猫の守護者②〜すべての命はめぐる〜
地球で野良猫として産まれ、輪廻転生してにゃんにゃん星に生まれたハマ。昆虫星に攻撃される、にゃんにゃん星を守る為に地球に来た。果たして生まれ故郷の星を守れるのか?
──愛とは、記憶と情報でできている。「記憶と愛の星」のアナザーストーリーです。
※二話完結、連載作品です。前回はこちら ⇒ 猫の守護者①
<地球>
懐かしい地球。僕が『八割れ様』として住んでいた星。この星のどこかに『僕のお母さん』が住んでるかな?まだ生きてるのかな?僕が八割れ様として死んでからどのぐらい時間が経ったのか、見当もつかなかった。でも僕は祈ってみた。
(どうか『僕のお母さん』にまた会えますように。)
その時遠くから、誰かが何かを願う声が聞こえた。
(お友達と仲良くできますように。)
僕のお母さんかどうかまでは分からない。でも懐かしい、心をくすぐる声だった。願いを持つなら、僕がその願いを叶えるという交換条件で僕の願いも叶い易いはずだ。行こう。躊躇する時間は僕らには残されてない。
願い事をしてたのは中学生の少女ユミちゃんだった。学校で友達とちょっとしたすれ違いが原因で、仲良く出来なくて悩んでるらしい。
ユミちゃんは『僕のお母さん』に面持ちや声が似ていた。初めて会うけど、もしかしたら『僕のお母さん』の子孫かもしれない。生まれ変わりの可能性もある。なんとしてでもこの子に僕らの願いを叶えて欲しい。僕は交渉して、ユミちゃんににゃんにゃん星に来てもらう事に成功した。
<再び・にゃんにゃん星>
ユミちゃんの協力を得て、僕らは一時的ににゃんにゃん星の勢力を取り戻したが、本当に一時的だった。僕らが惑星拡大に使った「人間の情報・記憶・感情」を食べた虫たちが、知恵をつけ再び僕らに襲い掛かった。長老サスケが昆虫星に攫われた。
ユミと僕は虫の女王の居城に潜入し、捕らわれた長老サスケを救出した。女王は人間の記憶を喰らい知能を得て「命は燃料」という円環の理を語った。僕らは「記憶と愛」を信じて戦った。ユミちゃんの勇気が卵管を断ち、産卵不可能になると、女王は兵隊に喰われて帝国は崩壊した。
しかし、にゃんにゃん星に戻るとーー指令を出していた女王がいなくなって、虫たちは暴走した。共食いもしながら猫も襲うという、地獄になっていた。
僕とサスケはにゃんにゃん星に残って仲間を助けに行き、ユミちゃんは自動運転で宇宙船に乗せ地球に帰ってもらった。
僕とサスケは出来るだけたくさんの仲間を集めて、お互いに守り合って戦ったけど、最後は虫に襲われて全滅した。そして虫達も餌になる僕らがいなくなると、お互いに共食いを続けて、無機質な星自体も食べだした。宇宙空間の中で最後の1匹になった、腹ペコの虫は自分の体を食べて自滅した。にゃんにゃん星と昆虫星の生き物は全て無に帰った。
<宇宙空間>
魂だけで僕は宇宙を彷徨っていた。今回は猫の天国行かなくてもいいのかな?と思ってたけど、遠くの方からユミちゃんの『魔法の呪文』が聞こえてきた。
「ハマは私の大事な友達です。ずっと覚えてます。 」
(ああ。ユミちゃんが僕を呼んでくれてる。行かなきゃ。)
魂だけになった僕は宇宙船に乗らなくても、沢山の思い出を共に持ったユミちゃんの元に行くことが出来た。
ユミちゃんの住んでる土地では今日は満月だ。魔法がかかりやすい。
地球に魂だけで近づくと、八割れ様として生きてた時の思い出も蘇ってくる。ユミちゃんの願いと僕の記憶が混ざり合って、共鳴し、世界を揺らした。振動が集まり核を作り、核がまた振動を呼んで、少しずつ物体としての形を模索する。僕の記憶とユミちゃんの願いに沿ってーー
