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自宅を貸すのは簡単じゃない😭3つの落とし穴を解説|マイホーム借上げ制度

こんにちは。一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事の大垣尚司です。

前回の記事では、住まなくなった家を賃貸に出す、国が保障する制度「マイホーム借り上げ制度」の全体像についてお話ししました。

今回は、以下のようなことをお話しします!

  • 自宅を賃貸に出すと発生する問題

  • マイホーム借り上げ制度がどのように解決しているか

自宅を賃貸に出すとどんな問題がある?

「賃貸に出すことって、制度なんか使わなくてもできるよね?」

そう思われる方も多いと思います。答えは……もちろん、可能です。ただ、実際にやってみると想像以上に大変なことが次から次へと起こります。

私たちがこの制度を始めて今年で20年。様々なケースを見てきましたが、個人で自宅を賃貸に出したときに直面する問題は、大きく分けて3つあります。

1つ目は、法律の壁です。

日本には「借地借家法」という、借りている人を強く守る法律があります。一度貸すと、「返してほしい」と言っても、なかなか返してもらえないんです。

2つ目は、入居者トラブルです。

どんなに大家が気をつけても、トラブルを完璧に避けるのは難しいのが実情です。家賃を払わない、家を汚す、騒音で近所から苦情が来る……。ひどい場合は、修繕に100万円近くかかることもあります。訴訟になっても、結局お金が回収できないことも珍しくありません。

3つ目は、不動産業者が戸建て賃貸を嫌がる、という問題です。

これは意外かもしれませんが、アパートと違って戸建ては効率が悪いんです。手数料も安いし、管理も面倒。積極的に引き受けてくれる業者さんを探すのが、実はとても大変なんです。

今日は、この3つの問題を順番に詳しく解説し、マイホーム借り上げ制度がどのように解決しているのかをお話しします。


【問題①】借地借家法という高いハードル

自宅の賃貸が難しい理由

まず理解しておく必要があるのは、自宅の賃貸とアパート経営は全く違うということです。

アパート経営なら、長く住んでもらいたいので普通の賃貸契約で問題ありません。

しかし自宅の賃貸は違います。海外赴任から帰国する、親の介護が必要になる、病気になる……。様々な事情が突然発生するため、家は「いつでも返してもらえる」必要があるんです。

ただ、もちろん賃貸に出している期間は、「空室を作らず、ずっと借りていて欲しい」というニーズもありますよね。

この両方を満たす仕組みは、日本にはこれまで存在していませんでした

なぜでしょうか?それは「借地借家法」という法律が大きく関係しています。

「家は貸したら取られたと思え」

「借地借家法」が作られたのは、終戦直後。戦争によって家を無くした人々が大家から追い出されることがないよう、借家人の権利を強く保護する法律が作られました。

借地借家法では、賃貸契約で2年が経過し、借りている人が「もう2年貸してください」と更新を請求してきた場合、貸している側はよほどの理由がない限り断れない、ということが定められています。

これを「更新請求権」といいます。昔から「家は貸したら取られたと思え」という格言があるぐらい、借家人の権利は強く守られているのです。

定期借家契約という選択肢、でも…

「これでは、転勤などで短期間だけ家を空ける人が困るのでは?」

そんな意見から生まれたのが、「定期借家」という新しい制度です。簡単にいえば、事前に決めた期限になったら、必ず家を返してもらえる契約形態です。

物件探しをなさった経験のある方は「定期借家契約」という言葉を、物件情報サイトなどで見たことがあるかもしれませんね。

でも、定期借家契約にも大きな落とし穴があります。

借りている人の立場で考えてみてください。たとえば3年で契約が終わるとなったら、いつ頃から次の住まいを探し始めますか?

3年ギリギリまで待つ人はいませんよね。普通は1年くらい前、つまり入居して2年くらい経った頃から「次の家、どうしよう?」と考えはじめるはずです。

そこで次の良い物件がすぐ見つかったらどうなるか。当然、埋まってしまわないうちに早く契約をしたいですよね。すると、契約期間が残っていても早めに契約を解除して引っ越してしまいます。

つまり、3年契約で貸しても、実際には2年程度で空室になってしまうことが多いんです。

空室になれば家賃は入ってきません。また入居者を募集して、内見の対応をして、次の人を探して......これを2年に1回繰り返すことになります。非常に面倒くさいですよね🤔

理想の契約形態とは?

