泡飲みジャパンってサステナブルですか?~わこさんのワイン片手の経済視点~
(第三十三回)OIVの2024年版ワインレポートが面白いんです(日経新聞、ちゃんとしよう)
前回はカヴァが「安物」からの脱却を目指そうとしているお話
前回は、スペインを代表するスパークリングワイン、カヴァ(CAVA)が旱魃の影響で生産量が減っているなか、プレミアム化を進めて「安物」からの脱却を目指している、というお話をしました。プレミアム化したカヴァ、美味しいのは間違いないだろうけど、価格帯も含めてどこをターゲットにするんだろう?というのは前回の原稿をリリースしてから改めて思いました。ライバルはプロセッコ?フランチャコルタ?低めの価格帯のシャンパーニュ?そこまで量が確保できないんだったら結局ニッチ商品?この辺はまた考えてみましょう。
今回は、WSETDiplomaとしては食いつかないと
さて、今回はまたワインネタになっちゃいます。本当は、こっそり4/14(月)にラジオNIKKEIに出たお話とかでも良いんですが、WSET Diplomaホルダーであれば、これに食いつかないと感度低すぎだろう、というネタが出てきちゃったんでそっちでいきます。
OIVの新レポートが出ました!!
わこさんNoteでデータの出典として頻出しているOIV(International Organisation of Vine and Wine)が、毎年4月に世界のワイン生産や消費、貿易についてのレポートを発表します。今年も4月15日に発表されました。今回のトップ画像はこのレポートの表紙の一部です。
ワインオタクにとってのネタの宝庫
ここにはいろんなネタが満載です。世界の生産量が下がっているなんてのは、このNoteでも異常気象の問題と絡めつつ、過剰供給に対して生産調整が行われているというお話はしてますし、消費量が低下しているというのもここのデータを使ってライフスタイルや社会的なアルコールに対する見方の変化と絡めてお話してます。
今回は製品タイプごとの貿易量にフォーカスしてみたいです
今回は、去年触らなかったプロダクトタイプごとの貿易量、ってところにフォーカスします。WSETDiplomaの試験でいうと、D2(ワインビジネス)、D3(世界のワイン)、D4(スパークリングワイン)にすべて絡んでくるお話です。世界のワイン産業の現状を俯瞰してみましょう。
一応、世界のトレンドの復習。生産も消費も落ち込み続く
その前に、簡単に世界の生産量、消費量についてのヘッドラインをまとめておきます。2024年の世界のワイン生産量は、推定225.8mhL(百万ヘクトリットル)で前年比4.8%減となりました。2年連続の大幅減少で、1961年以来の低水準になります。霜の害や大雨、旱魃といった異常気象の影響や市場調整(ブドウの樹引っこ抜き)の影響も当然指摘されています。

イタリアが世界一奪還!!
国別生産量の順位としては、前年の大雨の影響で落ち込んでいたイタリアが前年から回復(前年比+15.1%)、2024年に霜の害などで大幅に落ち込んだフランス(前年比-23.5%)から世界第一位の座を奪い返しました。
日経新聞の視点がズレてる
日経新聞さま、このOIVレポートを記事にしています(世界でワイン離れ進む 生産・消費、63年ぶり低水準 - 日本経済新聞)。この記事では最大の生産国イタリアの生産がひょうの影響を受けた、とだけ書いてあります。データをちゃんと見てたら書くべきところはそこじゃないはずなんですが。
ワインは世界の縮図ですよ。わかってます?
確かにOIVレポートにはそう書いてありますが、多分、国別コメントで最初に出てきたイタリアのパラグラフしか読んでないんです。前年何があったかの背景も含めて順位変動が起きた、ってことが重要でしょう?そのデータ感度が残念です。「ワイン離れ」なんて単純な話でもないし。自分がレポートの査読者だったら瞬殺ゴミ箱です。
あと、やりだすときりがないのですが、5年位前には生産量トップ10に入っていた中国は今年15位まで後退しています。
日本の消費量も落ちてます。がんばれニッポン!!
一方、2024年の世界のワイン消費量は、214.2mhLで前年比3.3%減と推定されていますこちらも3年連続の減少で、1961年以来の低水準ということです。国別順位では、トップ10は変わりませんが、消費量10位の中国は前年比19.3%減、16位の日本は前年比4.4%減です。がんばれニッポン!!