そうやって、時間をかけて僕は地球での実体を持つ猫の肉体を作り、その中に僕の魂をそっと送り込んだ。拒絶反応がない。成功した。これで記憶を保ったままユミちゃんにまた会える。
翌日の朝、ユミちゃんに出会えた。僕らは再会を喜んだ。同じ大きさで2足歩行出来た時みたいに、何でもやってあげる事は出来ないけど、猫の体でも心に寄り添って、唯一無二のパートナーとして、ユミちゃんの元で天寿を全うした。
ユミちゃんも大人になって実家から仕事に行き始めた頃、僕は普通の飼い猫として、再び死んでしまった。死に際はユミちゃんに見送ってもらった。
(僕等はずっと一緒だよ。大丈夫。大好き。ユミちゃん。
ずっと愛してる。)
そう伝えて、また天国に戻った。
<再び天国>
僕はまた冒頭の天国に戻ってきた。順番を待ち、木の扉を開けた。
「ただいま戻りました。元・八割れ様、現・ハマです。」
僕は天国の白い猫の面接官に挨拶した。地球で死ぬと天国を通過するシステムなのか?
「おお――ハマちゃん、久しぶり。お疲れさん。大冒険楽しかった?」
「まあ…その…うん、楽しいっちゃ楽しかったけど…凄く大変でしたよ?
メッチャ僕、頑張りましたよ?
正直『聞いてないよー!!』って心の中で何度も叫びました。」
「あははは。まあそうだろうねえ。だって修行だもん。」
「‥‥‥しらんがな。」
「大変な目にあって大いに結構!キミの成長も目覚ましかったよ。
『雨の後のタケノコかよ?!』ってぐらい成長したよ。」
「はあ…そうですか…。成長したんですか。」
僕も大人になったつもりだったけど、本当に大変だったから、ふてくされた。
「でもね、苦労した分、良いことあるよ!
はい、この勲章と卒業証書あげる!」
勲章は金色の猫の顔の形のメダルに赤いリボンが付いてた。卒業証書には
『貴公は規定の課題を治めたのでここに、人間の守護者として働くことを許可する。猫猫歴XXXX年〇〇月』
と書かれていた。僕は機嫌が治った。
「はい、こんな感じで猫メダル付けとけば自由に地球に行って好きな人の守護者として、好きなだけ滞在していいから。
どお?苦労のかいあったでしょ?」
「ありました!ありがとう!ユミちゃんに何かしてあげられるかも‥‥
嬉しい…。」
「頑張った人は、行くのも帰るのも自由です。地球に飽きたらいつでもここに来ていいからね。歓迎するよ。
私のアシスタントとして他の猫にパラシュートを付けて、新たな惑星に猫を突き落とす役も出来ます!」
「ぶふっっ! え?ちょっと、それ、やってみたいかも……
でもユミちゃんの守護者やりたいから、地球へ行ってきます!」
「OK!存分に好きな時間を楽しみ給え!」
僕は地球に向かって飛んだ。これからお仕事をして、働いて、結婚、出産、人生いろんなことがあるユミちゃんを一人にしないで、ずっと守る為に。
僕には今日の地球はいつもよりもキラキラ輝いて見えた。
願いが叶うと全てが煌めいて見えるなあ。
ーーーーーーおわりーーーーーーーー
物語に付き合って頂きまして、誠にありがとうございます。
前回はこちら ⇒ 猫の守護者①
<あとがき>
なんとなく、ギャグが古いような気もしますが…。
「若い人はきっと知らない。分かるのは年が近い人だけ。だから笑って流すはず。」そう信じてます。
この話は前に書いた「記憶と愛の星 ― おでこゴッチンの約束(ユミが主人公)」のアナザーストーリーで「ハマ」視点で書きました。
もしこの物語が、あなたの記憶のどこかに残ったなら――それだけで、僕は嬉しいです。
