【056】 空に そびえる くろがねの 城
(*写真はモチノキ目モチノキ科モチノキ属クロガネモチ)
トリに人気の実で、特にヒヨドリの好物。モチモチの木はトチノキ。
空に そびえる くろがねの城
スーパーロボット マジンガーZ
無敵の力は ぼくらのために
正義の心を パイルダー オン!
『マジンガーZ』(作詞:東文彦)
くろがねとは、鐵の大和言葉である。大和言葉がある=日本に古来からあった、外国から齎されたものではない、という推察が成り立つ。エメラルドやサファイアに大和言葉はない。
こがね:金
しろがね:銀
あかがね:銅
くろがね:鐵
あおがね:鉛(錫とすることもある)
「かね」は金属の総称。他には、はがね(鋼)、まがね(真鉄)、みずかね(汞:水銀)などがある。「【022】 オマリーの六甲おろし」で説明したように、「みず」は既に濁音を含むので、「かね」は連濁しない。
鐵を黒と表現する感覚は英語も似ている。鐵の鍛冶屋は Blacksmith で、西部劇の馬道具屋の看板でよく見かける。欧米の鍛冶屋は扱う金属ごとに分業しており、Redsmith は銅、Brownsmith は銅+真鍮、Whitesmith は錫。Goldsmith, Silversmith はそのまま金属名、というか、これも色とも言える。
Brownsmith はシアトルの男性デュオ、Bluesmith はジミー・スミスのジャズアルバム。スミスは鍛冶屋で、職業姓(Occupational surname)の代表格。ガンダムにもマジンガーZにもスミスは出てくる。ドイツではシュミット。
幕末の英語学者で幕府の通訳も務めた清水卯三郎は、欧米から入ってきた元素表の金属名に、「ね」で終わる和訳を考案したが普及はしなかった。
例えば、マンガン:まんがね、プラチナ:ぷらちね、ストロンチウム:すとろんちね。
帆足萬里、広瀬淡窓と並ぶ「豊後の三賢人」の一人で、江戸中期の思想家である三浦梅園の語録には、以下の言葉があるそうだ。
金とは五金の総名なり。
分かっていえば金、銀、銅、鉛、鐵。
五金の内にては、鐵を至宝とす。
如何となれば、鐵その価廉にして、その用広し。
民生一日も無くんば、有るべからず。
明治の鐵学者で、長岡半太郎、鈴木梅太郎と並んで「理研の三太郎」と呼ばれ、日本人初のノーベル賞候補に挙がった本多光太郎には、以下の名言がある。鐵の字体を見て欲しい。
鐵は金属の王なる哉
なぜ鐵の略字が鉄になったのか、まったく不明だ。
仏教における空想上の世界最硬度の物質は「金剛」。ギリシャ神話のオリハルコンに相当する。真言密教の「金剛」とは、あらゆる誘惑に負けない最強の意思を表す。そして最強の誘惑が、煩悩の化身「魔羅」。なので「金剛」を冠した精力剤は自己矛盾である。
なお金剛=ダイヤモンドとする考えを私は採らない。ダイヤモンドで金剛杵や金剛鈴は作れないからだ。
ちなみにマジンガーZの PRC 名 は「無敵鐵金剛」。ガンダムは、PRC と香港では「高達」、台湾では「鋼彈」。
次章もマジンガーZとガンダムで続けよう。
