【381】 なかぬなら 殺してしまへ 時鳥
(写真はカッコウ目カッコウ科カッコウ属ホトトギス)
時鳥の歌は、信長、秀吉、家康自身が詠んだものではない。
江戸中期の旗本で、のちに勘定奉行、南町奉行を務めた根岸鎮衛が、佐渡奉行であった1805年頃の執筆と思われる奇譚雑話集『耳嚢』内での創作である。
*
「いまだ郭公を聞かずとの 物語りいでけるに 信長 鳴ずんば 殺してしまえ 時鳥 と有りしに
秀吉 鳴ずとも 鳴かせて聞こう 時鳥 と有りしに
鳴ぬなら 鳴くとき聞こう 時鳥 と遊ばれしは 神君の由」
*
『耳嚢』の約20年後の執筆と伝わる、江戸後期の平戸藩主、松浦静山による随筆集『甲子夜話』には、根岸鎮衛のパクリの寓話がある。
*
「夜話のとき 或人の云けるは 人の仮托に出る者ならんが 其人の情実に能く協へりとなん 郭公を贈り参せし人あり されども鳴かざりければ
なかぬなら 殺してしまへ 時鳥
織田右府
鳴かずとも なかして見せふ 杜鵑
豊太閤
なかぬなら 鳴くまで待よ 郭公
大権現様」
*
人気のあるトリには複数の漢字があることは、「【072】 隹(ふるとり)とは」で述べたとおりだ。時鳥、杜鵑、郭公すべて「ホトトギス」と読み、他には不如帰、子規、田鵑、沓手鳥、霍公鳥、杜宇、蜀魂などがある。日本最多の漢字を持つトリがホトトギスだ。
なお、「【379】 総裁選に麒麟がくる!? 石破氏が自らを明智光秀に例えネット波紋」で石破茂が言った「明智光秀は“泣かぬなら逃してやろう、ほととぎす”だそうですね」。
光秀のホトトギス川柳は、歴史上の創作でもなんでもなく、NHK による捏造である。
