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ワイン講師のわこさん、サステナブルですか?~わこさんのワイン片手の経済視点~

(第三十四回)経済視点:MAGAってマジで本当にサステナブルですか?も考えましょう

前回はOIVデータを使って「がんばれニッポン」

前回は、世界のワイン生産、消費、貿易についてのOIV(International Organisation of Vine and Wine)レポートから、特に貿易量のデータを使ったお話をしました。日本に関しては、円安の影響もみられるわけですが、「ボトル信仰(≒蔵元信仰)」みたいな特徴も感じられました。日本人が大好きなスパークリングワイン(泡)の輸入量、金額(ユーロ建て)が減少している点で、がんばれニッポン!!でした。

今回は無料設定です

さて、今回は大型連休の旅立ち前でドタバタしているので、軽く二つほど。最初に3か月ぶりにワインセミナーをさせていただいたお話。それから最近のトランプ劇場のお話です。軽くなので、今回は無料設定です(チップは大歓迎ですが)。

わこさんのワインセミナー講師、三回目

仙台のワインバー・オーヌマさんでの、WSET Diplomaの先輩、安田まり先生とジョイントでセミナーをさせていただく企画、三回目です。今回のテーマはシャルドネです。ご参加の方々はいろいろです。特にお勉強はされていないけれどワインが好き、という方からWSET Level3のお勉強されている方まで。そういう幅広い方々にブラインドでテイスティングをしていただきながらシャルドネという品種の面白さ、奥深さを知っていただくにはどうするか? 

テーマは「シャルドネ」。作り手の意図が反映されやすい品種

シャルドネは、栽培に適した気候の幅が広くて、冷涼な気候から温和、温暖な気候までよく育ちます。なので世界中で作られています。品種自体には特有の香りとか味といった個性が表れにくくて、その栽培地の気候とかワインメーカーの意図(醸造手法)が反映されやすい品種だと言えます。

2種類×3回のブラインドテイスティングをしていただきます

そうした品種で作られるワインの面白さ、幅の広さを知っていただくためのブラインドテイスティングですが、2種類の比較(フライト、って言ったりします)を3回、合計6種類飲んでいただくことにしています。答え合わせをすれば、わかっていただける差を出すための比較軸を3つ用意する、ということです。

二つの比較軸を「気候の違い」「容器の違い」に

シャルドネの場合は二つは簡単だと思います。一つは気候の違い、もう一つは醸造・熟成時の容器の違いです。つまり、一つ目のフライトは、温暖な気候(チリ)で栽培されたブドウで造ったワインと、冷涼な気候(フランスのシャブリ)で栽培されたブドウで造ったワインです。二つ目は、容器の違い、つまりステンレスタンクを使って酸化を避けながら造ったワインと木樽で(樽の風味をワインの複雑味に取り入れながら)造ったワインです。

事前の意図と違う形になることも

ただ、テイスティングのワインを用意すると、意図しないことも出てきます。それもまた面白いところです。
一つ目のフライトでは、温暖気候の方が日射量も強くて暖かいので、糖度が高くてアルコール度数も高く果実味がしっかり出たフルーティーな味わいのワインができるだろう、というところを狙ってました。ところが、今回のフライトでは、実はシャブリの方がアルコール度数が少し高かったんです。そのあたりで迷わされた方はいらしたみたいです。

早摘みの温暖気候vs冷涼気候の違いが想定外

チリのワイン(コノスルの1000円のシャルドネです)は大量生産なので、おそらく早摘みとかが入っていて、シャブリは丁寧にブドウ果実の熟度糖度が上がるのを待っていた、ということなんでしょう。ただし、冷涼気候だと、ミネラル感(とか濡れた石)と表現するちょっとした苦みを感じる香りや味わいがどうしても残りやすいです。温暖なところだと、果実味で隠されてしまうことが多いのですが。わこさんなりにはここが決め手でした。

二つめのフライトは木樽(新樽)使用の有無

二つ目のフライトは、オーストラリアという国は一緒ですが、一方はステンレスタンクでの熟成、もう一方はオーク樽(新樽40%)での熟成です。木樽、特に新樽は値段高いですから、樽を使った方がワインを作るコスト、それを反映した値段は高くなります。今回もボトルの値段は4倍近く違いました。木樽を使うと、熟成をしている間、樽の木質を通してわずかに入ってくる酸素による酸化熟成が進んだり、木の香りや味わいがワインにわずかに溶けこんだりします。こうした効果によって、ワインに複雑性を与えてくれます。ステンレスタンクですと、こうした効果がありませんから、収穫した時のブドウの果実味がストレートに生かされることになります。

大事なのは、いずれも作り手が意図して作ったスタイルということ

ただ、大事なのは、値段が4倍違ったとしても、どちらのスタイルが良いとか悪いとかいうことはない、ということです。両方とも作り手が意図して作ったスタイルです。クリアな果実味を飲んでほしいと思うか、複雑性を味わってほしいか、です。

樽由来のバニラ香やトーストの印象が決め手に

樽由来のバニラ香とかトーストっぽい印象を取れるかどうかがこのフライトの決め手になります。これに関しては、正解の方が多かったですね。ただ、ステンレスタンクの方は、産地がシドニーの近く、ハンターバレーの隣のセントラルレンジズ、ということを考えたときに、ハンターバレーのセミヨンっぽい印象も感じられました。ハンターバレーのセミヨンは、早摘みで造るのですが、若いころは青っぽい印象が出やすいのに、瓶熟成するとなぜかハチミツのような複雑な味わいが出てくるという面白いワインです。このシャルドネも、同じように瓶熟成したらどうなるのか、やってみたい誘惑にもかられました。

