雑な輪読会を1冊分やってみた話
こんにちは、じゅんです。
Hokkaido MotionControl Network (#DoMCN)というHoloLens・VR技術好きの技術者コミュニティの勉強会を運営していて、開発者の知見の交流を促進しています。また、元・物性研究者として、研究機関に所属する若手研究者でxRに興味を持つ人を見つけてはHoloLensを被せに行き、開発者コミュニティへの橋渡しを行う事を続けています。これらを適切に表現する職名が無いので、勝手にScientist/Developer Relations と名乗っていました。2024年はCommunity Relationsと言いながら活動し、今年2月くらいにInterCommunity Communications for Tech/Science (#InCommComm)という職名を思いつきました。コミュニティ間越境を伴う交流を最大化するための活動をしています。
先日の7/11に、5月から始めていた書籍のオンライン輪読会の第5回目が終わりました。#DevRelJP の参加者のみなさまお疲れさまでした。今回の記事では、その本の内容紹介と、雑な輪読会の運営(?)について備忘録を残そうと思います。
書籍『最高の集い方』(プリヤ・パーカー 著 関美和 訳)
原題 The Art of Gathering: How We Meet and Why It Matters
サンプル(目次とイントロ)のリンク
こちらの書籍では、国際紛争の解決のための対話イベントをテーマに活動している著者が、古今東西の集会イベントの中から目的に合う仕掛け、合わない仕掛けをたくさん例にあげながら、集会イベントでうまく目的を果たすための考え方のエッセンスをまとめています。
全8章からなり、それぞれイベント開催の各フェーズに対応しています。
Decide Why you're really gathering
目的設定Close Doors
参加者選び・参加者探しのキモDon't be a chill host
仕切り中の態度Create a temporary alternative world
有効なルールの設定Never start a funeral with logistics
オープニングKeep your best self out of my gathering
アイスブレイクCause good controversy
「対立」を組み込む法Accept that there is an end
クロージング
全編通じて描かれている事としては、とにかく集会の目的を設定する事が最も大事な事とされています。そして、その目的のために機能しそうな仕掛けは何か、また不必要な習慣などは何かを冷静に選別して取捨選択して、主催者・参加者のゴールに近づけていくというものになっています。その取捨選択はイベント準備期間のあらゆる場面に潜んでおり、それらを各章の事例紹介を例に言語化してあるという構造になっています。この本の内容をうまく咀嚼できたら(これが一番難しいけど)、自分自身の運営イベントにもいい感じに施策を反映させることができます。
私が強調すべきと思う事は、この本はあくまで技術の本として書かれているという点です(The artだし)。盛り上げの天才みたいなキャラのひらめきに頼った手法ではなく、ある程度の再現性を期待できる技術として理解できるものが列挙されています。イントロダクションの最後にもありますが、「社交的でなくても、むしろ、人見知りの方が質の高い集まりを開けることがある」とあり、人見知りど真ん中の私でも安心して読めます。
この著者の言う集会とは、1対nのセミナーを指す言葉ではなく、多くの場合はn対nの対話を含むコミュニケーションの場です。"誰かと過ごす普通の時間どうしたら忘れられない瞬間に変えることができるのか?人との集いを意味のある時間に変えるにはどうしたらいいのか?(イントロより引用)"という観点でまとめられた内容は技術系ミートアップの設計とも相性が良く、これらのイベントを運営する人にはぜひ手に取ってもらいたいと思える本です(行く先々で5冊くらい売ってる)。
内容について自分の担当した章の資料は記事の後半に付けますので、そちらも参照してみて下さい。
輪読会という名のライトニング内容紹介トーク
発端
3月に #エンジニア集会 コミュニティのdiscordチャンネルの雑談スレッドにこの本の内容を紹介するYoutube動画が貼られ、スピーカーは嫌いなタイプの人だったんですが内容自体は面白かったので興味を持っていました。
#DevRelJP の週刊ラジオ配信の視聴者コーナーの「GWにやりたいこと」にこの本の読書をあげてみたところ、@goofmint さんが輪読会をお誘いしてくれたので、気軽にOKしてみたら言い出しっぺの法則でいつの間にか運営の1人になっていました。
今日の #DevRelJP ラジオのお便りを出しました('ω')
— じゅん(超ひまじん)@7/16XRミーティング北海道会場お世話 6/14💉9 (@jun_mh4g) April 22, 2025
今週の視聴者お便りコーナーのテーマは『GWはこれやります』 https://t.co/ew470Lzrib pic.twitter.com/3hTJye0FMD
@jun_mh4g この本、なかなか面白いので DevRel/Tokyoで輪読会やりませんか?