中国は本当に縮小トレンド。習近平さま、お情けを…
中国の生産量と消費量の落ち込みは、以前もどこかで書きましたが、やっぱり腐敗撲滅政策の影響なんでしょうね。おめでたい色である「赤」のワインをお祝いの席で飲んだり、贈答用品として使ったりということができなくなっちゃった、という流れが続いているんでしょう。せっかくボルドーのシャトーとかと一緒にワイナリー投資して、高クオリティのワインが生産できるようになりました!!という状況になったんですが。このままいくと、そのうちWSETのD3(世界のワイン)テキストから消えるかもしれません。
ワインを消費者のもとに届けるためにどうするか
さて、ここからワイン産業を考えるうえでとっても大切なディストリビューションと関連したお話です。ワインを生産地から消費者の手元に届けるには、運搬しなきゃいけません。もちろん、プレミアムなワインはドメーヌ(蔵元)ボトル詰めで、ガラスの重たいボトルで運ばれます。燃料食って地球温暖化を促進する一方で、運賃もかかります。ちなみに、スパークリングワインは、溶け込んでいる泡の気圧に耐えなきゃいけないのでボトルはもう少し重くなります。
運賃と炭素排出を抑えましょう。だったらタンクで輸送
パーティー用のがぶ飲みワインでそんな事したら、地球の裏側から日本に届くまでに運賃分値段が上がっちゃって大変です。じゃあ、どうするか?タンクです。デッカイ冷蔵タンクに大量のワインを詰め込んでお船でとかトラックで運んでくれば、ボトルのガラス代の分の運賃が節約できます。それを工場でボトル詰めしてその国内に売る、ということをやります。
なので、日本で都道府県別のワインの生産量っていう統計をみたりすると、神奈川県がトップだったりするわけです。
バッグinボックスも一つの手段
あるいは、バッグinボックス(BiB)という、ワインをビニール袋に入れて、それを注ぎ口をつけた箱に入れて出荷する、なんていう売り方も、パーティーとかグラス売りしかやらない飲み屋さんにしてみればとっても効率的なわけです。ガラスのボトルより軽いし扱いやすいし。ね、こうやって皆さんワインをお手頃価格で美味しく飲んでもらいたい、と工夫してるんです。
で、今回はこの4種類の製品タイプごとの貿易量と貿易金額の数字についていろいろやってみたいと思う訳です。
2024年の世界のワイン貿易は量も金額も微減
さてさて、2024年の世界のワイン貿易です。量も金額も微減です。生産量、消費量とも世界的に減っている中では、他の国のワインが飲みたい!!って需要がそれなりにある、ってことでしょう。アメリカとか、形式的には日本もそうですね。

ボトル詰めの貿易が一番多い
どんな製品タイプとして貿易されるか、を見ると、一番多いのはボトル。量で半分、金額で3分の2になります。ボトルは単価が高いものが多いでしょうから、量のウェイトより金額のウェイトが高くなりやすいということでしょう。そうした考え方でいくと、量で1割金額で2割強、っていうスパークリングワインはもっと平均単価高い、ってことです。
バルクの貿易は低単価のワイン。ここが伸びてる!!
それに比べてバルク(タンクです)は量で3分の1、金額で7%です。それだけ低単価のワインになるわけですが、BiBと合わせて世界のワインの貿易量の4割はボトルじゃない!!ってことです。しかも2024年の前年比を見ると、量も金額もプラスなのはバルクです。世界の皆さんお手頃価格のワインに手を伸ばしてるのかな?という印象もありますが、いかがでしょう?あるいは、できるだけ安くお手頃ワインを売りたい、っていうワイン業者のマーケティング戦略かもしれません。

このデータで火が付くのはマトモではないと自覚してます
そして主要輸出国別、主要輸入国別の製品タイプごとのデータも発表されてます。わこさん的にはこんなデータ出されたらワクワクしてきて、国ごとの輸出入のプロダクトミックス見ながら勝手な市場構造の妄想を膨らませたりするわけです。ある意味マトモじゃ無いことは十分に自覚してます。ちなみに、国別のコメントはOIVのレポートに出てますので、ちゃんと知りたい人は(日経新聞じゃなくて)原典を見てください。
OIVのレポートからデータを再構成してみました
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