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【小6社会歴史】「いろいろな人」の授業―共生の重要性を人類史の観点から伝えるー

「子どもの脳が危ない」(PHP新書)という本があります。
著者は犯罪心理学者の福島章氏です。
この中の「《変わり種》の存在の尊重」で福島氏は言います。

 人類が、未来においても起こるであろうと予想される大きな環境変化に対応して生きのびていくためには、われわれの内部に豊かな多様性を持った性格の変異が生じ、それらすべての多彩な性格の人が共生・共存をはかり、明日の変化にそなえることが重要である。

p207

共生の重要性を人類史の観点から論じたものです。

歴史の授業を終えた6年生の子ども達にこの考えを伝えたいと思い、授業をしました。

まず、子ども達に聞きました。

「世の中には、どんな人がいますか」


「全員、起立。一つ思いついた人は座りなさい。座った人はできるだけたくさんノートに書きなさい」

2分後、全員に発表させ、私はそれを板書しました。
子ども達からは32の意見が出ました。
一部を示します。

1.病気の人 2.頭のいい人 
3.やさしい人  4.目の不自由な人 
5.足が不自由な人 6.こわい人 
7.おもしろい人  8.障害のある人 
9.有名な人 10.明るい人 
11.耳が不自由な人 etc

黒板一杯に子ども達の意見が並びました。
黒板を指差しながら、子ども達に言いました。

「これを見て、思ったことをノートに一言書きなさい」


しばらくして、列指名で発表させました。
どの子も、「いろいろな人がいる」というような内容のことを発表しました。

そこで、黒板に「いろいろな人がいる」と書き、子ども達に言いました。

「いろいろな人がいるということは、人類にとって
      A、いいこと
      B、あまりよくないこと
      C、どちらともいえない
    この中のどれだと思いますか」


自分の考えをノートに書くよう指示しました。
子ども達は静かに自分の考えをノートの書いていきました。

約5分後、子ども達を向かい合わせ、自由に発表させました。

予想通り、「C、どちらともいえない」と考えるこの発表が続きました。
「どちらともいえない」と考える子ども達の理由は次のようなものでした。

○やさしい人もいるけれど、こわい人もいるので、どちらともいえない。
○悪い人いることは、人類にとって困ること。よくないこと。いろんな人の中にはそういう人もいるので、どちらともいえない。
○障害のある人はかわいそうである。そういう人がいることは、いいことではない。だからどちらともいえない。

「どちらともいえない」と考える子が5人続いた後、「A、いいこと」と考える子が発表しました。 

その子の理由は次のようなものでした。

○世の中には悪い人もいる。でも、そういう人を見て、私たちはそういうことはしてはいけないと学べるのである。だから、いろいろな人がいることは、いいことである。

授業時間、残り10分になったところで、福島氏の文章を元に次のような話をしました。

「歴史の勉強で学んだように、大昔人類は狩りをして暮らしていました。その後、米を作る時代となり、それから貴族が栄えたり、武士が力をもつ時代になったりしました。今は、ネットの時代だといえます。

 人類はいろいろな時代を生き抜いてきたわけです。それぞれ時代の中で、活躍した人もいたでしょうし、活躍できなかった人もいたでしょう。例えば、狩りの時代には狩りが活躍し、米づくりが得意な人は活躍できなかったでしょう。

 これからどんな時代が来るのか、それは誰も分かりません。武士達は将来、今のようなネットの時代が来ると考えたでしょうか。考えなかったと思います。同じように何百年何千年後どんな時代が来るか誰も分からないのです。

 でも、どんな時代が来てもいろいろな人がいれば人類は大丈夫です。いろいろな人の中で、その時代にあった人が活躍し、他の人を支えるからです。

 そして、私たちの祖先は、いろいろな人を大切にし、共に暮らしてきたのです。今、いろいろな人がいるのがその証拠です。

 人類がこれからも続いていくためには、いろいろな人が必要なのだと先生は思います」


最後に授業の感想を書かせて、授業を終えました。

2人の子どもの感想を紹介します。

 私は、今日のこの授業で一言ではあらわせないことをたくさん学びました。私は、人類がたくさんいることは「良いと思う」って書いたけど、それは、Cの「どちらともいえない」の意見としても出せるようなものでした。だけど、最後に先生のお話を聞いてすごくすごく感動しました。「ほんとに良いことだな」と。この話を聞かなかったら、こんなふうに思わなかったので、本当に人類がたくさんいることはスバラシイことだと思います。ほんとにたっくさんすばらしいことを学びました。あと、私たちの先祖に感謝しました。

 いろんな人がいろんなところで、昔や今を支えてきて、支えていくんだと思った。いろんな人の中に私がいて、家族がいて、友達がいて、その他にもいっぱいいっぱい人がいて、次の世代で活やくするかもしれない人がいて、私もその中にいて。人っていろんな人がいるから、いろんな可能性をひめた人がいるんだなと思った。(もちろん私もその中にいる。)