大家にとって一番理想的なのは、こんな契約です。

「私が返してと言うまでは、ずっと借り続けてください。でも私が返してと言ったら、すぐ返してください」

借りる側は長期間住み続ける義務がある。でも貸す側はいつでも解約できる。大家さんにとっては最高に都合が良い契約ですよね。

でもこんな契約、もちろん、現行の法律制度では実現は不可能です🤔

【問題①の解決方法】中間に入って調整する機関を作る

そこで私たち(一般社団法人 移住・住みかえ支援機構・通称JTI)が考えたのが、「借り上げ」という方法です。

これは、JTIが大家さんから家を借りて、それを入居者に又貸し(転貸)する仕組みです。

つまり、大家さんと入居者の間にJTIが入るんですね。こうすることで、両者の契約を別々にコントロールできるようになります。

借り上げの具体的な仕組み

まず、JTIと大家さんの契約について。基本的に、大家さんがお亡くなりになるまで、JTIは借り続けます。

JTIの内部規定には「大家さんから解約の申し出がない限り、JTI側から契約を解約してはいけない」という決まりがあります。

次に、JTIと入居者の契約です。

こちらは基本的に、3年ごとの定期借家契約で運用します。

入居者の募集も契約更新も、すべて私たちが対応します。「引き続き住みたい」という入居者がいれば、再契約して柔軟に対応していきます。

つまり……以下のような契約になっているということ。

  • 大家さん▶︎JTIに「家を返して」と言えばいつでも返してもらえる

  • 入居者▶︎安心して長く住める

JTIが間に入ることで、「長く住んでほしいけど、必要なときは返してほしい」という2つのニーズを同時に実現しているんです。

【問題②】交通事故のような入居者トラブル

「まさかうちに限って」が起こる

2つ目の問題は、入居者トラブルです。

これはもう、交通事故のようなものだと思ってください。必ず起こるというわけではなく、ほとんどのケースは全く問題がありません。でも、万が一トラブルに遭ってしまったら、本当に懲り懲りするような事態が起こります。

実際にどんなトラブルがあるのか、パターン別にご紹介しましょう。

パターン①:家賃を払わない人

1つ目は、家賃を払わない人です。

すごい人になると、入居1ヶ月目から払わない。びっくりしますよね。

昔は、親戚や友達、会社の上司などが連帯保証人になって、本人が払わない時は代わりに払う、という仕組みがありました。でも今は、そういうことがなかなか難しい時代です。そこで現在は、保証会社にお金を払って保証してもらう仕組みになっています。

保証会社が入っていれば、家賃を払わない人がいても一応は保証されます。でも、さすがに1ヶ月目からずっと払わない人の分を、保証会社がずっと払ってくれるわけじゃないんですね。あるところで保証が切れちゃったりします。

そうすると、その後は自分で取り立てに行かないといけない。これはかなりの「しんどい」ポイントです。

パターン②:家をめちゃくちゃにする人

2つ目が、家を汚す人です。

これまで起こったこととしては......

  • 廊下や縁側に穴が空いている

  • 壁紙がバリッと剥がれている

  • 壁一面に落書きがびっしり描いてある

  • ペット禁止の物件で、猫を数十匹飼い、壁が爪研ぎ跡でいっぱい

こういうのを直すと、ひどい場合は100万円近くお金がかかることもあります。

パターン③:騒音トラブル

あとは、身近なところでいうと、騒音トラブルもありますね。夜中に楽器を演奏しているとか。

訴訟しても解決しないことも

こういう人は、最後は訴訟するしかありません。

でも、訴訟を起こそうにも、そもそも訴状が届かない。所在がないとか。あるいは、訴訟に出てこない人もいます。

そうすると、裁判では勝てるんですが……。相手から「訴訟しようが何だろうが、ないものはない」と開き直られてしまうと、もうあとはどうしようもありません。

何年も、10年ぐらいかかって、毎月毎月ちょっとずつ返していけよ、と通達を出すこともあります。でも皆さんが、そういうことを相手と交渉しているところを想像していただきたいんですけども、相当心が重くなりませんか?

【問題②の解決方法】JTIがすべて引き受けます

こういうトラブル対応は、私たちJTIが全て対応します。費用についても、大家さんからいただくことはありません。

  • 入居者から家賃が入ってこなくても、JTIはちゃんと大家さんに家賃をお支払いします。

  • 入居者が家をめちゃくちゃにしても、JTIが原状回復してお返しします。

  • 入居者が居座って出て行かなければ、JTIが弁護士を雇って訴訟をして退去していただきます。費用はすべてJTIが負担します。

20年やってますと、もう大体パターンが見えてきます。「このパターンなら、こういう対応」というふうに対応が取れるのは、組織として対応しているからこそだと感じています。

