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猫の守護者①〜すべての命はめぐる〜

この物語は、猫の守護者ハマが語る「魂の旅と記憶の神話」です。
少女ユミと出会い、彼女の願いを叶えた猫の物語の裏側 。
前作「記憶と愛の星 ― おでこゴッチンの約束」のアナザーストーリーとしてお楽しみください。

二話完結、連載作品です。※次回 ⇒ 猫の守護者②


<生い立ち>


僕は白黒八割れ猫。僕は産まれた時は野良猫だった。三毛猫のママの元に生まれた。ゴミ箱の近くにある人間の家の軒下だ。雨風は凌げたけど、ママのおっぱいも出る日と出にくい日がある。ママが食べられる日と食べるものがない日があるからだ。僕らは必死でママのオッパイを吸ってみたが思ったようにお腹いっぱいになれない日もあった。
兄弟の中でも強さに序列があるんだ。強い奴が出の良いお腹側の乳首にありつける。でも僕は兄弟の中でも一番小さいから胸側の乳首からしか飲めない。大きさに順位が出来る。僕は最小だった。
子育てする猫は常に引っ越しする。糞尿に汚れるのもあるけど、住んでいたら住処に子猫の匂いが付く。敵に発見されたら僕らはお陀仏だ。週に1度は引っ越しする。ある引っ越しの時に僕はママに運んでもらえなかった。僕だけが古い巣に残された。
雨が降っていた。空はどんよりと厚い雲に覆われ、地面は濡れる。空気はジメジメして体が乾かないから、体温が奪われ、どんどん寒くなる。温めてくれる兄弟もママもいない。寂しくて悲しくて僕は力の限り鳴いた。
「ぴゃーーぴゃあーーぴゃぁぁーー!」(僕を助けて!寒い!お腹空いた!)
見知らぬデッカイ生き物近寄ってきた。この際誰でもいいから僕を助けろ!デカい生き物に近寄って足元から登ってみた。乾いてて体温が感じられた。
「どうしたの?こんな雨に中。ずぶぬれじゃん?」
大きな生き物は僕を抱き上げて、体温で温めてくれた。僕は嬉しくなってしがみ付いた。絶対離れないからな。
大きな生き物は僕を家に連れて帰ってくれた。綺麗に洗って、乾かして、ミルクをくれた。今まで飲めなかった分を取り戻すように僕は力いっぱい飲んだ。
「おお!凄い勢いだね。これなら生きられる。大丈夫、大丈夫。」
僕は人間に守られ育まれすくすく成長した。愛情を沢山貰って育った。
だから人間が大好きになった。
育ててくれた人間のお母さんが、好きだ。大好きだ。愛してる。

<猫の天国>


でも残念だけど僕は猫だ。頑張っても20年も生きたら大往生。僕は15歳の時にお母さんを残して死んでしまった。癌だった。それは長生きできた証拠なんだけどね。お母さんと離れるのは名残惜しいけど僕の魂は猫の天国に向かった。死んだ猫が行く天国に入る前に受付がある。その受付で、天国で暮らすか?転生するか?決めるらしい。
「次の方どうぞー。」
僕の番が来た。木製の開き戸が開くので中に入っていった。白い猫が机に向かって座ってた。天使の輪と白い羽が付いてた。ベタだなあ。
「こんにちは。キミの名前は?」
「飼い主殿には『八割れ様』って呼ばれてました。これって名前かな?」
天国の受付員の猫は、パラパラとデッカイ本をめくって何か探してる。
「ふんふん。あ、それ名前で合ってるよ。それで八割れ様は今後どうしたいの?何か希望はある?出来るだけ希望に沿ったご提案をするよ。ここは天国だからね。」
「僕は飼い主殿と出来るだけずっと一緒に居たいです。僕は飼い主殿に守って貰って凄く幸せだったから、今度は僕が飼い主殿を守ってあげたいんだ。守られる幸せをあの人に教えてあげたい。」
「ほう。随分と美しい願い事だね。でもねえ、ちょっと待ってね…ええっと…」
そう言って天国の白猫はサイドデスクのパソコンに向かって何かカタカタ打ち込んで検索を始めた。猫なのに随分器用な奴だなあ。
「お?空き席があったよ。一旦宇宙猫として『にゃんにゃん星』で転生して、修行を積んだら、また地球に戻って人間の守護者になることが出来る。今、このまま地球で一緒に居る事も出来るけど、その場合は守護はできない。ただ浮遊霊として見てるだけ、一緒に居るだけになる。
どっちでもスキな方が選んで。どっちに行きたい?」
むむむ、難しい選択だ。今すぐ会えるけど、何もできない。修行面倒だけど、守護できる。どっちも魅力的だ。一長一短。僕は考えた。
「‥‥‥にゃんにゃん星に行きます。」
「OK!いい選択だ!では、あちらの青い扉から出て、にゃんにゃん星に向かってね。それでは良い旅を!!」
カーテンが開かれ、5色の扉が白い猫の後ろに現れた。その中に青い扉もあった。
アシスタントの猫たちがやってきて、僕にパラシュートを装備させた。なんだか嫌な予感だ。僕は新人のお笑い芸人じゃないんだぞ?胸がドキドキする。
「あの…これ、なに?嫌な予感しかないんだけど‥‥」
「大丈夫!だって君は死んでるんだよ?もう絶対死なない!
それにね、パラシュートも本当は無くてもいいぐらい。でもね、怖いって意見が多かったから、付けてみただけ。
♪し~んぱ~いないさぁ~~♪さあ、行ってらっしゃい!」
「バカンッ」と開けられた青い扉の向こうは宇宙空間が広がっており、その向こうに緑と青の美しい惑星が浮かんでた。僕はその空間に向かって
「ドカッ!!」と突き飛ばされた。
「あ~~!たーすーけーてぇぇぇーー!!」
「元気でねー!行ってらっしゃい!」
アシスタント猫たちに見送られて僕はにゃんにゃん星に落ちて行った。

