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第86回応用物理学会秋季学術講演会@名古屋に現地参加してみた話

こんにちは、じゅんです。
Hokkaido MotionControl Network (#DoMCN)というHoloLens・VR技術好きの技術者コミュニティの勉強会を運営していて、開発者の知見の交流を促進しています。また、元・物性研究者として、研究機関に所属する若手研究者でxRに興味を持つ人を見つけてはHoloLensを被せに行き、開発者コミュニティへの橋渡しを行う事を続けています。これらを適切に表現する職名が無いので、勝手にScientist/Developer Relations と名乗っていました。2024年はCommunity Relationsと言いながら活動し、今年2月くらいにInterCommunity Communications for Tech/Science (#InCommComm)という職名を思いつきました。コミュニティ間越境を伴う交流を最大化するための活動をしています。

 私の所属学会の一つ、応用物理学会の秋の全国大会が9月7~10日の期間開催されました。今回は愛知県名古屋市の名城大学 天白キャンパスで行われ、現地開催とオンライン配信のハイブリッドという体制でした。運営・参加者の皆さんお疲れ様でした。参加レポートを例年通り備忘録的に残しておこうと思います。この活動報告記事はこの記事と後編の二部構成です(長いから)。

 12日に大阪から帰還しており、特に体調不良も無く過ごしております。後編リンク↓

過去の参加記事


オフライン会場の様子

 名城大学天白キャンパスの複数の講義棟、体育館などを使って行われました。
 体育館の2階スペースが企業展示・ポスターセッション会場になっていました。スペースの大部分の各企業の展示ブースが設置され、スペースの外周の3分の1程の壁面に沿う形でポスター発表用のスペースが設けられていました。2時間のポスターセッションが次々と行われ、発表者は割り当てられた時間にポスターを貼って対応した後、剥がして次のセッションの人に引き渡していました。
 北側の講義棟1階にも企業展示スペースがあり、ちょっとかさばりそうな製品などと学会誘致のための地方出展ブースが集中していました。
 そういえば昨年の新潟会場ではご当地グルメを食べられるゾーンがありましたが今回は見当たりませんでした。

オンライン会場の様子

 今大会もハイブリッド開催は維持され、zoomの配信視聴が可能でした。今年も学生の早期申し込みに限り、オンライン視聴のみのチケットが無料でした。分野に興味ある学生さんにとっては非常に良いシステムだと思います。

 私も午前~午後くらいのセッションをホテルからオンラインで見ていました。

無くなったもの・復活したもの

 今回、名古屋市内の気温が暑すぎて(日中36℃とか)会場内を回りきることができず、全体のレイアウトがあんまり分からない状況ではありますが、体育館の2階の展示会場においてはコーヒー配布スペースが無かったと思います。議論用の机もなく、ブース密度ギッチギチな感じでした。一方で北の講義棟での展示会場は比較的ゆったりしており、自習スペースも使えたため、そこでPC仕事をしていた方も結構いました。
 また、毎回の学会期間中に会場の様子などを広くアナウンスしていた応物講演会アカウント(@JSAPMeeting)の期間中の発信が無くなり、その代わりなのか応用物理学会公式(@JSAP_official)が縦長ショート動画をメインにした告知を頻繁に流していました。SNSの運用方針が少し変わったように見受けられます。
 あと近年の秋学会は5日間あったと記憶していますが、2020年のオンライン開催の時ぶりに4日間になっていました。

 VR系の企画は無くなったままで、深く探さないと関係者が見つからない状況でしたので、今後も分野として復活することはなさそうに思います。

4日間の過ごし方

 名城大学から徒歩圏で泊まれるホテルが無かったため、名城大の最寄り駅を通る地下鉄鶴舞線の沿線で宿を探し、伏見駅からの移動で毎日通いました。片道30分くらいかかりました。満員電車の時間帯を避けるためにちょっとずつピーク時間からずらして乗車していました。
 期間中暑すぎて動けない日もあり、そんな日はオンライン聴講にして動ける時間になるまで待ったりもしていました。

文化を乱さない参加方法

 応物学会の参加者の傾向に倣い、服も比較的真面目なものを用意して様子を見ていました(悪目立ちして出禁にはなりたくない)。
 会場内のルールは確認し、他の参加者・運営に迷惑をかけない態度で過ごしていました。撮影禁止ゾーンが結構あるのでそこは避けつつ、撮影・SNSしたいものは展示者に直接可否を確認して撮らせてもらいました。
 去年の事を憶えてくれてる方が居るかもしれなかったのでHoloLens2を首掛けした状態(電源はOFF)で歩き回っていました。前々回はキャリーケースを連れまわしていましたが、今回は会場が坂道の上にあり、とても消耗するのでリュックだけになりました。
 参加票にくっつける用の状態表示タグは今回すぐ見つけられなかったのですが、3日目に行った北棟に何種類かありました。

成果(足跡?)

