第5回 内部監査の本質 ~役割・課題と未来像~
はじめに - 発信への想いと前回までのおさらい
こんにちは。REAPRA内部監査チームの滝です。第4回ではREAPRAとIFDを通じて見つけた「共生する内部監査」のマスタリーについてお伝えしました。今回は、「そもそも内部監査って何?」のところから、内部監査の役割・課題・未来像について私の考えを共有させてください。
「監査」と聞くと堅苦しく感じるかもしれませんが、実は組織の「健康診断医」のような存在。なぜ「孤独の戦士」と呼ばれるのか、その背景から紐解いていきたいと思います。
「内部監査って何をするの?」
例え話になりますが、家のお金の管理を家族でするとき、「本当に正しく計算できてる?」「無駄遣いがない?」を定期的に確認することがあると思います。これを客観的にチェックする人が内部監査人です。
会社でのイメージ:
・ルール守れてる?(統制評価): J-SOXで財務報告の信頼性を確保
・無駄がない?(効率化): 業務のムダを指摘
・危ないことはない?(リスク管理): 不正や事故を未然防止
・法律違反してない?(コンプライアンス): 法令遵守を確認
今の内部監査が抱える2つの課題
内部監査は、組織の健全性を守る重要な機能である一方で、現場から「距離を感じる」と言われることも多いです。
私が考える現在の主な課題は、次の2点です。
1. 人間関係の閉鎖性・孤立化
監査部門は、しばしば「批判屋」「上から目線」と思われがちです。原因は、「指摘をすること」が仕事の中心に見えやすく、「支援する姿勢」が伝わりにくいことにあります。
結果として、
・現場との心理的距離が広がる
・監査人自身も「味方がいない」と感じ、孤立化する
といった悪循環が生まれやすい状況です。
本来の目的は「組織の成長支援」であるはずが、
「指摘で終わる監査」になってしまう――ここが第一の壁です。
2. 社内連携の弱さ
内部監査のプロセスや判断基準がブラックボックスになっている企業は少なくないと考えます。「なぜその評価なの?」「誰が決めているの?」といった疑問が現場に残り、結果として不信感を生んでしまうこともあると思います。
この不透明さが原因で、
・現場が「監査を受けるだけの対象」になり、学びや改善が進まない
といった課題につながります。
内部監査は、“対話と共創”を通じて組織全体の成熟度を高める存在になり得る、と私は考えています。
しかし現実には、仕組みや文化の両面でまだ壁が残っています。この2つの課題を乗り越えることが、「価値創造型監査」への第一歩になるのでは、と私は考えます。監査部門が「信頼されるパートナー」として進化するには、支援型コミュニケーションと透明なプロセスづくりが欠かせません。
内部監査の進化:「チェック屋」から「価値創造パートナー」へ
かつての内部監査のイメージは、「ルール違反がないかチェックする人」。でも今、内部監査は大きく変わりつつあると考えます。単に「問題を見つける」だけでなく、「組織の成長を加速させる」価値創造のパートナーとして、経営の隣に立つ役割に進化しています。
そのカギは、内部監査の**3つの役割(3つのA)**の進化です。
3つのA:内部監査の新しい価値の柱
1. アシュアランス(Assure)=「安心を保証する」
会社のガバナンス(ルール)、リスク管理、コントロールがちゃんと機能しているか、客観的に検証し、「本当に大丈夫?」という安心を経営に提供する役割
2. アドバイザリー(Advise)=「賢いアドバイスを提供する」
独立性を保ちつつ、経営や現場に「新たな視点」や「異議」をリアルタイムで提供。「こうした方がうまくいくのでは?」という助言を通じて、意思決定の質を高める
3. 予測(Anticipate)=「未来を先読みする」
内部データ+外部情報(業界動向、規制、ニュース、SNSなど)を分析し、「次に何が起きるか」を予測。経営に「リスク・チャンスの兆し」を洞察として提供する
これらを組み合わせすると、内部監査は次のような変化を起こせるのではないでしょうか。
・チェック → 予防:問題が起きてからではなく、起きる前に防ぐ
・後ろ向き → 前向き:過去のミスを追うのではなく、未来の成長を支える
・コストセンター → 価値創造部門:経営の信頼を得て、組織のレジリエンス(回復力)と成長に寄与する
次回:「共生する内部監査」について
次回は私の目指す「共生する内部監査」について、お伝えしたいです。
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