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ワインのブランド・ポートフォリオってサステナブルですか?~わこさんのワイン片手の経済視点~

(第二十九回)普及価格帯の供給過剰はコングロマリットの構造変化を後押し

企業のサステナ課題への本気度が試されている?

前回も企業経営に近寄ってしまってお堅い話になってしまいました。でも、本気でやりたいことと、どちらかというと取り繕って格好つけでやっていることの違いって風向きが変わると炙り出されますよね。その意味では、トランプ大統領、企業が本腰を入れてサステナビリティ課題への取り組みをビジネスモデルに取り込んでいるかどうかをチェックするきっかけを与えてくれたようにも思います。企業ごとの差、ここから出てくるんじゃないでしょうか。

今回は供給過剰問題のワインメーカーへの余波のお話です

で、ちょっと体調を崩して間が空いてしまったのですが、今回はワインのほうに寄ったお話をします。これまで、何度となく普及価格帯のワインがグローバルに供給過剰になっているというお話をしてきました。その結果としてボルドーや南東オーストラリア、カリフォルニアなどでブドウの樹を引っこ抜いて生産調整をしている、という話もしました。今回は、この供給過剰を踏まえてワインメーカー、特にコングロマリットと言われるような巨大企業がガタガタやってます、というお話です。

ワイン生産にかかわるビジネス形態の種類はいろいろ

ワイン生産にかかわるビジネス形態にはいくつかの種類があります。WSETのDiplomaの教科書(D2って科目です)には9種類挙げられています。ただ、最近でははっきり区別のできないワイン生産者も増えています。

①    自分でブドウからワインまで作って販売までやる(Estates)
②    ワイン生産ではなくブドウ栽培に特化する(Growers)
③    自社畑でブドウを栽培してワインを作った後、熟成やマーケティングをせずにネゴシアンなどのほかの生産者にワインを売る(Grower-Producers)
④    他のワイン生産者からワインを買い、ブレンドや熟成をしたうえで自分のブランドのワインとして販売する(Merchants、ネゴシアン)
⑤    自社のブドウ畑を所有して自社ワインを生産・販売しながらネゴシアンとして買ったワインをブレンドして自社ブランドとして販売する(Grower-merchants)
⑥    栽培者のグループで組織した協同組合でそれぞれが栽培したブドウを集荷しワインを生産して協同組合のブランドとして販売する(Co-operatives)
⑦    特にカリフォルニアでみられる協同組合モデルの一種で、栽培者が施設を所有せず、必要な時にワイン造りの施設利用料を支払ってワインを作る(Custom Crush Facilities)
⑧    同じく北米でみられるモデルで、ブドウ畑やワイン製造施設を所有せず、ブドウやジュースを購入し、製造施設を借りてワイン造りをして販売する(Virtual Winemakers/Wineries)
⑨    ワインに限らずビールやスピリッツなどの様々な製品の製造から流通まで各段階の子会社を持ってサプライチェーンをコントロールしつつ、シナジーを活かしながら市場へのルートを確保する(Conglomerates)

それぞれに特徴があります

それぞれ詳しく説明すると教科書になっちゃうのでやりませんが、それぞれに特徴、長所、短所があります。

自分で全部やりたいか、やりたくてもできないから何とかするか

ボルドーの「シャトー・なんとか」ってのは、自分の畑でブドウ作ってワイン造りますから①のモデル。ごく小規模の生産者が多かったりして単独ではコストや品質管理、マーケティングが難しいということだと一緒にやるべということで共同組合の⑥(シャブリのシャブリジェンヌなんてのが実例です)。

畑の土地が買えないけどワインは作りたい人向け

カリフォルニアあたりでは、畑の土地が高いわけで、畑は買えないけどワインを作りたい!っていうニーズがあったりするので②のモデルが成立したりします。で、そういったブドウを買ってワインを作って自分の名前で売る人がいるので⑧のようなビジネス形態も成り立ったりするわけです。

効率的に土地利用するんだったら生産設備は共有しようよ、とか

⑥の共同組合に似た形ですが、畑でブドウ作る方がワイン作るより効率的に土地利用できるよね、ってことになると一緒に生産設備持とうという⑦の形が出てきたりもするわけです。ちなみにXのよっちゃんが出しているワイン(Y)は⑧っぽく見えるのですが、マイケル・モンダヴィの畑のブドウを使ってモンダヴィ・ファミリーにワインを造ってもらっている、ということだと①の派生形ということになるんでしょうか。

自社畑ブドウと買いブドウで区別したりも

ブルゴーニュのワインで時々「ドメーヌもの」「ネゴスもの」なんてのを聞いたことがあるかもしれませんが、それは一つの生産者名(例えばDujac (デュジャック))で自社畑で作ったブドウのワインか買いブドウで造ったワインかを区別して売っているためです。まあ、当然自社畑で作ったブドウのワイン(ドメーヌもの)の方が作り手の意図が強く反映されて値段もお高いわけです。これは上の⑤の類型です。

ビジネス形態の境界があいまいになっているケースも

で、DujacのネゴスものにするためにDujacにワインを売る小規模生産者がいるわけですから、③も成り立ちます。ブルゴーニュで有名なLouis Jadot(ルイ・ジャド)はもともといろんな畑でできた③のワインを買っていたので④(Merchantないしネゴシアン)なのですが、自社畑も増やしているので、立ち位置が非常にややこしくなってます。

何らかの形でマーケットの需給環境の影響は受けています

ただし、すべての類型で(当たり前ですが)ワインの需給バランスの影響は受けます。ブルゴーニュのような影響を受けにくい産地はありますが、グローバルにはマーケット環境の影響は受けます。

今回の主役はコングロマリット。Copilotに聞いてみました

で、今回の主役は⑨のコングロマリットなわけです。コングロマリットとか言うと、おどろおどろしく聞こえるかもしれませんが、世界のアルコール市場におけるシェアは小さいです。例によって、Copilotに「ワインのコングロマリットが世界の市場に占めるシェアを教えてください」と聞いてみました。

ワイン業界は非常に分散された市場であり、主要なコングロマリットの市場シェアは比較的小さいです。2023年のデータによると、以下の企業が世界市場でのシェアを占めています:
E. & J. Gallo Winery: 約1.15%でトップ。
Treasury Wine Estates: 0.56%。
Constellation Brands: 0.39%。
Viña Concha y Toro: 0.19%。
Pernod Ricard: 0.12%。
これらの数字からもわかるように、ワイン市場は非常にフラグメンテッドで、多くの中小規模の生産者が存在しています。市場全体の規模は2023年時点で約4,365億ドルとされ、今後も成長が見込まれています。

最後の一文はともかく、これから書く内容の伏線になっているところもあって、ほほう、やるな、と思った次第です。

E&J ガロって日本ではあまり耳慣れませんが

E. & J. Gallo Winery (E&J ガロ)は日本ではあまり耳慣れないですが、アメリカのコングロマリットで沢山のブランドを持ってます。普及価格帯が多いみたいなので供給過剰の影響は受けてると思うのですが、家族経営(上場していない)ので、内情は謎です。

上記のうち3つのコングロマリットのお話をします

今回は、Copilot が挙げてくれた中の2番目と3番目と5番目のコングロマリットについてのお話です。

会社全体の利益を考えてブランドのバランスを考えるのは当然

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