初日(7日)

 初日は会場への行き方を確認するために夕方近くに会場に行きました。想定外に坂道が急で、坂を上り切ったところにある大学キャンパスに着いた段階で汗でびしょびしょになりました。受付で名札カードホルダーを受け取って体育館の展示会場に向かい、ぐるっと一周した段階で初日が終わりました。

富士通ブースでQuest3発見

 予想外の発見で、展示の中で1件だけ、研究紹介をVRデモしている富士通さんを見つけました。電池の材料に関する原子位置変化のシミュレーションを行い、ムービー的な3Dオブジェクトとして出力したものをnanomeというプラットフォームで利用する事で、現実の視界に大きくムービーを重畳するというものでした。

2日目(8日)

 2日目はお昼に教育領域のポスター&展示セッション発表が始まりました。今回の訪問のほぼ唯一の目的であった、こちらのセッションで最近のICT機器活用について教えてもらいました。
 夕方は教育領域の口頭発表セッションに移動して、いくつかの事例を聴いて終わりました。

教育セッションのポスター発表会場にて北見工大グループのMR活用事例を聴講

 北見工大グループは山崎さん・酒井先生がMRのデモを設置して、初等教育での活用について発表していました。デモが始まるとミニチュア模型で建物を建てるフェーズが始まります。壁の部品からインテリアまで一通りそろっていて、ハンドトラッキング機能をつかっての掴み操作で適当に積み木をします。色の変更なども自由にできて、建築が終わったら視界の方にあるボタンを押して、ミニチュアを巨大化します(重力ON、サイズ10倍)。建てた構造物に自分が入り込む感覚が得られ、想像力が鍛えられる感じがあります。


3日目(9日)

 3日目の午前は、MICEセッションというあまり聞きなれない領域でのシンポジウムが行われました。大規模カンファレンス・展示会に対応する建物のインフラをMICEと呼んでいるそうです(Meeting、Incentive travel/tour、Convention、Exhibition)。
 XR Kaigi Hubでもおなじみのハシラスさんがこの領域で講演することを聞きつけ、現地で聞こうと思っていたものの寝坊したのでオンライン聴講になり、SNS投稿OKが安藤さん本人からアナウンスされたので実況に切り替えました。講演が終わった後に会場に向かい、コンテンツ体験に混ざりに行きました。この日は色々イベントもあり、キャリア相談会イベントも開かれていたので、そちらも寄りつつ、2日目まで存在に気づいていなかった北部棟での展示も見たりして過ごしました。

現地会場へ。

中央棟2階でのGATZUNT XR体験会場にてディスカッション
 中央棟では休憩用のスペースを利用してのXR体験会が行われていました。
安藤さんとはXR Kaigi Hub会場では名古屋・札幌と顔を合わせていたもののほとんどお話できていなかったので、この機会を使って長くお話させて頂きました。コンテンツ制作について色々お聞かせいただきありがとうございました。

移動して北部棟で1年ぶりのTegaraさんに挨拶。

4日目(10日)

 最終日は初日にお話した方々と改めて挨拶しに体育館に向かい、昼で展示会場が撤収作業になったため、早めに自分も会場を出ました。
 大阪行きの新幹線の混雑を避けるために名古屋駅に直行し、みどりの窓口でチケットを購入して新大阪に移動しました(出張記事後編参照)。


アカデミック→XR界隈への橋渡し

①応物VR→めちゃバース
 
かつて応物学会でのVRポスターセッションを企画し、現在は半導体グリーンファブ研究のリーダーをされている秋永先生に今回のハシラスさんの講演について事前共有をしておきました。私はオンライン聴講したので現場には行けなかったのですが、安藤さんいわく秋永先生とは繋がれたとの事でした。

