【キャリア】実習指導で残業してない?学生も自分も「定時で帰る」ための戦略
はじめに
「実習指導があるから、今日も残業は確定だな……」
「学生に何を教えていいか分からず、気づけば1時間経っていた……」
バイザー(指導者)を担当する皆さま、本当にお疲れ様です。
かつての私も、学生のデイリーノートを真っ赤に添削しながら、自分も学生もヘトヘトになって帰る毎日を送っていました。
でも、家では2人の子供が待っています。
育休や体調不良、そして家庭のタスクを乗り越えてきた今の私にとって、「残業して指導する」のは、もう持続可能な戦い方ではありませんでした。
そこで行き着いたのが、「指導時間をリハビリの単位(20分)と同じ重みで管理する」という考え方です。
指導の質を落とさず、学生も自分も笑顔で定時退勤するための「仕組み」を公開します。
思考を同期させる「3枚の書類」
実習を迷走させないためには、バイザーと学生の間で「共通言語」を持つ必要があります。そのための核となるのが、この3枚の書類です。
① デイリーノート(目標・行ったこと・目標の進捗・それに対するFB)
用語を統一し、学生の思考の軸を作ります。「宿題」にさせない工夫がここにあります。時間をかけ過ぎず、さっと書いていくのがポイント。前日と同じでもいいし、前日を受けてその文脈で書いたもので大丈夫です。
目標(上段):
認知領域:「今日は何の知識を中心に学びたいか」(疾患、症状等)
情意領域:「今日、どんな姿勢で臨みたいか」(言葉使い、所作、質問等)
精神運動領域: 「今日は何の技術を吸収したいか」(評価、介入等)
スケジュールと学び(中段): 午前・午後のリアルタイムな気づき。昼休みに午前分を、夕方に午後分を記載させ、業務時間内に終わらせます。
振り返り・返書(下段): 目標への自己評価と、バイザーからのフィードバック。

② 体験事例リスト(その日経験した症例:ざっと見られるもの)
詳細な記述は不要。「どんな疾患、どんなケースを体験したか」を羅列するだけのシートです。
左からにイニシャル、年代、疾患、もしあればというでメモ欄を小さく設け、これらを一行にしてA4に入るだけの行数用意します。
「これ、もう見たっけ?」という確認の時間をゼロにし、経験の偏りを可視化します。

③ 症例報告書(いわゆるレポート。時間を区切り時間以上お互い考えない)
特定の症例を深く分析する書類。デイリーの「目標」と同じ文脈で書かせることで、学生の混乱を防ぎます。
学生がフリーズしている時はバイザーが答えを教え、考える時間には必ず「リミット」を設けるのが鉄則です。
みていて動作分析や統合と解釈など、1~2分以上詰まっていたらどんどん教えちゃって、進まないようなら同意を得て一緒に書き込んでしまうのがポイントです。
指導時間は「リハビリの単位」と同等に扱え
「忙しくて指導が後回しになる」のは、指導をボランティアだと考えているからです。
私の職場では、以下の枠を「指導という名の介入枠」として、あらかじめスケジュールに組み込んでいます。
朝(数分): デイリーの「目標」を確認し、一日の視点を合わせる。
昼(15〜20分): 午前中のフィードバック + 【知識を教える時間】 + 午後の課題共有。
夕方(ラスト1時間):
最初の15分:デイリーノート完成時間(学生の自習)。
残りの45分:症例報告指導 + 【知識伝達】。
無計画な延長は、指導の質の低下に直結します。「どの枠に何分使うか」は、必ずバイザー側がコントロールしてください。
お互いの「待ち時間」をゼロにする
このスケジュールは指導者・学生とも「待ち時間」が発生すると崩壊していきます。1分1秒を無駄にしないため、以下のことを心がけています。
フィードバックは「箇条書き」で:
話す前に要点をメモし、時間内に収まる「本当に必要なもの」だけを伝えます。この「本当に必要なもの」を整理するため5分程度一度取捨選択する時間を取ります。伝えられなかった残りはあえて飲み込み、翌日に回す勇気を持ちましょう。
「考えさせる時間」にリミットを:
「今の歩行、どう思った?」と聞いて答えが出なければ、即座に教えます。「明日までに考えてきて」は、お互いの首を絞める呪文です。
「空白の時間」を同時に埋める:
バイザーが書類をチェックしている間に、学生には「体験事例リスト」を更新させる。自分が考えをまとめている間に、学生には「明日の目標案」を書かせる。
「お互いの作業を同時に終わらせる」意識で、定時の瞬間にすべてが完了している状態を作ります。

おわりに:私たちが示すべき「背中」
実習は、学生に理学療法の楽しさを伝える場であって、苦行を強いる場ではありません。
バイザーが定時でサッと帰り、家族との時間を大切にしている。
そんな「幸せそうな療法士の姿」を見せることこそが、教科書の先にある、私たち中堅が示すべき一番の「教材」ではないでしょうか。
あとがき:パパセラピストの独り言
仕事が終われば、私も2人の子のパパに戻ります。
家電を駆使して家事を時短するように、指導も「仕組み」で時短する。
浮いた時間で、奥さんとクッキーを食べたり、子供と遊んだりする。
その心の余裕が、翌日の優しい指導に繋がる……。私はそう信じています。
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