【110】 007/オクトプッシー
(*写真はタコ目マダコ科ヒョウモンダコ属ヒョウモンダコ(豹紋蛸))
英米におけるタコは、触手を伸ばしていろいろ触って全てを把握しているイメージ。アメリカ国家偵察局(National Reconnaissance Office)が運用する偵察衛星「NROL-39」のマークは、地球に覆い被さるタコ。モットーは、"Nothing Is Beyond Our Reach"。
英イアン・フレミング原作、1982年に映画化された『007/オクトパシー』(Octopussy)。女だけの犯罪組織かつ首領の通名 Octopussy とは、直訳すれば「タコマ*コ」という意味の造語である。劇中では明らかに「オクトプッシー」と発音している。
「【069】 鯨鯢の鰓に掻く」で紹介したが、『Moby-Dick; or, The Whale』を、「デカいポコチン、あるいはクジラ」と直訳することなく「白鯨」としたのと同じ思考であろう。英米人は容赦無く下ネタをぶっこんで来る。日本人は上品ゆえに直訳を避け、結果として原作者の意図を見失わせる側面もあるのだ。
なお「007」は、ダブルオーセブンと読む。ゼロゼロセブンではない。英語における数字は、数量と記号に分けて認識され、数量ならゼロ、記号ならオーと発音する。ゼロゼロセブンの誤読は、『サイボーグ009』が原因か? 「【108】 プリンプリンと火星人」で言及したように「ゼロゼロセブン・ヘンナキブン」など、NHK ですら間違えている。
『007/オクトパシー』のアイコンは、ヒョウモンダコ。首領のペットで、部下はヒョウモンダコの刺青をしている。このタコはタコ目で唯一、人間を致死させるフグと同じ猛毒テトロドトキシンを持つ。
タコの好物はカニ。ほぼ全てのタコの唾液腺にはチラミンやセファロトキシンという毒があり、これをカラストンビ(烏鳶)からカニに注入し、麻痺させてから丸呑みする。
日本人が「足」と呼んでいるタコやイカの触手、英語では「Arms=腕」である。かつ雄の腕一本は「交接腕=ポコチン」であり、これをメスに突っ込んで受精する。また、イカ類には群れる種があるが、タコは絶対に群れない単独行動生物である。
タコは腹が減ると自分の腕を食う。俗信とも言い切れず、実際に観察例があるそうだ。食った腕は再生し、しかも多めに再生して9本になる例もある。こんなキモい生物はタコ以外に地球上にいないであろう。ジョジョのポルポとは、イタリア語のタコの意。自分の指を食って再生するシーンがあるが、これはタコの暗喩だ。
鉢巻した陽気なタコ、タコさんウィンナーなど、タコは日本人にとってプラスのイメージだが、西洋人にとっては不気味過ぎる高知能生物なのだ。だから火星人のイメージなのだろう。なおスパイダーマンの宿敵、ドクター・オクトパス、これは octo で韻を踏む名韻律。私が初めて買ってもらったゲームウォッチは「オクトパス」であった。
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オクトとはラテン語の8、パスは足、オクトパス=八足。
オクタゴン:八角形
オクターヴ:八度音程
ハイオク(ハイ・オクタン価):炭素数8の炭化水素「Octane」
ギリシャ神話の神々の名は、天体、曜日、元素の名則律となったことは既に説明済みだ。では「月」の名はどうか? なぜオクトーバーは10月なのか? 次章以降で見ていこう。
