見出し画像

75歳以上の医療費、負担が増える?

 みなさんこんにちは。よこちょうです。
 先週は突然現れた?台風によって大雨となりましたが、その後の土日はまた暑さがぶり返し、夏が終わらない感じが続いています。
 皆様体調は如何でしょうか。くれぐれも健康に気を付けてお過ごしいただければと思います。

 さて、前回は障害者雇用について触れてみました。私としてはなかなか触れる機会がなく、社労士の模試で問われるまで全く未知の分野でしたが、調べてみると色々奥が深く、勉強になる事が多かったです。今後多様性が尊重される社会となるうえでも必要となる知識ですので、ぜひ皆様もご一読頂けますと幸いに存じます。

 さて、今回ですが9月4日付日経朝刊トップに掲載されておりました、
「75歳以上、来月から負担増」という記事に目がとまりました。
 後期高齢者医療制度の窓口負担のお話なのですが、これも社労士試験では社会保険一般常識の範疇で理解必須の知識でもあり、ちょっとだけ深掘りしてみたいと思います。ぜひご一読ください。


後期高齢者医療制度の概略

 まず、そもそも「後期高齢者医療制度」って何?ということで、ちょっと概略を。(おそらくかなりの方がご存じかと思いますが。)
 75歳になりますと、それまで加入していた健康保険(おそらくほとんどの方が国民健康保険課と思います)から、強制的にこちらに加入する事になります。(一部、それ以外の方も入りますが、今回は言及しません。)
 実施主体は、各都道府県の後期高齢者医療広域連合になり、保険料徴収などの業務は市町村が行っています。
 保険料は、各被保険者の年金からの天引き(特別徴収)で納付します。
 被保険者の窓口負担は、原則1割ですが、現役並み所得がある方は3割となっておりました。
 現状、対象者は2025年推計で約1850万人いらっしゃいます。(全人口の約15%)

何が、どう変わるのか?

 先に記載しましたが、被保険者の窓口負担は原則1割、現役並み所得がある方が3割でした。ただ、団塊の世代の方が75歳以上となり、医療費の増加が見込まれることから、2022年10月に、1割負担の方の中で一定の所得がある方を2割負担としました。
 現状では、1割負担の方は約80%で、2割負担の方が約20%(約380万人)となっています(3割負担の方はごく少数)。
 2割負担の対象となっておりますのは、住民税の課税所得が28万円以上かつ世帯内の所得が320万円以上(単身の場合は200万円以上)となります。
 この2割負担の方に対し行われておりました配慮措置が9月末で終了となる事から、来月より負担増になります。

例)外来医療費が月5万円の場合、
・2割負担→窓口で10,000円を払う(1割負担の時より5,000円増)
 *) 現状は上限を3,000円とする配慮措置があるため、実際の負担は8,000円
→ この配慮措置が9月末で終了するため、10月以降は10,000円を払う

日本経済新聞 9月4日朝刊記事より引用

 75歳以上の方は、ほぼ全ての方が年1度は外来を受診、さらに約半数は毎月通院している状況であり、この配慮措置により、年平均で8,000円程度負担を抑える効果があると見込まれていました。

後期高齢者医療制度の財政構造

 そもそも論ですが、保険制度ですので、財政がどうなっているのかを知っておく必要があります。現状は以下の通りとなっています。

後期高齢者医療財政(厚生労働省資料より引用)

 見て頂けますと一目瞭然なのですが、公費が半分、支援金が4割、保険料は1割程度となっており、当然ながらいわゆる被保険者の保険料割合は非常に低いのが分かります。

まとめ(今後への課題)

 今回の「負担増」は、財政的な実影響から考えると非常に小さいものと思われます。(もちろん当事者の方にとっては切実なものではありますが)
 この制度は確かに、高齢者の医療費負担を軽減する意味はあると思いますが、今後加速度的に進む少子高齢化を考えると、財源には大きな問題があると思います。

  •  現役世代の負担
    上記の「支援金」は、現役世代が負担する健康保険料などから拠出されており、現状の4割を維持するとなると、少子高齢化が進行すればするほど当然ながら現役世代の負担が重くなる。

  •  公費負担(予算の削減など)
    現状、財源の約5割を占める国および地方自治体からの公費も、財政状況により、安定的な確保が難しくなる可能性がある。

  •  医療費の増加/財源構成の問題
    医療費の増加には歯止めがかかっておらず、かつ高齢化の進行で、現行の財源構成が厳しくなる可能性が高い。

 医療や介護については、どうしても被保険者の立場で見てしまう事が多いですが、一方で医療/介護に従事する方の立場から見ると、充分な報酬を確保できていないうえに、働く環境としても厳しい状況かと思います。

 考えれば考えるほど、高齢者医療や介護は難しく、ハードルが高い課題が突きつけられている現状である事が分かります。今後必要な改革に向けて、問題を注視し続けていきたいと思います。

 いかがでしたでしょうか?
 今回は人事労務とは少々異なる題材ではございましたが、これからも労務や社会保険系の話題を取り上げながら、説明/考察を続けて参りたいと思います。 ぜひ引き続きご一読下さい。

 なお、9月から弊事務所のWebサイトがリニューアルされました。

 ぜひ一度ご覧になってみてください。
 また、人事労務についてお困りの事がありましたら、ぜひこちらからお問い合わせください。

 では、また次回をどうぞお楽しみに!