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[音楽]「マス・メディア・スターズ (アクア・フラジーレ(1974)」


Discogs

メンバー

 ベルナルド・ランゼッティ(Bernardo Lanzetti): vocals, electric guitar, acoustic guitar, 8-string guitar
 ジーノ・カンパニーニ(Gino Campanini): electric guitar, mandolin, vocals
 ピエロ・カナヴェーラ(Piero Canavera): drums, percussion, acoustic guitar, vocals
 フランツ・ドンディ(Franz Dondi): Bass
 マウリツィオ・モリ(Maurizio Mori): keyboards

アクア・フラジーレについて

 後のアクア・フラジーレとなるグリ・イモータリ(Gli Immortali)は70年代初頭に結成された。

 1971年、PFM(Premiata Forneria Marconi)のステージの前座を行ったことがきっかけで、グリ・イモータリはPFMとの交流が始まる。

 当時のPFMのマネージャであるフランコ・マモーネがバンドのマネージメントを担当することになり、バンド名がアクア・フラジーレ(壊れやすい水)となった。

 1972~73年はイタリアでツアーを行っていたソフト・マシーン、テンペスト、カーヴド・エア、ジェントル・ジャイアント、ユーライア・ヒープといったイギリスの大御所の前座を務める。

 そして1973年、PFMとクラウディオ・ファビ(Claudio Fabi)の共同プロデュースでファースト・アルバムである「アクア・フラジーレ Acqua Fragile」を発表する。

 イタリア生まれだが、テキサスで育ち英語が堪能なランゼッティの方針で全曲英語で歌うという、イタリア・プログレ界隈では異色なバンドだった。

 ファーストアルバムはイギリスのプログレ、特にジェネシスやジェントル・ジャイアントに似たサウンドという評価を得た。ジェネシスとの類似は曲の構成だけでなく、ランゼッティの鼻にかかった歌声がピーター・ガブリエルに似ている点も指摘されている。

 アコギとコーラスをベースにしたフォークロック的な要素を全面に出しつつ、途中でリズムが変わり、ギターやシンセサイザーが絡まる複雑な構成の曲もあり、特にラストの8分超えの「三本の腕を持った男の物語 Three Hands Man」は聴き応えがある。

 そして1974年に発表した2枚目が「マス・メディア・スターズ」だった。同じメンバー、同じプロデューサーでレコーディングされ、歌詞も1作目同様に英語である。全曲ランゼッティが作詞、カナヴェーラが作曲を担当。

 アルバムリリース後、ジョー・ヴェスコヴィがキーボード担当として加入。入れ替わるようにランゼッティはバンドを脱退し、PFMに加入し「チョコレート・キングス (Chocolate Kings/1976)」「ジェット・ラグ (Jet Lag/1977)」でリードボーカルを担当。

 PFMは当時英米を意識した英語詞のアルバム「幻の映像 (Photos of Ghosts/1973)」をリリースしており、ランゼッティのテキサス仕込みの流暢な英語力(歌とMC)が必要だったためらしい。

 ランゼッティ脱退後にロビー・ファチーニが加入するが、バンドは75年に解散。作曲を担当していたのはカナヴェーラなので新たな展開もあったが、英語の曲を歌うということがバンドの特徴となっていたことはバンド継続には致命的な障害となってしまったのだろう。

 ドンディは2004年にトリビュート的なバンドである「アクア・フラジーレ・プロジェクト」を結成するが、2006年に解散。

 そして2013年。突然、ランゼッティ、カナヴェーラ、ドンディがアクア・フラジーレを再結成し、2017年に「A New Chant」、2023年に「Moving Fragments」をリリース。そこら辺の話は全く知らなかったのでどちらも未入手。

 スタジオ盤は以上4枚。他にブートレグのライヴ盤である「Live in Emilia  - Spring 75」が存在。

 以上、バンドのプロフィールはCDのライナーノーツと以下のwikiを参考にしました。

バンドとの出逢い

 このバンド、アルバムとの出会いは以下も参照してください。

 1979年に廉価盤(LPが通常2500円の時代に1800円)のLPを買った。「European Rock Collection 1800」というセブンシーズ・レコードによるシリーズの一枚で、なぜこれを選んだかは覚えていないが、レコード帯に"PFMがプロデュースしたバンド"という売り文句に惹かれたのかも知れない。

 そして、2007年、BMGから発売された紙ジャケットCD(ストレンジ・デイズ・プレゼンツ BMGイタリアン・ロック復刻紙ジャケット・コレクション 第二期第一回発売版)を買い直した。

 改めて聴いてみると非常にキャッチーなメロディといかにもプログレな複雑な構成はプログレ初心者にはピッタリな、完成度の高いアルバムだった。

 何よりもまだ曲の完成度にばらつきのあった1作目と比較しても、洗練され、自分たちの持ち味を理解し全面に押し出した作りに仕上がっていて、アクア・フラジーレとしてのバンドカラーが確立されたと感じられた。

 昔はランゼッティのクセの強い歌声がちょっと苦手だったが、いまはその歌声もバンドの魅力に感じられるようになった。

「マス・メディア・スターズ」

A-1: コスミック・マインド・アフェア Cosmic Mind Affair (Lanzetti/Canavera) (7:19)

 囁くようなランゼッティのボーカルから静かに始まり、次第にアップテンポになっていくあたりは聴いていてワクワクする。終盤のモリのキーボードとカナヴェーラの畳み掛けるようなドラムスの絡み方はたまらない。1曲目から聴きどころだらけの名曲だが、歌詞は難解。ラッシュを思い出した。

A-2: バー・ゲイジング Bar Gazing (Lanzetti/Canavera) (5:06)

 アコギの静かなイントロで始まる美しいバラードだが途中で変拍子でドラマティックな展開となる。ギターソロも渋い。そしてコーラスも交えての大団円な終わり方。

A-3: マス・メディア・スターズ Mass-Media Stars (Lanzetti/Canavera) (6:53)

 このバンドのプログレ要素を全面的に発揮したアップテンポの名曲。歌詞はマスメディアの影響力を皮肉ったような内容となっている。

B-1: オープニング・アクト Opening Act (Lanzetti/Canavera) (5:40)

 軽快なコーラスで始まるが歌詞は割りとビターな内容。ファーストアルバムのリリースまでの数年に渡る前座生活の振り返りだろうか。途中に入るランゼッティのスキャットで声域の幅の広さが解る。

B-2: プロフェサー Professor (Lanzetti/Canavera) (6:49)

 この曲もA-3と並ぶいかにもプログレな疾走感溢れる名曲。シンセサイザーをベースにしたコーダ的な部分が余韻を残す。

B-3: コーヒー・ソング Coffee Song (Lanzetti/Canavera) (5:56)

 アルバムの最後を飾る美しいバラード。アコギでシンプルに始まり徐々に重層的に膨らんでいく。随所でジェットマシン風の効果も加え、最後まで飽きのこない作りとなっている。

最後に

 70年代のイタリアプログレ界隈は叙情的という言葉が似合うと思っているのは私がPFM、バンコ、ニュー・トロルス、イ・プーあたりを好んで聴いていたからかも知れないが、その叙情性と西海岸風の明るいコーラスやキャッチーなメロディを組み合わせたのが、このアクア・フラジーレの2作目だった。

 再結成後のアルバムの曲もYouTubeでつまみ聴きしたがアルバムを入手したくなった。

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