5月の読書記録〜やさしさに触れて 生き方を見つめた4冊〜
運動会、誕生日、ゴールデンウィーク。
家族の予定が盛りだくさんだった5月は、天気や気温の変化もあいまって、心も身体も、何かとゆらぎやすい日々でした。
日々の忙しさに押されて、自分のペースをつかむのはなかなか難しかったり。
すぐに答えが出るわけじゃない。
でも、誰かの人生や思い出をそっとのぞくことで、自分自身のことをふと見つめ直したくなる。
そんな5月に出会った4冊は、「生きること」と「死に向き合うこと」を描きながら、どこかほっとする読後感を残してくれる不思議な本との出会いでした。
あたたかくて、切なくて、少しだけ涙がこぼれて。
でもその先に、ちゃんと生きていたいと思えるやさしさが残る。
言葉って、物語って、やっぱりすごいなと感じた読書時間でした。

📖 くろねこカフェのおやつ 午後三時の蜂蜜トースト / 高橋由太【著】
「もう会えない大切な人からのメッセージが届くカフェ」そんな言葉に導かれるようにして読みはじめた一冊。
海辺の古民家に佇む「くろねこカフェ」。
ここでは、亡くなった人が生前に予約した思い出のおやつが、遺された人へとふるまわれます。
少し変わった設定なのに、不思議なくらい自然に胸に入ってくる。そして、どのお話にも共通しているのは、故人からの静かな愛情と、言葉にならなかった「ありがとう」や「ごめんね」。
もし、私だったら——
最後に残したいおやつは何だろう?
そう考えたとき、思い浮かんだのはチョコケーキ。
母とのアップルパイの記憶もあるけれど、今、娘たちと一緒に過ごす時間の香りがするのは、チョコケーキやクッキー。
読みながら、私自身のおやつの記憶もあちこちから立ち上がってきました。
味とともに残っているのは、大切な人との時間。
そう思うと、なんでもない日々の中の「おやつの時間」って、すごく尊い!
生きるって、誰かの記憶に残るって、どういうことだろう。
そんなことを、ほんのり甘く、でも深く考えさせてくれる一冊でした。
📖 くろねこカフェのおやつ 泣きたい夜のマロングラッセ / 高橋由太【著】
前作の余韻から抜け出せず、すぐに続けて読みました。この世界観から、まだ離れたくなかった。
特に印象的だったのは、50年連れ添った夫婦のエピソード。
「悲しい」のに、「あたたかい」。
そんな矛盾するような感情が、ページをめくるたびに心に流れ込んでくる。
先に旅立った妻が依頼していたおやつは、言葉以上に深い愛情をそっと包んでいて、ページをめくりながら涙が止まりませんでした。
読書中、ふと自分の父や夫の顔が浮かんでくる。
「自分がいなくなったあとに残せるものって、何だろう」と、自然に考えてしまう。
何かを残すって、物や言葉だけじゃなくて、その人との思い出。温度や香りや、過ごした時間ごと全部をふわっと思い出させてくれる”なにか”なのだと思う。
悲しいはずなのに、読了後はあたたかい。
そんな不思議な読書体験でした。

📖 うたかたモザイク / 一穂ミチ【著】
一つひとつの物語が、泡のように静かに現れて、
でもいつのまにか心の奥にそっと残っている。
この本は、そんな短編集でした。
登場するのは、完璧ではない、でも懸命に日常を生きている人たち。すこし不器用で、どこか人に言えないものを抱えていて。その静かなもがきに、共感せずにはいられませんでした。
誰もがどこか不完全で、でも懸命に生きていて。
そんなうまく言えない気持ちが、そっとすくい上げられているように感じました。
特に「神さまはそない優しない」というお話は、2回読み返してしまいました。こういうことも世の中にはあるのかもしれないと思わせる想像力を掻き立てる内容で、少しクスッとできる軽やかさもありながら、ちゃんと泣ける要素も含んでいて。
章ごとに視点が変わっていく構成なのに、どこかでふわりとつながっている感覚があって、まさにモザイクというタイトルがぴったり。
気づけば、「この人、私かもしれない」と感じてしまう瞬間がいくつかあって、読む人によって心を動かすお話が必ずあるのではないかと思う短編小説でした。
📖 私たちのままならない幸せ / ジェラシーくるみ【著】
この本を読みながら、何度も小さく頷いていた気がします。
「誰かのリアルな生き方を、静かにのぞかせてもらった」そんな読後感のある一冊でした。
登場するのは、名もない8人の普通の女性たち。
転職、再婚、不妊治療、家族との葛藤……
選びながら迷って生きている姿がそのまま描かれています。それぞれが「自分なりの幸せ」に向き合っている姿が、とてもリアルで、潔くて、美しかった。
正解のないことがわかっていながら、つい探してしまう正解みたいなものをこねくり回して生きているんですよね。
何が正解かわからないままでも、生きていていいんだよと言ってくれているようで、気づけば、肩の力がすっと抜けていました。
いろんな生き方を知って、自分の輪郭を見つけていく過程が必要なんだと思う。
生活に軸がありながらも、ときに揺れたり、立ち止まったり。そんな日々の重ね方に、どこか自分を重ねたくなるようなインタビュー集です。
5月の読書を振り返って
行事も多く、暮らしも体調も揺れやすかった5月。
あわただしい毎日のなかで、自分の時間が少しだけ持てた隙間時間。
その隙間にすべりこんできた物語たちは、どれも「暮らしのなかにある幸せ」や「誰かと過ごした時間の重み」をやさしく教えてくれました。
おやつを通して「最後の伝え方」を考えたり、
他人の人生にふれて「自分の輪郭」を確かめたり。
忙しさの中に差し込む、小さな見つめ直しの光のような読書体験でした。
あなたにとって、「心に残るおやつ」ってなんですか?
そして、最近読んだ本の中で、ふと涙がこぼれそうになった瞬間はありましたか?
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最後まで読んでくださってありがとうございます!
正解はひとつじゃない。
あなたにとって心地よいペースで、少しずつ。
また明日も、無理なく、ていねいに。
大切に生きていきましょうね。
では、また!
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今日の気づきが、あなたの心にもそっと寄り添えたなら嬉しいです。いただいたサポートは、これからの言葉の種として、大切に大切に育てていきます。