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揺らぎ・イズ・フェア|劇評・かなり朱い「しょうらいのゆめ・オブ・ザ・デッド」

2025年1月10日(土)18時ラスト回の公演を観ました。
(於 王子スタジオ1)
①「開始前諸注意」以降の時間の感想+②観劇前後の雑感、の構成で書きます。

●諸注意が終わり気づく、空間に流れるBGMはビートルズの「ドライブ・マイ・カー」。
最初の話「VS BIG HAMSTER」は、乗車中の話だったなと思い出す。

最後の行のフォントサイズや文字間、
そしてさらっと「ゾンビ禍」。
センス良すぎるとしか。

曲の途中ボリュームが大きくなり。「ああ始まる」と思う。
この劇はぼくをどこへ連れて行ってくれるんだろう。


●望月先輩(齋藤碧)とフリーター相田(伊藤桃子)が、舞台左のキューブ上物体に座る。
舞台正面右上の壁面に照射される「VS BIG HAMSTER」の黄色い文字。
二人は正面を見据え、虚無い無表情。このビジュアルがCoolで良き!


●望月が運転席、相田が助手席に座り、並んで話している。
二人は大学時代、軽音部?の先輩後輩だった様子。
繰り広げられる不条理会話、そこに不意に、

「先輩がしたいのって、就職じゃなくて、予定詰めてのハシゴですよね」

「千円で買ったハムスターが、ある日具合悪くなって、治療費5万円とかなるんですよ」

「あげる、と、奪われる、の区別をはっきりさせないで、私たちやってきちゃったから…」
(※いずれも聞き書きのため、ニュアンスであり不正確です。以下全て同様)
のようなパンチライン、切れ味鋭い言葉がカットインしてくる。

「この感じを楽しむ劇だな」
と、チューニングが合ってくる。
(「不条理創作では、受け手がチューニングを合わせて面白がってくれるか、これを信じること前提で書いて出しますよね自分もそうだな」、なんて心に浮かんだりする。)


●王子スタジオ1の構内構造、「後方通路を使える」を活かしているのも良かった。
演者が後方に移動し、セリフのみ(観客は容易に振り向けないので)聞こえてくる場面で、場所移動などが立体的に表現されていた。


●(以降、ネタバレ含みます)
先輩と相田はどうも、誰かを殺して、その死体を運んでいるらしい。
途中で、死体なのだろう「ガムテぐるぐる巻きくん」を連れて、謎の女性(ミチコ、金井朱里)が後部座席に乗り込んでくる。
車に戻ってきたふたりは特に異常と感知せず、車を出す。
謎ミチコの説明は特になく、リアルタイム観劇中は「霊界の使い的存在」かなぁと感じていたが、今にして思うと「ミチコ本人」の可能性もある。
もっとも、そもそも「死体」は誰?も、明かされなかったはず。
後半劇の「しょうらいの〜」での死体とつなげて解釈も可能か。


●理解が不正確かもだが、
「Xフォロワー情報に頼って死体を受ける場所を決める」
に痺れた。
というか、現実がもうとっくにそういうフェーズに入っているという意味で、ぼくのようなおじさん世代は「これまでの常識」を揺らがされているし、若い人たちは
「なんか生まれた時から揺れてるよね、足元」
という環境なのかもしれない。なんにせよ、世代関わりなく、共に揺らがされている●●●●●●●●●●
揺らがされているなら、もう、それを楽しむしかないですよね。
”Fair is Foul, and Foul is Fair.”風にいうなら
「まともはおかしい。おかしいはまとも」
という感じに。


●二人はある山の頂で、死体を埋める穴を素手で掘っていくのだが、
「掘ってたら3日ぐらい経っていた」
は相当面白いので、もっと客席にドッカンウケてほしかったし、ウケるためのセリフ回しをさらに練ってもいいのかもです(上からでごめんなさい)。


●巨大化したハムスターと死闘を繰り広げる先輩に相田が駆け寄っていき、前半劇終了。
後半劇、「しょうらいのゆめ・オブ・ザ・デッド」に入る。
某コンビニ風コスチュームの佐々木くん(金井朱里)が、作文を読み上げている。頭にはナイトキャップ(これは物語中のキーアイテムだ)。


