【検証】国鉄型電車の私鉄譲渡例はどれほど存在するのか?
103系や485系など、101系から始まった国鉄の新性能電車たち。その多くは現在その役目を終え、引退した形式もいますが、中には地方私鉄へと渡り、その余生を全うする車両もいます。今回は101系以降の国鉄新性能電車に絞って、どれくらいの車両が私鉄へ渡ったのか検証していきます。
検証するにあたって、以下の条件を設けます。
①:101系より先の新性能電車に限定する(それ以前の旧型国電は除外する)
②:通勤・近郊型、急行型の順で紹介し、事業用車は省く
③:急行型や特急型からの格下げ改造車は、国鉄、JR所属時に形式の変更がない限りは急行型、特急型として扱う(譲渡時に改造されたものは通勤型、近郊型として扱う)
④:JR時代に設計された車両(例:209系、E233系など)は含まない
⑤:国鉄時代からJR時代に跨いで製造された場合は、大幅な変更を加えられていない車両のみ紹介する(例として、211系5000番台(⇒三岐鉄道5000系)は取り上げない)
⑥:旅客営業用のみ認める(試験車両や部品取り車などは今回取り上げない)
⑦:私鉄への貸出は含まない
⑧:部品のみの場合はきりが無いので取り上げない
⑨:国内での譲渡例のみ取り上げる
⑩:JR間での譲渡は取り上げない
⑪:ディーゼルカー(気動車)は取り上げない
それでは検証していきましょう!
通勤・近郊型車両
普段の通勤通学でお世話になる方も多いであろう通勤車両。ラッシュ時の収容用の多さや性能などを買われ、地方で余生を過ごす例も多いようです。
秩父鉄道1000系(元101系)

3両編成12本が譲渡され、1986年から営業運転を開始しました。譲渡はJR化後の1989年まで続き、1994年からは先頭車両のみ冷房化が行われます。2007年からは鉄道博物館への101系展示に合わせて4編成にカナリアイエローやオレンジバーミリオン、スカイブルーなど、国鉄時代の塗装の復刻が行われ、2009年には秩父鉄道創立110周年を記念し、旧型車両を模した塗装が行われ、その後は1000系導入時の塗装の復刻も行われます。しかし50年以上使用された結果老朽化が進行し、2014年のラストランをもって引退。全車が廃車解体されています。
補足ですが、1000系の中でもデハ1006号車(元クモハ100-1013号車)とデハ1106号車(元モハ101-1013号車)は1959年製造と最も古く、モハ90時代に製造された車両でもあります。
伊豆急行200系(元113系、115系)

3両編成の115系0、800、300番台9本と、4両編成の113系1000'番台2本が譲渡され、2000年より運用を開始します。これは同社に所属していた100系の置き換えと8000系導入までのつなぎとしての役割が大きく、実際に8000系が導入されると元113系車は真っ先に廃車されました。元115系車も0、800番台と115系初期車が多かったことから廃車が進行し、2008年に最後まで残った元300番台車が引退し廃車されました。全車両解体されており、現存しません。
しなの鉄道115系(元115系)

現在も活躍している車両が登場です。しなの鉄道115系は、北陸新幹線開業時に旧信越本線の一部を三セク化したしなの鉄道へ譲渡された車両で、当所は3両編成11本が、その後の同社169系置き換え用と北陸新幹線延伸で2両編成7本、3両編成5本が追加で譲渡されました。譲渡されたのはいずれもJR東日本所属の1000番台で、譲渡に合わせてワンマン運転対応改造などが施されています。一部はパンタグラフの交換も行われました。その後は国鉄時代やJR時代の復刻塗装に加え、2014年には観光列車「ろくもん」に改造された車両も登場し、バリエーション豊になっていきます。しかし2020年からは新型車両SR1系が導入され、老朽化が進行していた115系は廃車が進められ、現在は3両編成6本のみが細々と活躍しています。115系は2028年までに置き換えられる予定で、今回のダイヤ改正でも2編成が引退する予定です。
えちぜん鉄道MC7000形(元119系)

こちらも現在進行系で活躍している形式で、2012年から2両編成6本が大阪車両工場で大改造を受け、2013年から運行を開始しています。改造に当たってはトイレの撤去や前面の形状変更、パンタグラフの増設が行われましたが、一番目を引くのは床下機器で、従来の抵抗制御方式からVVVFインバーター制御方式に変更されており、全く古さを感じさせません。現在は落石被害にあった1編成を除く編成が活躍していて、落石と衝突した編成も修繕が行われているようです。
富士急行6000系(元205系)