②教育XR→XR Kaigi Hub in 大阪
 ポスターセッション会場で北見工大グループとディスカッションしていた際に、XR Kaigi Hub in 札幌にお誘いできなかった事をごめんなさいした後、XR Kaigi Hub in 大阪(9/11,12)もあるという話をしました。
 グループは翌週の大阪での日本VR学会での講演も予定していたらしく、移動後の空きの日が丁度あるとの事で、急遽参加することに決まっていました。NICT神戸のグループとお繋ぎしたかったので、出展内容を共有してありました。「活用成果の出しどころが無い問題」は応物でも再燃すると考えられますので、場外で繋がる縁から活路を開いてほしいと思っています。


就活(?)場所としての学会

 今年度の学会会場はいつもより多くのキャリア相談の機会があったように感じました。展示会場では企業展示の他、キャリア相談展示が常設で数ブースあった他、9日の企画では中央棟でのキャリア相談会が実施されていました。また、ランチョンセミナーにも求人セッションが設けられて学生・若手の民間就職の機会が示されていました。
 私はアカリクさんのブースにお邪魔して研究インターンシップの制度の概要についてお話を聴いてきました。企業側の研究プロジェクトに数か月入ってもらって民間企業での仕事の仕方も身につけられる仕組みのようです。

 学会の場に研究以外の要素が混じり込んでくる事に関してシニアの一定層からは賛否両論ありそうな感じがしますが、私は賛成・応援の立場をとっています。学生のアカデミア内でのキャリア形成が大学運営的に難しいのであればそれを隠すべきではないし、自身の進路の可能性を拡げられる機会が研究活動の導線内にある方がまだマシだろうという意見です(別途就活するとか、真面目に研究やってる人ほど損する構造なのはおかしい)。
 開発部のスタッフが学会に見に来て学生の研究内容と姿勢を直接視た方が採用後のミスマッチも少なくなるだろうとも思っていますので、こちらの動きも増えてくる事を願っています。

前後のコミュニティイベントなど

 出張中に気になったイベントは今回もいくつかありましたので、順次載せておきます。

・NT東京2025 (9/6,7) #NT東京 

・UE九州 in 大分(9/6) #UE九州 

・ROSCon JP 2025 (9/8,9) #ROSConJP2025

・AIミーティング (9/10) #AIMTG (運営メンバーなので)

・XR Kaigi Hub in Osaka(9/11,12) #XRKaigi

・フロントエンドカンファレンス北海道(9/6) #frontendo

・大吉祥寺.pm (9/6) #kichijojipm


まとめ

 2025年秋の応用物理学会での活動を報告しました。学会公式企画としてのVR/AR企画はほぼほぼ無くなってしまった感じでしたが、注意深く探すと活用している組織が見つかるという事が分かりました。
 せっかくの研究成果も出し損になってしまい今後誰も出展しなくなるというのを避けたいので、見つけた企業、団体にはできるだけ有益そうな情報をお渡しして機会が拡大できるお手伝いをしたいと思っています。
 採用を志向する企業が次々と学会に出てきたなと感じました。学生の進路の可能性が拡がることはいい事ですので、今後もこの流れが続いていくといいなと思います。もしかしたら360°のリアルタイムストリーミングをこういう企業に使ってもらって、研究設備の様子を疑似体験できるようにするとかするとマッチングが促進出来ていいのかもしれないですね(それなら私は即時動ける)。
 後半に続きます

(2025/9/26 初稿 5596文字 600 min)

おまけ

・旅費、滞在費について
飛行機 26970円 (新千歳→名古屋、大阪→新千歳)
宿 名古屋4泊 31770円 大阪2泊 16900円
空港までのバス・電車 1300×2 、1430円(ミュースカイ)、1490円(ラピート)
名古屋→大阪 6480円
食費・おみやげ等 15000-20000くらい
参加費 12000円

 大会のスケジュールが分かっている状態で、5月の飛行機のタイムセールで9月が買えるようになったときに旅程と宿を確保しました。大阪での行動を決めかねていましたが8月になんば近辺での活動に決めて2泊予約という感じでトータル12万円弱に抑えられました。大阪滞在の分が万博の影響で割高になっているので、旅程としても最低限という感じになってしまいました。


・道中の様子