一日だけの花
私は植物が好きです。
特に、芽吹いていく季節が好きで、小さな芽や双葉が少しずつ大きくなっていく、その成長を見ているのがとても楽しいんです。
可愛いな、と思いながら見てしまいます。
新緑の季節は特に好きで、紅葉もアオハダも、それぞれに違う良さがありますが、この時期はやはり特別に感じます。
そんな中で、庭のシャラの木を見ていたとき、ふと子どもの頃の記憶が蘇りました。
木に花を描いて遊んでいたこと、何も知らないまま、その木に夢中になっていた時間です。
新聞の広告の裏側の白い紙に、よく絵を描いていました。
チューリップやひまわりなど、花そのものを描くことも好きでしたが、それと同じくらい好きだったのが、木を描いて、その枝や葉の中に花が広がっていくように描くことでした。
地面から花が咲くような絵も描いていましたが、それとは少し違って、木の中いっぱいに花が咲いていくような、想像の中の景色を描くのが好きでした。
それがなぜかとても嬉しくて、楽しかったのだと思います。いろいろと想像することが好きな子供でした。
そして不思議なことに、その頃私が描いていた木は、今思えばシャラの木によく似ていました。
木の形も、葉の間に咲く白い花も、まるで同じ景色を描いていたかのようです。
当時はシャラの木という名前すら知りませんでした。
それなのに何十年もたった今、その木を見上げながら「私はずっと前からこの花を描いていたのかもしれない」と思い、少し驚きました。
私の子供時代は決して落ち着いた家庭環境ではありませんでした。
それでも不思議なことに、シャラの木を見て思い出したのは、辛さではなく、遊んでいた自分でした。
ちゃんと「楽しんでいた時間」が確かにあったのだと思います。
以前の私なら思い出そうとしても、苦しい記憶の方が先に出てきていたと思います。
でも今は、「楽しい時間もあったんだな」と自然に思えるようになっていました。
それが、少し嬉しかったんです。
そして今、シャラの花は一日で落ちてしまいます。
儚いけれど、そのぶん毎日がとても愛おしい存在です。
正直、掃除はなかなか大変です。
それでも毎日「可愛いね」と声をかけながら片付けています。
この六月だけの、短いあいだの小さなギフトのような時間です。
でも終わっちゃうんですよね。
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ご縁のある方とお話しできることを楽しみにしています。