3つ目のフライトはオールドワールド対ニューワールド

3つ目のフライトは、本当はMLF(マロラクティック発酵)をやっているかどうかという発酵過程の人為的要素の違いを感じてもらえるかということなのですが、それだと結構とっつきにくいかな、ということで、OW(オールドワールド、旧世界)対NW(ニューワールド、新世界)という比較軸にしてみました。冷涼気候でMLFしているブルゴーニュ(プイィ・フュイッセ)と、温和気候で寒流や霧の冷却効果があるカリフォルニア(カーネロス)の対比です。

本当のテーマはマロラクティック発酵をしているかどうか

MLFというのは、ブドウ果汁に含まれるリンゴ酸(シャープな酸味)を乳酸(まろやかな酸味)に転換する作用のことです。本当は発酵じゃなくて転換なので、MLCというのが世界の標準なんですが、日本ではMLFが定着しまくっているので業界的には当面MLFで行くらしいです。

かなり難易度の高いテイスティングです

答えがわかっているので、MLFによるヨーグルトっぽい印象は迎えに行けました。わかってなかったら、かなり難易度の高いフライトではあります。OWはプイイ・フュイッセなのでブルゴーニュでも暖かめだし、NWもカーネロスなので、カリフォルニアとはいえ霧などの冷却効果で酸味や風味はかなり引き締まっています。正直、OWとNWの区別をするということ自体の意味がなくなっている印象です。ご参加の皆様、迷われていましたが、なんとなく正解、という方が多くいらっしゃいました。

日差しの強さからくるアルコール度数の高さはごまかせません

ただし、カーネロスの日差しの強さからくるブドウの糖度の高さによるアルコール度数の高さ(14.9%)は隠せません。これは美味しいんですが、きっと飲み疲れしますね。最終的にはこっちが決め手なのかもしれません。

シャルドネの面白さ、奥深さをお伝え出来たかな

この後、シャルドネのワインがこれだけ幅広いスタイルで造られているので、世界中で造られていてもカベルネ・ソーヴィニョンのような供給過剰にならないんじゃないか、といったわこさんなりの考えをご披露させていただいたりしました。シャルドネの面白さや奥深さを少しでもお伝え出来たかな。

まだまだ勉強です

いつも思いますが、改めて整理をすると、自分にとっても相当勉強になりました。大沼さん、安田先生、ご参加の皆様に感謝です。またやらせていただけそうなので、勉強します。

今回のセミナーでテイスティングしていただいたワインたちです。感謝。

ワインネタが続くのはトランプ大統領のせいでもあります

この数回ワイン寄りのネタが続いてまして、飲まない方には申し訳ないです。なかなか企業や経済のサステナビリティ関連のネタが絞り込めない、というのが正直なところです。なにしろトランプ大統領のスタンスが現実問題を前にしてコロコロ変わってますからね。毎朝起きるとトランプ劇場が別の話になってる、って勘弁していただきたいです。

MAGAは自己矛盾の塊に見えます

ただ、以前のNoteでも書きましたが、MAGAで目指そうとしていることって自己矛盾の塊のように見えるので、貿易赤字の解消といった、トランプ大統領が望む結果は得られない可能性が高いです。どこかで優先順位を整理しないとただ物事が混乱しただけ、ということになるでしょう。

後ろ向きな発想でMAGAを整理すると

一方で、MAGAで何かを目指そうとしている、という前向きな話じゃなくて、これまでの流れが嫌だ、という後ろ向きな発想で整理すると、おそらく彼は「自由貿易」と「ステークホルダー資本主義」が今のアメリカをこんなにしちゃったからケシカランということなんですよね。

企業が超過利潤を目指すためにしていることって?

ただ、実際に経済活動を行う企業の立場からしてみると、超過利潤を得るためには、①自由貿易体制を利用して、少しでも安く製品が作れるところで作って少しでも高く売れるところで売るわけですし、②ユーザーの属性に応じた細かいニーズの違いをくみ取る形で新たな製品やサービスを提供したり、③企業全体の生産性を高めるために其々のステークホルダーにとってよりよい企業の体制を作っていく、ことが必要ですよね(②はわこさん的には「自由貿易」と「ステークホルダー資本主義」の両方が関連するとみています)。

「面従腹背」がこれからのキーワードになるかな?

この3点が否定されちゃったら企業はどうやって超過利潤を追求するんでしょうか?現実的には、トランプがゴールポストを動かそうがどうしようが、企業としては(目立たないように)利益の出る形をサステナブルに作っていく、ということでしょう。ということで、おそらく「面従腹背」がここからのキーワードになっていくんじゃないかなと期待してます。このポイントはいずれ深掘りしたいです。

政策の読みにくさが残ると金融市場は安定しません

一方で、金融市場の立場からすると、政策の読みにくさ、不透明感ってのは非常に嫌です。市場が混乱するとトランプ大統領が少し手綱を緩めてくれますが、需要を喚起する、成長を加速するような政策が出てくれるかはわかりません。なので、株価の下振れリスクは抑制されていくけれど…という流れなのかな、と考えています。

次回は一週空きます

と、つらつら書きましたが、次回は大型連休で高跳びをしますのでちょっと間があいたあと、またワインネタになります。



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