【071】 翡翠 鴛鴦 鷦鷯 鶺鴒 鸊鷉
(*写真はブッポウソウ目カワセミ科カワセミ属カワセミ)
下嘴が橙なのがメス。「エサ捕ってこいや!」とでも言っているのだろうか。
「【059】 うっせえ! うっせえ! うっせえ! うっせえ!」で言及したように、チャイナ発祥の漢字は、原則として一文字=一単語である。二文字以上は固有名詞か外来品、または日本語からの借用語だ。
にも拘わらず、二文字で一つの生物を表すものが結構ある。しかも分解した一文字も同じ意味なのだ。これは「雌雄」を表している、という説がある。
翡翠は、
翡:雄カワセミ
翠:雌カワセミ
鴛鴦は、
鴛:雄オシドリ
鴦:雌オシドリ
だとの説が流布されている。本当か? 逆ではないのか?
「【069】 鯨鯢の鰓に掻く」で言及した鯨鯢も、
鯨:雄クジラ
鯢:雌クジラ
本当?
私は異説を唱える。チャイナでは、動物に限っては雌の方が雄より上位。子や卵を産むし、肉がうまいのも大体は雌の方だ。だから雌雄、牝牡のように、雌が先に来る。
人間の場合は、男女、夫婦のように雄が先に来る。一方、大和言葉の「めおと」は雌が先。チャイナとは逆の思想だ。
一决雌雄(雌雄を決す)
項羽と劉邦、戦って優劣をはっきりさせること。
チャイナにはニジにもオスメスがある。虹蜺とは、主虹はオスの虹、副虹はメスの蜺だ。兒は児で、女子供の意なので、やはり鯨鯢はオスメスのようだ。
麒麟は麒が雄、麟が雌。鳳凰は鳳が雄、凰が雌だそう。神獣も人間同様に雄が先なのかも知れない。ただし、雌雄と言うくらいなのだから、鳥類は雌が先だったはず。
トリには二つの漢字がある。
鳥:尾の長い鳥
隹:尾の短い鳥
元々は、雌雄は鳥類のメスオス、牝牡は家畜のメスオスを指したのだと推察する。
鷦鷯、鶺鴒、鸊鷉(かいつぶり)、 鷓鴣、鶬鶊(うぐいす)、鵂鶹(ひめふくろう)、鸕鷀(う)、鴟鴞(みみずく)、鸂鶒(むらさきつくしがも)、鸜鵒(はっかちょう)なども、雌雄を表しているのだと私は考える。鸚鵡は女と武だから、メスオスだろう。
日本では牝牛、牡牛、牝馬、牡馬を除けば、ほとんどの動物には雄イヌ、雌ネコのように雌雄が使われる。これがチャイナでは「公母」だ。牡牛は公牛、牝牛は母牛だ。一方で、
牝雞之晨(牝鶏晨す)
雌鶏がコケコッコーと鳴く=女が権力を持つことは災いの始まり、というチャイナの諺。トリにも牝の字が使われていたようだ。なんだかややこしくなってきたので、この辺でやめておこう。
以下なども、一文字に分解しても同じ意味で、かつ他に使い道のない漢字である。元々は雌雄を指していたのではなかろうか。
蜻蛉:とんぼ
蟷螂:かまきり
蟋蟀:こおろぎ
蜚蠊:ごきぶり
蜉蝣:かげろう
蜘蛛:くも
蟪蛄:けら
蜈蚣:むかで
蚰蜒:げじげじ
蚯蚓:みみず
蛞蝓:なめくじ
蜥蜴:とかげ
蝙蝠、駱駝もそうかも。
次は隹のトリを探してみよう。
