき。

父が、

事業を立ち上げるためのお金を貸してくれました。

何も責めることなく、

ただ、

「応援している。」

そんな気持ちが伝わるような支え方でした。

でも私は、

最初は素直に受け取ることができませんでした。

「申し訳ない。」

「迷惑をかけてしまう。」

そんな気持ちでいっぱいだったのです。


本当に、迷惑だったのでしょうか

今なら思います。

もし、あのとき父の手を借りなかったら、

私は前へ進めなかったかもしれません。

父は、

迷惑だと思ってお金を貸してくれたのでしょうか。

きっと違います。

娘を応援したい。

ただ、その気持ちだったのだと思います。

そう考えたとき、

私は初めて気づきました。

「人を頼ること」と「人に迷惑をかけること」は、同じではない。


認識は、選び直せる

「人に迷惑をかけちゃダメ。」

その言葉は、

思いやりを育ててくれたのかもしれません。

でも、

その認識が強くなりすぎると、

ほんとうに必要な時も

「助けて」

と言えなくなる。

苦しくても、

一人で抱え込んでしまう。

それは、

本当に自分にも、相手にも優しい生き方なのでしょうか。

父は、

私にお金を貸したことで、

迷惑だったのでしょうか。

私は今、違うと思っています。

困っている人を支えたい。

応援したい。

そんな気持ちもまた、

人が持っている自然な優しさなのだと思うのです。

そして、

私もこれまで、

たくさんの人に支えられてきました。

だから今度は、

私も誰かを支えられる人になりたい。

そう思っています。

誰にも迷惑をかけずに生きている人なんて、

きっといません。

私たちは、

支えられながら生き、

そして誰かを支えながら生きています。

それが、

人が一人では生きられないということなのかもしれません。


ほんとにそう?

私たちが「当たり前」だと思っていることは、

本当に絶対の正解なのでしょうか。

それとも、

育った環境や文化の中で身につけた「認識」なのでしょうか。

インドで出会った言葉。

父が差し伸べてくれた手。

そのどちらも、

私に新しい認識を教えてくれました。

もし、その認識を少しだけ見つめ直してみたら、

生きることは、

今より少しだけ楽になるかもしれません。

「人に迷惑をかけちゃダメ」って、ほんとにそう?


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