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【172】 イタチの最後っ屁

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(写真は食肉目イタチ科イタチ属ニホンイタチ)

ある おひゃくしょうやの うらにわに あひるや、がちょうや、もるもっとや、うさぎや、いたちなどが すんで おりました。

さて、ある ひの こと がちょうの たんじょうびと いうので、みんなは がちょうの ところへ ごちそうに まねかれて いきました。

これで、いたちさえ よんで くれば、みんな おきゃくが そろう わけですが、さて、いたちは どう しましょう。

みんなは いたちは けっして わるものでは ない ことを しって おりました。けれど、いたちには たった ひとつ、よく ない くせが ありました。

それは おおぜいの まえでは、いう ことが できないような くせで ありました。

なにかと もうしますと、ほかでも ありません、おおきな はげしい おならを する ことで あります。

しかし、いたちだけを よばないと いたちは きっと おこるに ちがい ありません。そこで、うさぎが いたちの ところへ つかいに やって いきました。

「きょうは がちょうさんの たんじょうびですから おでかけ ください」「あ、そうですか」「ところで、いたちさん、ひとつ おねがいが あるのですが」「なんですか」「あの、すみませんが、きょうだけは おならを しないで ください」

いたちは はずかしくて、かおを まっかに しました。そして、「ええ、けっして しません」と こたえました。

そこで いたちは やって いきました。いろいろな ごちそうが でました。おからや、にんじんの しっぽや、うりの かわや、おぞうすいや。みんなは たらふく たべました。いたちも ごちそうに なりました。

みんなは いい ぐあいだと おもって いました。いたちが おならを しなかったからで あります。

しかし、とうとう、たいへんな ことが おこりました。いたちが とつぜん ひっくりかえって、きぜつして しまったのです。

さあ、たいへん。さっそく、もるもっとの おいしゃが、いたちの ぽんぽこに ふくれた おなかを しんさつしました。

「みなさん」と もるもっとは、しんぱいそうに して いる みんなの かおを みまわして いいました。

「これは、いたちさんが、おならを したいのを あまり がまんして いたので こんな ことに なったのです。これを なおすには、いたちさんに おもいきり おならを させるより しかたは ありません」

やれやれ。みんなの ものは ためいきを して かおを みあわせました。そして やっぱり いたちは よぶんじゃ なかったと おもいました。

『がちょうの たんじょうび』(新美南吉)

仮名だけの文章は読みづらい。ハングルがこのイメージだ。日本人は漢字を捨てずに良かった。

イタチの屁を嗅いだことがないのだが、危険を感じたら肛門腺から悪臭成分を噴射する特性があるらしい。

同じイタチ属のヨーロッパケナガイタチは、その毛皮が珍重され養殖もされたが、やはり悪臭を放つため、欧州言語では屁や悪臭を冠した名前が多い。

イタチの最後っ屁、弁護しようと思ったのだが、どうやら濡れ衣ではないようだ。

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