4月の読書記録 〜心を掴んで離さなかった3冊〜
4月は、なにかと心がざわつく季節だった。
日々の投稿を読んでくださっている方は察しているかもしれませんね。
新しい環境への切り替え、子どもたちの生活リズム、想定外の出来事。
気づけば、自分の気持ちを整える余裕すら、なかなか持てないままザーッと時間が流れていた月でした。
正直に言えば、読書どころではない日も多かった!
でも、そんな4月だったからこそ、この3冊は特別。
読み進めるというより、救われるようにページをめくった。そして、読んだあともずっと、胸の奥で何かがじんわりと残っている。
「読み切れた」というより…
「読まずにはいられなかった」。
静かで深くて、真っ直ぐに心を掴んでくる、そんな3冊でした。

📖 しろがねの葉 / 千早茜【著】
時代小説にあまり触れてこなかった私でも、ためらう間もなく引き込まれていった一冊。
古風な言い回しや言葉の選び方に最初は少し戸惑ったけれど、その重みのある響きが、むしろこの物語の深さを支えていたように思う。
模写の場面がとにかく印象的で、上品さと湿度を含んだ艶やかさがあり、静かに、でも強く心に焼き付いた。言葉がこんなにも絵になるのか、とため息が出るほどだった。
この物語の中では、人の黒さや貪欲さがはっきりと描かれている。命が呆気なく奪われる場面も多いけれど、それでも人は生きようとし、足掻き、粘り強さを見せる。
間歩の闇に魅せられ、執着し、現実に引き戻され、平穏に安堵する──そうした感情の揺れのひとつひとつが切実だった。
好きなように生きられない時代に、なおも懸命に“生き抜こうとする”人々の姿。
割り切らねばならない現実と、割り切れない感情。
その折り合いをつけていく過程に、人の哀しさと強さがにじんでいた。
「どうせひとりで死ぬのに、なぜ生きるのか」
そんな問いを突きつけられながらも、それでも人は足掻き、生きようとする。
その姿に、何度も目を閉じて深呼吸したくなる読書だった。
読むほどに、今を生きている私たちの“背景”に気づかされる。そうして生きた人々の延長線上に、今の私たちがあるのだという事実が、胸に静かに沁みていく一冊だった。
📖 なにごともなく、晴天。 / 吉田篤弘【著】
このタイトルを見たとき、「ああ、いいな」と思った。
なにごともない、晴天。
でも、それがどれだけ尊いことか、私たちは案外、わかっていないのかもしれない。
この物語は、派手な事件や劇的な展開は起こらない。
けれど、何気ない言葉や風景、誰かのちょっとした表情が、なぜだか胸に沁みてくる。
ゆっくりと歩くようにページを進めていたはずなのに、気づけば物語の中にすっぽりと包まれていた。
「人生は楽しんだもの勝ち」
「眠いなんて言ってないで、よおく見といた方がいいよ、いろんなもの」
ふとした台詞のなかに、心がふっと緩むような、そんな風通しの良さがある。
「なにごともない」日々の裏側には、きっと誰にとっても“なにごと”がある。この本は、その当たり前を、そっとすくい上げて見せてくれる。
日常に置き去りにしてしまいそうな気持ちに、そっと寄り添ってくれるような物語。
忙しさのなかで、呼吸が浅くなっているような時にこそ、手に取ってほしい一冊です。
📖 光のとこにいてね / 一穂ミチ【著】
久しぶりにKindleで読了。
物語に心を預けるようにして読んだ本だった。そして気づけば、何もかも忘れて一気に読み切っていた。
驚くほど物語に引き込まれてしまったのは、やはり展開の妙と、言葉の力のせいだと思う。
恋愛でも友情でも、家族愛でもない。
でも確かに“かけがえのない誰か”として惹かれ合う二人の関係性。わかりやすい言葉では説明しきれないその関係が、どこか心に触れて離れません。
価値観も暮らしも違うふたりが、わずかな時間の重なり合いから共鳴し、お互いに執着していて、その不器用さすら愛おしいと感じてしまうほど。どちらも弱い部分があり、でも強いなと思う。
どんな場面を切り取っても“美しさ”が宿っているのが、一穂さんのすごさ。声色に関する表現が多彩で、こんなふうに書ける人がいるんだなあ、と驚きでため息が出ました。
その繊細さに圧倒されながらも、どこか落ち着くのは、きっと“本当に大切なもの”に触れているような感覚だったからかもしれない。
物語の終わり方は、余白が多く、好みが分かれるかもしれない。でも、この余韻こそが、この物語の核心なのかもしれない。読了後の今も二人のことを考えてしまうのかもしれません。
4月の読書を振り返って
ページを開く時間が思うようにとれなかった4月。
でも、そんなときでも“読むしかなかった”ほど、私の心を掴んできた本たちがあった。
静かに、確かに、深く残る言葉たち。
美しさと痛みを含んだ物語の余韻が、今もまだ心に留まっている。
本を読むことで、自分を少し遠くから見つめ直せる気がする。そしてまた明日、もう一度立ち上がるための、ほんの少しの力をもらえる気がする。
あなたにとって、4月はどんな月でしたか?
そして、最近読んだ本の中に「心を掴んで離さなかった」1冊はありましたか?
\ よかったら、あわせてどうぞ /
▶︎ 3月の読書記録
▶︎ 本の力で心を豊かに…
▶︎ こんな人が書いています
最後まで読んでくださってありがとうございます!
明日もまた、小さな気づきを綴ります。
ふとした日常の中にある、心がほっとする瞬間を一緒に見つけられたら嬉しいです。
では、また!
いいなと思ったら応援しよう!
今日の気づきが、あなたの心にもそっと寄り添えたなら嬉しいです。いただいたサポートは、これからの言葉の種として、大切に大切に育てていきます。