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【045】 キジ撃ちとお花摘み

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(*写真はキジ目キジ科ヤマドリ属ヤマドリ)

私は山歩きが趣味で、過去に秩父三十四観音を丸五日かけて、全踏破したことがある。山中の巡礼道では携帯の電波も届かず、登山道ではないのでマップもない。寺の住職の話では、道が整備されおらず危険な箇所もあるので、徒歩での巡礼はそもそも推奨していないとのことだっだ。

そんな中、山中で道が分からなくなり困っていたところ、藪から突如キジが現れて、私の2m前を振り返りながら歩き出した。20mほど付いて行くと道が判明し、キジは藪へと消えて行った。

同じ日、また別の山中で迷った。そしたらサルが出てきて、同じように私の前を歩き、道案内をして消えた。その次はシカ親子が似たような行動をした。

イヌは出て来なかったが、桃太郎には生物学的な根拠があるのではないか? そんなことを思ったのである。

早速この不思議な体験を友人らに話したのだが、誰も信じてくれない。「また与太話を。」と一蹴された。

その後調べてみると、私がキジだと思ったトリは、どうやらヤマドリだったのかも知れない。ヤマドリは縄張り意識が強く、人間にストーカー行為をしたり、キックをしたりするそうだ。しかし私が見たトリは前を歩いていた。未だに謎は解けていない。

キジの近縁ヤマドリは日本固有種。

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む
(柿本人麻呂)

ヤマドリのつがいは、谷を隔てて離れて眠るという伝承がある。ヤマドリの暗喩は一人寝。昔の日本人は、如何にトリに思いを馳せていたのだろうか。

屋外で用を足すことを、男はキジ撃ち、女はお花摘みという。なんと風流なことか。

しかし英語にも似たような表現がある。それは  Water the daisy 。身近な英単語の名詞には、必ず動詞の用法が付随する。Water の動詞は「水遣り」。

雛菊ひなぎくの水遣り」=キジ撃ちだ。日本のように男女の使い分けはないが、これもまた風流と言えるだろう。

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