— Atsushi@MOONGIFT 🌔🎁、DevRel/Tokyo、CodeRabbit 🐰 (@goofmint) April 23, 2025
輪読会のフォーマットを調べたけど、数回に区切って、担当者がそれぞれの部分を解説するっていうのが基本みたいです
雑にスタートした省エネ運営
今回は初めての種類の企画という事もあり、日時だけ決めて軽率に走ってみる事になりました。参加者は①本購入することが参加条件、②一章ずつ担当して計8回の発表、③参加者には何かしらの章が割りあたる、などが基本ルールでした。
準備負担の軽減を目的に、5-10分くらいの発表で構わない形にして、一回一回の輪読会の目標時間が30分に収まる形を目指しました(そして自ら破る事になる)(というかslackの検討案みたらLT5分だったのを今知った)。
章の全部を扱うと10分で到底収まらないので、心に残ったエピソード1個の紹介からでも大丈夫にしました。
そんな感じで旗振り役 @goofmint、雑担当 @jun_mh4g、常連さん @odashoDotCom のイベント慣れした3人が集まりましたので、ヌルっとconnpassページが即日公開され、進んでいきました。
目的はもちろん、
・イベントの企画力向上
・参加者に満足してもらうイベントを企画できるようになる
ためのインプットの機会を雑に作る。です。
全部で8章あるんで、全4回(1回2章)とかでできそうですねー。5月の4週とか…
— Atsushi@MOONGIFT 🌔🎁、DevRel/Tokyo、CodeRabbit 🐰 (@goofmint) April 23, 2025
4人なら2章/人、8人なら1章/人担当って感じで
事例が多いらしいので、それぞれのこまごまを説明させる形式にするとダレそう
— じゅん(超ひまじん)@7/16XRミーティング北海道会場お世話 6/14💉9 (@jun_mh4g) April 23, 2025
各章1個とかに絞って心に残ったエピソードをLT形式で紹介する
×複数人 みたいな形式でどうでしょ
あっ伝え方が悪かった💦
— じゅん(超ひまじん)@7/16XRミーティング北海道会場お世話 6/14💉9 (@jun_mh4g) April 23, 2025
最短20分くらいの会を複数回やって準備負担減らすみたいな設計をイメージしてました('ω')
たぶんあつしさんのイメージは一発一冊の盛り沢山コースですよね('ω')
集合場所はmeetで、お互い持ち寄った発表資料をベースに発表した後みんなで関連のディスカッションをして次の章に行くという事を繰り返しました。
共有
輪読会の資料の公開は各自の判断で行って、私は基本的にリンクを知る人への限定公開にしてあります。本番当日に発表資料ページへのURLをつけてつぶやいてきましたが、本書の内容の解説に加えて、自分たちがDoMCNで行ってきた仕込みの再解釈を付けて事例紹介しています。内容紹介よりはオリジナル方向に踏み込んだ内容になりましたので、地方技術コミュニティを運営する皆さんにもぜひ見てもらいたいなと思っています。
章の構造を把握して、各セクションの小見出しをマッピングするという手法を思いついてやってみました。こうしておくことで、私が複数回周回する時にトピック間の関係を思い出しやすいはずです。
やってみて反省点
5月にパッと読んで準備するはずでしたが、予想外の忙しさに翻弄されて最後の方は自転車操業な準備になってしまい、ここは大きな反省点です。5分でいいと自分たちで決めたのに私が15分喋ったこともあり、雑な輪読会のコンセプトからちょっと外れるふるまいもしてしまいました。
#DevRelJP の輪読会は今後多少のモデルチェンジをすると思いますので、今回のフリーフォーマット状態からは少し離れると予想しています。
私は雑誌会の元プロなので、精読→論文紹介のプロセスには12年くらい関わって来ている一方、速読→エッセンス紹介のプロセスは初めてなので、手探りで進めてきました。一般的な輪読会とも違うスタイルのような気もするので、なにかふさわしい名前があるような気がしています。なんだろう。。
イベント設計の指針が以前より明らかになり、より一層目的重視になりつつある
直近で開催してまあまあ目論見がうまく行った #医療XR札幌 イベントにも、書籍で言われていた目的設定の重要さと阻害要因の排除を実際に実践して見ています。
公開中の進行スライドP11などはその中でも顕著な例で、本来終わり際に本来出てくるような案内をオープニングで言い終わってしまうことで、残りのコンテンツに集中するようにコントロールする狙いを持っていました。これは去年の私には思いつかない進行だと思います。
もともと目的重視でイベントを組み立ててきていた私としては、答え合わせを読んでいるような感覚も強かったのですが、今後もこの方針で行けそうに思います。
この本で技術イベント運営を語れる仲間が欲しい(特に札幌市内)
この記事の一番の目的はこれになります。東京圏に比べて、イベント運営のコスパ面で大きく差がついている地方においては勉強会の参加者満足度を高める必要が東京以上にあると考えて、いままで工夫を実践して手法を公開してきました。
せっかくいい本が見つかったので、勉強会運営者界隈にこの本のエッセンスを浸透させていければ、もうちょっと市内に楽しい勉強会イベントが生えるのではないかと期待しています。
みんなが参加できる技術イベントの設計について、議論・実践できる相手がもう少し欲しいので、もうちょっと騒いでいこうかと思っています。もう何冊かは運営者勢に買わせることにも成功しています。
勉強会のコンテンツだけでなく、勉強会の構成や進行からも何かを学び取っているタイプの方が本記事を読んでいましたら、ぜひ書籍名でググってみてどんな感じか調べてみて下さい。↓こういう感じの人達
この本は繰り返し読むべき本ですので、私も何度も読み返すと思います。どこかで輪読会で扱う方いたらぜひ誘ってください。
これ、7月のイベントの方でパクろうねって話になりました
— サミィ(* 'ᵕ' ) (@samy_hrin) June 22, 2025
パクリますね@jun_mh4g https://t.co/5Akivs9Kmd
以上、輪読会開催レポートでした。さて8月の交流会イベント、どう動かしていこう…!
(2025/7/13 初稿 3975字 180 min)
おまけ AIと遊ぼうのコーナー
先ほどの3つの発表資料スライド(だけ)manus(2025/7/13現在)に与え、以下の質問を順に与えました。↑は共有用スレッドです。
・これらの学びを得たイベント運営者は、一般にありふれたイベントと異なる設計をすると考えられますが、どんな工夫をしそうか推測してみて下さい。
・それぞれの項目について、具体的な施策などを思いつけるでしょうか?
↓結果