大月駅から河口湖駅を結ぶ富士急行線で活躍している6000系は、3両編成8本(もう1本は事業用車化するので取り上げない)が所属しており、いずれもJR東日本からの譲渡車両となります。譲渡時の改造で先頭車化やパンタグラフ増設、内装の交換などが行われ、2012年から運用を開始しています。現在では富士急行線の主力車両です。
〜休憩ライン〜
目を休めましょう
🥤(=ω=`)
急行型車両
かつて全国を走り抜けた電車急行。ですが現在も活躍する車両がいます。
あいの風とやま鉄道413系(元413系)

えちごトキめき鉄道413系、455系(元413系、455系)

北陸新幹線開業に伴い発足した第三セクター鉄道で、あいの風とやま鉄道には2015年に3両編成5本、えちごトキめき鉄道には2021年に3両編成と予備車1両が譲渡されています。あいの風とやま鉄道では置き換えがすすでおり、観光列車に改造された「とやま絵巻」と「一万三千尺物語」のみが現役ですが、えちごトキめき鉄道では国鉄急行色に復刻され、予備車1両を除いた編成が現在も観光急行や快速、普通列車などで現役です。そして来年からは青色と白色の北陸色への塗装変更が行われる予定で、これに合わせ様々なイベントが行われる予定です。
阿武隈急行線A417系(元417系)

A417系は2008年にJR東日本から阿武隈急行に譲渡された元417系で、3両編成1本が譲渡されました。この際に譲渡されたのは417系のトップナンバー編成です。譲渡に際しては郡山総合車両センターで編成の方向転換や塗装変更を行い、同年より平日朝夕限定で運行を開始しました。しかし2016年のダイヤ改正で引退することとなり、同年5月のさよなら運転を持って運行を終了しました。運行終了後、保管されていたAT418号車(元クハ416-1号車)が国鉄時代の塗装に復刻され、2018年に公開されました。その後廃車搬出されており現存しません。
富士急行2000系(元165系)

2001年に3両編成2本が譲渡JR東日本より譲渡され、「フジサン特急」としてデビューしました。元は国鉄末期に普通の165系から改造されたジョイフルトレインで、先頭の前面展望など、元国鉄急行型車両とは思えないほどの改造が行われています。国鉄時代末期にはテレビ番組企画「さよなら国鉄スペシャル」で団体専用列車として運転されたこともあります。富士急行では従来の塗装から一変、富士山のイラストが描かれた車体となっています。その後小田急20000形RSEとJR東海371系に置き換えられることとなり、最終的に2016年にラストランを迎えました。現在では展望車のクロ2001号車(元クロ165-3号車)が下吉田駅で、かつて部品取りだった車両とともに保存されています。
秩父鉄道3000系(元165系)

1992年に3両編成3本が導入され、前面や車内などに大幅な改造が加えられました。同年より急行「秩父路」で運用された他、季節ごとの臨時列車などでも使用されました。しかし元が165系の初期車だったということもあり老朽化が深刻で、2006年より6000系(元西武101系)に置き換えられる形で引退しました。
余談ではありますが先述した1000系も6000系も、譲渡元は違えど元の形式は101系。何かの縁があったんでしょうか?
しなの鉄道169系(元169系)

先述したしなの鉄道115系と同時に譲渡された車両で、3両編成4本が譲渡されました。譲渡に合わせて車内の改造が行われ、クロスシートが搭載されました。塗装は当所新長野色でしたが、しなの鉄道色に塗り替えられ、その後湘南色への復刻塗装なども行われました。主に快速列車「しなのサンライズ」「しなのサンセット」や普通列車で運用されますが、快速列車は長野総合車両センターの189系に置き換えられ、普通列車などでの活躍を余儀なくされます。その後2012年より115系で置き換えられることとなり、2013年にラストランを迎えました。現在はS51編成(国鉄時代から169系トップナンバー)が坂城駅で保存されており、現在は前照灯を大型のもへ復元するなど、国鉄時代に近い様式となっています。
いかがだったでしょうか?現在でも活躍する形式もいれば、短命に終わってしまった形式もいましたね。しなの鉄道115系のように改造が最小限のものあれば、秩父鉄道3000系やえちぜん鉄道MC7000形のように原型が無いような車両もいて、なかなか興味深いなと感じました。この中には置き換えが進んでいる形式もいます。この年末年始に見に行かれたいかがでしょうか?(勿論、法やルールは守ってくださいね)。
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