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その企業価値向上の取り組みって、本当にサステナブルですか?~わこさんのワイン片手の経済視点~

(第三十七回)東証のアンケート調査に垣間見える「取り組み疲れ?」

前回はリオハのワイナリー訪問記後編でした

前回は、ロンドンでのDipWSET卒業式の後、リオハのワイナリーを見学した旅行記の後編でした。机上のお勉強だけではなく、現地の雰囲気を知り実際の取り組みを見せてもらい、テイスティングをさせていただいたことが自分にとっては非常にプラスとなりました。改めて、お世話になった皆さんに感謝です。

久々の企業ガバナンスネタで東証のアンケートをご紹介

さて、しばらくワイン方面に話しを振り切ってしまっている間に、俗世ではいろんなことが起きてます。いろいろお話したいことはあるのですが、今回は日本企業の企業価値向上についての取り組みについて興味深いアンケート結果が(一月くらい前になるのですが)出ていたので、そちらを取り上げます。

上場企業には「資本コストや株価を意識した経営」が要請されています

2023年3月に、東京証券取引所(東証)が、上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営」、つまり企業価値を向上させることを意識した経営に取り組んで(≒株価や企業の時価総額を上げて)くださいという要請をしました。それを受けて、多くの企業が様々な取り組みを行いました。わこさんNoteでも、その取り組みをフォローアップする素敵な会議の動きについて取り上げました。

以前も「フォローアップ会議」のお話はしています

この中では、企業価値向上を目指すことについてわこさんなりの整理もしていますし、「なんちゃって資本コスト意識経営」が広がる中でご当局としては珍しく「ダメ事例」を取り上げてプレッシャーを強めている、なんていうことも紹介していますので、こちらも参照していただきたいと思います(無料です)。

要請から2年たって東証がアンケート調査

要請から2年たちました。多くの企業が取り組みを進めている(ように見える)ものの、まだ改善が期待される企業も多いとみられます。そのため、現状把握と今後東証としてどのように改善を後押しをするかの参考とするため、東証はプライム市場およびスタンダード市場への上場企業に対してアンケートを実施しました。今回のカバー画像、挿入したグラフ等はすべて東証の発表資料からのキャプチャです。

https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/nlsgeu000006gevo-att/um3qrc00000160zy.pdf

今後取り組みを進めるうえでの課題などを調査

今回のアンケートでは、それぞれの企業が「資本コストや株価を意識した経営」に向けた①取り組みを開示したかどうか、②取り組み、検討を進めるうえでの課題があるか、③今後東証に期待する施策やサポートなどについて聞いています。キモになるのは②です。②の中にも、組織・体制面、内容、投資家との対話といった項目があります。

理想論ではリーダーシップを発揮した企業価値向上努力

理想論を言えば、「資本コストや株価を意識した経営」をしている企業は、経営トップがリーダーシップを発揮しながら自社が中長期的にあるべき姿(目指す姿)を掲げ、各事業の利益率を把握しつつ全社の利益率をどうやって向上させて資本コスト(借り入れや配当に関連するコスト)を上回る状況にするかという戦略をオープンにして、それを元に投資家と対話を重ねることも含め、企業価値を上げていくための努力を続けているような企業だと思います。

「ネバー・エンディング・ジャーニー」が肚落ちしていない?

アンケート結果を見て、わこさんなりに思うところを並べていきます。もちろん、集計した数字(回答比率)なので、裏側にある各社や各担当者の考えが完全に理解できるわけではないのですが、わこさんとしては、企業経営とはそれぞれが目指す姿に向かって「ネバー・エンディング・ジャーニー」をするものだと思っています。今回の結果を見ると、それが肚落ちしていない企業さん、もしかすると「なんちゃって資本コスト意識経営」から抜け切れていない企業さんがまだいるのかな、というのが率直な感想です。

取り組みが報われないという回答が開示企業の3分の1

まず、「取り組みを進めても株価に反映されず、報われない(問19)」という設問について、取り組みを開示した企業の3分の1が報われないと答えています。ここでの「株価」が、水準なのか動きなのかはわかりません。が、取り組みがマーケット(投資家)にとって十分なのか、説明は十分だったのかによって反応は違うはずです。

「報われないならやらない」ではなく「報われるまでやる」に

自社株買いをしても株価が反応しなかった、ということであれば、もしかすると自社株買いが一過性のもので継続的にROE(株主資本利益率)を上げるものではない、と思われているのかもしれません。あるいは、中期成長戦略を発表してもそれが投資家にとって説得力に欠けているのでPER水準が切り上がらなかった、ということなのかもしれません。そのあたりはきちんと対話できてるのでしょうか?いずれにしても、この結果を見て、「報われないならやらない」と後ろ向きにならず、「報われるまでやる」となってほしいものです。

東証の発表資料のキャプチャです。「せっかく取り組んでも報われない」、と感じるのが「じゃあ取り組みしなくていいや」という言い訳になりませんように

逆に、本当にその取り組みって報われたんですか?

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