●ところで後半劇開始あたりから、この日吹き荒れていた風がさらに強くなってきて、シャッターをガガガンと揺らす。
これが、奇しくもゾンビ襲来のサウンドエフェクトのようになっていて、なんともナイスでした笑


●コンビニ店員の七夕(齋藤碧)が、佐々木くんを鎖でぐるぐると巻く。すると、佐々木くんは動きを止め、座って死んだようになる●●●●●●●●


●コンビニのバックヤードという狭い中に、店員の七夕と村上(伊藤桃子)がいる。
会話によると、佐々木くんは既に死んでいる(ふたりが殺した?)。
店内側では店長が死んでいて、常連客(「ようせいさん」)も死んでいる。ゾンビ化してしまったら、赤バットで殺しに行く必要がある。
村上はノートに「死ぬまでにしたいこと」のリストを書いて持っている。
たぶん、この「夢」が、村上を生かしている。
どれもがもはやかないそうにないよわいあかりとしてもだ。


●佐々木くんが不意に起き出し、ふたり(どちらか/一緒)にナイトキャップをかぶせると、ふたりは夢を見る。
たぶん、その時間があるから、ここまで生きてこられた。

……ここで、ああ、とぼくは思う。
観ているリアルタイムではそう思わなかったけれど、不条理処理しただけだったけれど、
「ぜんぶが佐々木くんの夢/妄想」
という解釈も可能なのか。
殺される間際の佐々木くんの。
あるいは、部屋から出ていない佐々木くんの。


●オチのシーン、「七夕がようせいさんの死体に貼られたチラシを手に取り、読み上げて移動していく」のだが、そのセリフが分かりづらかった。

観客皆もうここまで不条理についてきているので、最後がドッカン不条理でも全然大丈夫。
村上との掛け合いで強調するなど、明朗にしてもよかったかもです。


●前後半二つの劇に橋を架けるのは、巨大化するハムスターの他には
「ぼやっとした夢/悪夢」
のような空気感であり、不条理会話はその構築のために必須だった。


●そのぼやっとした空気感で、明瞭極まりない
「うんこネタ」
が観客に一番ウケてしまうのは、ぼくには複雑だった。
「うんこもゾンビも似たようなもの」(前半劇)

「もうしちゃいました!排泄!」(後半劇)
も、たしかに面白いのだけど。


●演技自体、セリフの発し方と表情で大きな笑いをとっていた伊藤桃子さんの
「曖昧だ!その基準!」
(解説:佐々木くんに「運動部と文化部の恋愛はお勧めしない」言われ、「でも自分運動部だけど!卓球部!」と言ってからの糾弾)
のような笑いの起こる客席、もっと感じたい。
その意味で、
「明快にリアリズム設定」の中で、シュールだったりナンセンスな台詞回しが急に飛び出し可笑しい(頭オカシイ)」
的な内容も、ぜひ観たいです。
(でも演劇素人のわかってない感想なので、あまり気にしないでください!)

●次回作、「してしまった満足(仮)」楽しみです。
観にいきますね。
その時には今回迷って買わなかった劇団名ステッカー、欲しいです。


●今回公演、そしてユニット「かなり朱い」さんのことは、フランブルコさんの以下記事を通して知ることができました。
公演期間中に出してくださって、感謝です!

(おまけ1)
王子スタジオ1に、当日券をゲットしたくて1番乗りな写真

次に待つ方いらっしゃるまでひとり
「ほんとに今日ここで良いんよね?」
と、揺らいでました…笑
そして今にしてみるとこの外観、
すでにゾンビ禍コンビニ感!笑笑

(おまけ2)
上演前、待っている間にかかっている曲はどれも好みで、ビートルズ曲も複数かかる中特に気になった曲が。
最初の印象は、「ジョージ・マイケルの”Monkey”のカヴァーかな?」で、ジェイソン・ムラーズの1st収録曲の感じもあって。
こういうとこで大抵失敗するShazamで、奇跡的に拾えた。

イ・ヨンジ「ADHD(feat.Jambino)」

noterさんで和訳をアップされている記事があったので読んでみたら、ちょっと劇で描かれんとしていることに掠っているような…、気にもなりました。

(おまけ3)
「ゾンビ禍」という言葉が気になり過ぎて、使わせていただき創作書いちゃいました。

#観劇感想
#劇評
#かなり朱い
#しょうらいのゆめオブザデッド

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