何よりも大事なのは、JTIに貸したら、中途経過がどうであれ、最後には必ず綺麗になって帰ってくるということです。

ご自身でやられると、どんなに良い不動産屋さんでも、あるところまでしか対応はできません。

でも私たちは、直接の借り主です。だから、どんなトラブルがあろうと、ちゃんと皆さんに綺麗な状態でお返しする。これが私たちの責任です。

こういう「プロとしての責任を最後まで取る」というサービスは、案外ないんです。

これが2個目の問題とその解決策です。

【問題③】不動産業者が戸建て賃貸を嫌がる理由

「うち、戸建ては扱ってないんですよ」

3つ目の問題は、ちょっと意外かもしれません。

実は、不動産屋さんに「うちを貸したいんですけど、やってもらえますか?」と聞くと、難色を示す業者さんも多いんです。

なぜでしょうか? それは、不動産業者のビジネスモデルが大きく関係しています。

売買と賃貸、手数料は20倍違う

まず第一に、売買でもらえる手数料と、賃貸を斡旋してもらえる手数料が桁違いなんです。

売買の場合は、買いたいお客さんから3%、売りたいお客さんからも3%手数料を取ることが一般的です。

例えば3,000万円の家なら、3%は90万円。売り主さんと買い主さんの両方から手数料をもらえたら、合計180万円です。

ところが賃貸の場合は、手数料は家賃1か月分が上限です。

家賃9万5,000円の家に入居者を連れてきたら、不動産屋が手に入れられる手数料は9万5,000円だけ

不動産屋さんからすると、「賃貸=実入りの少ない仕事」と思われがちなんですね💦

アパートなら効率がいい

「じゃあ賃貸で儲けている不動産屋さんはいないのか?」というと、そうではありません。

賃貸で儲けている業者は、アパート一棟を丸ごと管理するんです。

10戸あるアパートを1棟管理すると、入居で入ってくる金額は、9万5,000円×10戸=95万円。これなら、それなりの収入源ですよね。

だから、基本的に不動産業者はアパート中心で賃貸経営を実施するんです。

アパートと戸建て、管理の手間が全然違う

さらに、管理の手間も全然違います。

アパートは非常にシンプルです。というのも、多くのアパートはワンルームか2LDKですよね。

なぜ2LDKかというと、同じ土地の上に建てるなら、1戸だけより、ドーンと大きな建物を建てた方が、結果的に家賃収入がたくさん入ってくるからです。

そして2LDKは狭い。これが実は重要なんです。

例えば、原状回復で「どこを汚しました」と確認する時、写真を撮りますよね。2LDKだったら、撮るところってそんなにたくさんありません。リビング、寝室、もう一部屋、キッチン、お風呂......この辺、この辺、この辺。

でもね、3LDKの戸建てを考えてみてください。

後で「ここ汚したでしょう」「お前ここ壊したでしょう」ってちゃんと言おうと思ったら、何枚ぐらい写真を撮っておかないといけませんか?

各部屋、廊下、階段、庭、縁側、収納......ちょっと考えられないぐらい、色んなところがありそうでしょう。で、大体忘れるんですね😅

そうすると、退去の時にも入居者から、撮影をしていない箇所で「ここは最初から穴が空いていた」なんて言われると……。

結局、オーナー側の泣き寝入りになったりするんです。

「収入にしづらいし、管理が大変」。こういった理由から、不動産屋は戸建ての賃貸に消極的なのです。

【問題③の解決方法】20年かけて全国ネットワークを構築

では、私たちJTIがこの問題をどのように解決したか。

……これは、地道で泥臭い営業活動を続けた、ということに尽きます。自治体や事業者と協定を結び、20年かけて少しずつネットワークを広げていきました。

今では、JTIに来ていただければ、全国どこでもなんとかなる、という体制ができています。

地方の戸建てでも、親身になって入居者を探してくれる業者さんとのネットワークがあるので、安心してお任せいただけるんです。

まとめ:「自分で貸せばいいじゃん」の落とし穴

さて、ここまで3つの問題とその解決策をお話ししてきました。

  • 借地借家法の問題

  • 入居者トラブルの対応問題

  • 戸建て賃貸を扱ってくれる業者がいない問題

これらの課題をすべて解決する仕組みを、私たちは20年かけて作り上げてきました。安心して自宅を資産として活用できる仕組みが作れたのではないかと思っています。


というわけで今日は、ご自身で自宅を賃貸に出そうとすると、どういう苦労があるのかという話から、それをマイホーム借り上げ制度ではどんな風に解決しているか、という話をさせていただきました。

次回もどうぞご期待ください😊

前回の記事はこちら!

運営:一般社団法人 移住・住みかえ支援機構


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