<にゃんにゃん星>


にゃんにゃん星で生まれ変わった僕は、白猫のお父さんと、黒猫のお母さんの間に生まれた。また白黒八割れ猫で『ハマ』と名付けられた。この星では猫は人間のように2足歩行をし、畑を耕し、文字と言葉、文化をもって和やかに暮らしていた。技術力もあり宇宙飛行も出来た。パソコン、ネットワークも発達してた。地球の人間の上位互換的な文明を持っていた。星が持つ許容量を越えず、慎ましく幸せに暮らす技術を育んでいた。
僕は優しいお父さんとお母さんに育まれ素直な良い子として成長した。学校で仲間と繋がりを持ち、沢山学んで大人になった。
でも、そんな幸せもそう長くは続かなかった。隣の双子惑星、昆虫星は元々にゃんにゃん星と同じぐらい豊な星だった。ただ隣にあるだけだった。
でも、虫は何も生み出さず、本能のままに全てを食らい尽くし、ただ増殖した。食べ物が無くなると、虫達ががにゃんにゃん星に攻め込んできた。
圧倒的な数と暴力だ。宇宙船なんか無いけど、虫は宇宙空間でも死なない。地球のクマムシみたいに丈夫だ。虫の数が増え過ぎたら、宇宙線も物ともせず、虫同士で身体を繋ぎ合わせて橋を作り、双子惑星である昆虫星から生身で入り込んでくる。
もちろん僕らも応戦した。でも数で圧倒的に負けてるし、奴らは『無視・無私・無死』を掲げてる『無視無私無死帝国』だ。つまり、個が無く無限に増えるから死もない、感情もなく、ただ生き残るために食べ続ける存在。僕らの仲間はみるみる減っていった。
ただ戦っても勝ち目はない。何千人居た仲間ももう100人を切った。僕らは残った仲間で相談した。
「『情報・記憶』の力でこの星の勢力を取り戻そう。」
「そんなこと出来るのか?俺たちこんなに減ったんだぞ?」
「他の惑星の生き物『人間』の力を借りよう。
虫より強い生命力を持ち、そこそこ高度な文明も築き、『愛と優しさ』も持ってるらしい。僕らに残された時間もない。亜空間ワープを使えば行けなくもない距離だ。可能性に賭けなければもう打つ手はない。」
僕らはそこまで追いつめられていた。僕・ハマとにゃんにゃん星の長老サスケは地球の言語を習得した。人間の住む星・地球について調べ、計画を練った。残された資材で宇宙船を建造し、遂に僕は地球に向かって出発した。
「じゃあ、行ってくるね。皆も気を付けてね。」
「おまえもなー、ハマ、待ってるからな!」
地球に向けて僕は旅立った。

―ーーーー猫の守護者②に続くーーーーー

続きはこちら ⇒ 猫の守護者②

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