見出し画像

今すぐできる世界一周|旅がしたくなる日本人作家のエッセイ7選【いつも心は旅にいる】

旅の前には旅のエッセイに学び、旅の道中は道連れになってもらう。そんな私には大好きな旅のエッセイがたくさんある。何回かに分けて、記録したいと思う。今回は日本の作家さんのエッセイたち。


「ようやくカレッジに行きまして」光浦靖子

だって、ふてぶてしい人って面白いじゃないですか。

帯のこの文章が目に入り、購入を即決めた。ふてぶてしい人って面白い。やっかいだけど不思議と愛おしい。ふてぶてしい人に対してイライラしたりすることも、日常のバランスを構成するピースだったりするんだよね。

この本に出合うまで、光浦さんがカレッジに通っているなんて全く知らなかった。カナダに移住なのかお試し生活をしながら、日本と二拠点で暮らしているものだと思っていた。

ところがどっこい。てやんでえそんなもんじゃねえ!

光浦さんは私が東京で疲労している間、ビザの取得やカフェオープンを視野に入れ、カレッジに進んでシェフ養成校に入学し、英語にプラスして料理も学んでいた。

私何も成長してないのに!!!というショックを受けつつ、一気に読んだ。

「1年あれだけ頑張ったのに、私の英語力は日本にいた頃と何も変わっていません」

「1年あれだけ頑張ったのに、私の英語力は日本にいた頃と何も変わっていません」

「ようやくカレッジに行きまして」光浦靖子 文芸春秋 より引用

この一文がぐさぐさっとささり、でもすぐにふっと笑えた。みんな一緒なんだね。ものすごい前に進んでいるのに、忸怩たる思いで一日を終えてしまうあの感じ。いい天気なのに悲しくなってしまうあの気持ち。

異国で、自分がそこにいるためには公的機関への申請が必要な場所で、理由なくそこにたたずむことができない土地で、何かにがんばる姿ってすばらしい。

「柚木沙弥郎 旅の手帖」柚木沙弥郎

私の大好きな大好きな表現者柚木沙弥郎さん。私にとっての柚木さんは芸術家。

著名な染色家で、絵本や切り絵、版画でも名を轟かす柚木さん。

若かりし頃旅したヨーロッパでの2か月を綴り、現地で描いたスケッチも合わせた旅のエッセイ。気になったもの・人のスケッチから風景画、写真まで。とても豪華な、1967年のヨーロッパを映し出すエッセイ。

エジプト、トルコに始まり、ヨーロッパを横断した9か国の記録。エッセイの始まりが「出発」、結びが「帰国」なのもいい。

「明日は、いずこの空の下」上橋菜穂子

「精霊の守り人」で知られる上橋菜穂子さんのエッセイ。

上橋菜穂子さんって文化人類学者なんだよ知ってた?

私は全く知らなかった。作家だと思っていた。他の顔があるなんて全く想像もしなかった。文化人類学者がファンタジーを書くなんて映画の主人公みたい。

上橋さんはアボリジニの研究をしていて、フィールドワークにいそしんだ大学生活だったみたい。研究していたオーストラリアでの体験はもちろん、お母さんとイランの遺跡を巡った観光の話から、ローズマリ・サトクリフの物語に胸をときめかせていた17歳の夏の思い出まで、バラエティに富んだ体験がぎゅっとつまっている。

ローズマリサトクリフについては下記サイトがよくまとまっていてわかりやすい。

「世界の半分」が特に好き。上橋さんの感受性や観察力をびりびりと感じる。

「好きになってしまいました」三浦しをん

日々の暮らしから、旅先の出会い、大切なものを愛でる瞬間まで、タイトルの通りなんだけど同時にとてもおもしろいエッセイ集。

三浦しをんさんを好きになっちゃう、チャーミングで等身大なお話ばかり。

旅先で起きるちょっとしたトラブルに振り回される三浦さんがとってもかわいく、いとおしく、共感度マックスのほっこり爆笑エッセイ。

三浦さんの小説が大好きな人も、まだ読んだことがない人も、一気に三浦さんのファンになっちゃう、杖で魔法を一振りみたいなそんなハッピーな一冊。

「バウルの歌を探しに バングラデシュの喧騒に紛れ込んだ彷徨の記録」川内有緒

ベンガル地方に伝わる「バウル」という吟遊詩人の歌。「魂の歌い手」とも呼ばれるバウルは、何百年もの間、師弟相伝のみで伝統が受け継がれてきたらしい。つまり、楽譜や資料がない。

そのバウルに迫るため、バングラデシュに赴き、12日間の「彷徨」をした著者の体験の記録。

プロローグから始まり、著者とバウルの出会いが綴られる。彼女の体験を追体験しているうちに、気づけば彼女の目線でバングラデシュの旅を体験している。

著者の行動力はとてもまぶしく、旅ってためらっていたら始まらないよなあと改めて感じさせてくれるし、気になるものを探究することの素敵さも生き生きと見せてくれる。こんな風に生きたい。うかうかしていたら、小さくまとまっているうちに人生は終わってしまうから。

著者は川内有緒(かわうちありお)さん。ユネスコ勤務後フリーランスで作家をされているとのこと。バウルとの出会いはユネスコ勤務中で、ユネスコの仕事についても触れられている。

そんな川内さんのnoteがあった。嬉しい。見つけてしまった。

「絵の音」大竹伸朗

絵画、版画、インスタレーションなど様々な手法で表現し続ける現代芸術科の大竹伸郎さん。

世界各地に住み、世界各地で個展を開催した大竹さんが綴る、創作や旅としての彼の人生。

アーティストのエッセイってどんな感じなんだろうと緊張してページをめくると、一つ目のエッセイは中学時代の先生の言葉から始まる。

著者にも中学時代があって、記憶に残る先生や先生の言葉があるんだなあ。当たり前といえば当たり前だけど、現代芸術家だと思うと、特別な生い立ちの特別な人だと構えてしまう。

著者の目を通した新しい土地での体験はレコードでジャズを聴いているような特別感を伴う。ちょっとかっこいい気分に浸りたい時、私はこの本を手に取る。

「旅ドロップ」江國香織

江國香織さんはずばり、永遠のあこがれ。おしゃれできれいで香るよう。姿もまとう雰囲気も美しい、儚くて芯がある女性。

そんな彼女はどんな旅をしているのか?旅で何を感じているのか?

はえー素敵な人はこんな旅をしているのね!そんな学びを得るために読んだ。魅力的な人のエッセイを読めば、私も少しあやかれるかもしれない。少しでも素敵な大人の女性になりたい私の切実な思いとは裏腹に、江國香織さんの筆致はいつでも軽やかでスタイリッシュ。

ーーーーー

今は電子書籍もあるから、かさばることを理由に泣く泣く本を置いていくことは避けられる。一人旅でも、物言わぬ道連れを伴うことができる。そしてその物言わぬ道連れは、ページをめくると雄弁に優しく語りかけてくれる。

いいなと思ったら応援しよう!

あおい 都 旅の資金、特に現地のチップや教会、寺院、学校、歴史的施設や建造物への寄付やドネーションに使わせていただきます。 引き続き読んでいただけたら嬉しいです😌

この記事が参加している募集